2014年EC業界でチェックしておくべきトレンド5選と2015年のEC業界展望

 

2014年もあと僅かとなりました。市場環境も厳しい昨今でも依然として伸び続けるEC業界だけに、この一年も多くの出来事がありました。eコマースコンバージョンラボもそのような流れの中で沢山の記事をお送りすることが出来ました。

今年48本目の記事では、昨年に引き続き2014年のEC業界のトレンドや出来事を振り返り、来る2015年の展望を考えていきたいと思います。

 

 

2014年EC業界でチェックしておくべきトレンド5選

 

改めて振り返って今年の出来事を色々見てみました。この1年は、モールの出店数が大幅に伸び着々とその勢力を拡大。さらにマーケティングやオンラインでの販売手法に関する新しいニュースが業界を賑わしました。その中から、今年の一年のトレンドともいえる5つの出来事をまとめてみます。

2014年EC業界でチェックしておくべきトレンド5選

 

 

フリマアプリの勃興と躍進

 

これまでのC2C市場はヤフオクの独壇場でしたが、そこにフリマアプリが「スマホで簡単に出品・購入ができる」という手軽さを武器に攻め込み、若い女性を中心に浸透していきました。

昨年末から注目を集めていたLINE MALLは3月にグランドオープン。また、フリルメルカリは人気芸能人を起用したTVCMを競うように放映し、フリルは250万、メルカリは700万まで大幅にユーザー数を伸ばしました。現状としては、これら3サービスがフリマアプリのTOP3。そんな激戦のフリマアプリ市場に11月末には楽天のラクマが参入し、フリマアプリ市場の競争が更に熱くなりました。

 

<参考>

レッドオーシャンと化したフリマアプリ市場へ参入してきた「ラクマ」は生き残ることができるのか

【徹底解剖】話題のLINE MALLで実際に開店・出品、そして購入を体験してみた

フリマアプリで気軽にモノを売る - フリル、メルカリ、STULIOは群雄割拠のC2Cコマースの勝者に成り得るのか

LINE MALL(ラインモール)待望の船出 - グランドオープン時の展開とEC業界に与える影響

 

 

 

物流革命 EC物流は新しいステージへ

 

今年はECの物流で二つの大きな革命と言っても良い出来事があった1年でした。

一つ目は物流アウトソーシング業界への多企業の参入です。手軽さと価格を売りにしたオープンロジ日本郵政ワンストップ通販ソリューションがその中でも目立ちました。中小規模向けの物流アウトソーシングサービスが充実していけば、煩雑で大きな負担だった業務の時間を削減でき、EC事業者が本来注力すべき「どうやって売上を延ばすか」という点に時間を費やせるようになります。

二つ目は即日配送サービスの充実です。Amazonのドローン(無人航空機)による配送計画には度肝を抜かれました。日本でもYahoo!すぐつくが話題となるなど、翌日配送は当たり前で、当日または数時間で商品を届けるサービスが大手モールでは充実しつつあります。しかし、AmazonのドローンはUSでのテスト段階であり、また、すぐつくも12月26日でサービス終了となる。数時間での配送の実現にはまだまだ超えなければならないハードルが多いようです。

 

<参考>

進化を続けるECの物流アウトソーシング - EC事業者は本来業務に注力せよ

日本郵便はECの配送サービスの主役になれるのか - ゆうパケット、EC-CUBEとのID連携、通販ワンストップサービス

ECの即日配達サービスの限界への挑戦 - 頼んだものがすぐ届くのが当たり前の未来はやってくるのか

ECサイト運営を支える配送事業者 - 佐川急便・ヤマト運輸・日本郵便の価格とサービスレベルの狭間での奮闘

 

 

 

ECサイトのコンテンツ化

 

ECサイトにおいて商品の説明をするだけで潜在顧客を呼び込めた時代はまもなく終わろうとしています。そのような流れの中で、ソーシャルメディアを活用したり、オウンドメディアでコンテンツマーケティングを行ったり、さらにはサイト自体をメディア化したりする事例が増えてきた一年でした。

そのようなサイトでは従来型のPUSH型マーケティングであるリスティング広告やメルマガを多用することなく、優良なコンテンツで顧客を集めて販売に繋げる次世代型の集客手法を活用して成果を上げてきています。数年後には価格が最も安いわけではない店舗やコンテンツを提供していないECサイトには全く顧客が訪問することがなくなるのではないでしょうか。

 

<参考>

ECサイトのメディア化によって得られる3つのメリットと3つの注意点

ECサイトでのコンテンツマーケティング成功事例厳選4選から学べること

ECサイトのインバウンドマーケティング元年がやってきた - 後編:ECサイトでインバウンドマーケティングで成果を上げる5つのポイント

ECサイトのインバウンドマーケティング元年がやってきた - 前編:ECサイトでもインバウンドマーケティングが重要な4つの理由

 

 

Amazonの攻勢

 

今年もEC業界の巨人Amazonはいくつもの画期的な新サービスを発表し注目を集めました。#アマゾンポチ、fire phone、firefly、予測配送、Amazon Prime now、ドローン配送、Amazon Dash、Amazonポスト、などそれぞれが興味深いサービスです。まだテスト段階のサービスも多いですが、どのサービスも実現または普及するとECの常識を変えそうです。

これらのサービスから、Amazonの目指す二つの方向性「注文の簡略化」と「配送時間の短縮」が見えてきます。簡単に注文できてすぐに商品が届く、その仕組みのための新サービスといえます。そんな仕組みが構築されれば益々消費者はアマゾンの虜となっていくのではないでしょうか。

 

<参考>

ECで買ったモノの受け取り方の多様化 - 受け取り専用ポスト、駅、ターミナル

Amazonが見据えるECの未来 - アマゾンポチ、fire phone、flow、firefly、予測配送、ドローン、Amazon Dash等の新サービス続々

USで話題のデバイスAmazon Dashが日本のEC市場に与え得る影響と可能性

 

 

ビッグデータ活用

 

驚くべきことですが、これだけITを駆使しているはずのECサイトにおいて、従来まではほとんどのデータは活用されずにいました。今年に入ってようやくECサイト関連のデータである顧客データ、顧客の属性データ、アクセスデータ、販売履歴データなどのビッグデータの活用に向けた下準備が整ってきたといえるのではないでしょうか。

オンライン上で接客サービスとして注目を集めつつあるKARTEflipdeskでは顧客データとアクセス解析系のデータを紐づけることでリアルタイムでの接客を可能にしています。顧客の購入履歴やカートの中身等をトリガーとし、 クーポンの発行したり、チャット機能で話しかけたりする様子はまさに実店舗で行われている接客の姿です。従来の顧客への販促といえばメルマガが基本であったが、効果が弱まっているのは周知の事実。これらのサービスはEC事業者の本格的なビッグデータ活用の第一歩となり、マーケティング施策のバリエーションを増大させる可能性を秘めたものといえます。

 

<参考>

オンライン上の接客は顧客から個客へ - ECサイト運営もビッグデータの恩恵を受けよ

2015年 マーケティングの生命線は集客に - ECとネット広告のこれから

 

 

2015年のEC業界展望

 

2014年のニュースとトレンドを振り返ってみましたが、来年はどんな年になるのでしょうか。1年という時間は長いようで業界が変わるには非常に短い時間ともいえます。そんな中で今年の動きからある程度来年の動きを予想してみます。

 

 

EC店舗数増加による弊害

 

昨年、Yahoo!ショッピングがeコマース革命と称し各種サービス利用料無料化と自由化に舵を切って話題となりました。そのeコマース革命の成果は来年辺りに見えてくるのではないでしょうか。

この第2四半期の決算説明会の資料によると、ストア数が2万店から約10倍の19万店に、取り扱い商品数も5割増の1.2億点を突破したようです。Yahoo!からすると実に喜ばしいことですが、店舗からすると競争が激しくなり広告費を掛けないと集客し辛い環境となっただけ。店舗数が10倍になっているのに流通総額が11.9%しか向上していないのも気になるところです。今後店舗がしっかり売上を作り、利益を確保出来るかどうかはYahoo!がどれだけ各店舗が儲かる環境を整備していけるかに掛かってくるのではないでしょうか。また、この影響はYahoo!ショッピング以外のモール出店者や独自店舗にも確実に波及していくことになるでしょう。

 

<参考>

本気になったYahoo!ショッピングは楽天を超えることが出来るのか

 

 

運営の自動化

 

ECサイトは年々運営の難易度が増しています。多くのデータから様々なことを読み解きながら次の施策を打っていく必要があり、手間もかかり知識も非常に幅広く必要となってきます。昨今のマーケティング手法の多様化や、販売方法の多様化により多くのEC事業者は「EC運営ってとっても難しい」と感じています。

そのような中でマーケティングオートメーションや運営自体のオートメート化に向けた取り組みがEC業界にも波及してくるのではないでしょうか。運営の難易度を少しでも下げて、どのようなEC事業者でもそれほど手間をかけずに売りを作ることが出来るという理想的な未来はそれほど遠くないのかもしれません。

 

 

 キュレーション型EC

 

キュレーション型のECのトレンドの波もより大きなものとなっていくでしょう。例えば既に専門家の視点でアイテムをセレクトして販売しているHATCHippinなどの事例が出てきています。例えば、HATCHであればインテリアスタイリストの選んだ雑貨、ippinであればきき酒師の選ぶどぶろく、という形で「誰」が選ぶかにフォーカスして商品を販売しています。専門家が選んだ商品はオシャレでセンスが良く並んでいるのでサイト自体がコンテンツ化しています。

このような専門家や著名人がキュレーションした商品を販売するサイトが今年のコンテンツマーケティングの波から引き続き注目を浴びるのではないでしょうか。

 

 

 

改めまして今年1年「eコマースコンバージョンラボ」にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。皆様の多くの支えのおかげでこの1年も続けることが出来ました。心から御礼申し上げます。

来年もEC業界の動向やトレンドについての情報を発信し、業界の進むべき方向性や未来を考えていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

それでは良いお年をお迎えください!