ECサイトのインバウンドマーケティング元年がやってきた

 

ECサイトにおける集客というと、長い間SEO(被リンク数に頼ったもの)・リスティング・アフィリエイト・メルマガ(押し売り系)の4つの手法が 代表的であり、それらを駆使して集客力を上げていくことが求められてきていた。しかしここ数年、目に見えてこれら4つの手法の効果が減ってきて、以前より もコストがかかるようになったという声をよく聞くようになった。

今年は、これら4つのオーセンティックな集客手法が本格的に死を迎え、インバウンドマーケティングが集客の主役に躍り出る年となるに違いないと考えている。そして、3年後にオウンドメディアを持っていない企業は死を迎えるだろう。

前編では、ECサイトにおいてもインバウンドマーケティングが重要である理由を考えたが、この後編ではどのようにECサイトにおいて成果を上げていくかを考えていく。

 

<参考>

ECサイトのインバウンドマーケティング元年がやってきた - 前編:ECサイトでもインバウンドマーケティングが重要な4つの理由

 

 

ECサイトがとるべきインバウンドマーケティングの「はじめの1歩」

 

インバウンドマーケティングは、集客手法のみを示す言葉ではなく、集客にはじまり、顧客のニーズを上手に管理し、顧客との関係性を大切にして最終的にクロージングさせるマーケティング手法全体のことを指す。BtoBとの相性が良いとされていることもあり、ECサイトにおいては現時点ではなかなかそのようなトータルの考え方を実現した事例も多くない。また非常に難易度も高いので、まずはECサイトでは集客手法の1つとして捕らえて、インバウンドマーケティングの領域に「1歩」踏み出すことをおすすめしたい。

様々な方法論はあるものの、その「はじめの1歩」に最も適しているのが、オウンドメディアである。ここでは、そのオウンドメディアを構築し、そこからどのようにECサイトを知ってもらい、好きになってもらい、最終的に集客を獲得していくかを考えていく。

 

 

ECサイトでインバウンドマーケティングで成果を上げる5つのポイント

 

インバウンドマーケティングやオウンドメディアの効果をショップを運営している方に話すと、ブログはやっているし、ソーシャルメディアでも投稿を行っているが、何も成果が得られないと言うことをよく聞く。ECサイトを運営している方の多くは、店長の日記を綴ったブログはオウンドメディアであり、その延長線上の内容のソーシャルメディアでの投稿は十分にソーシャルメディアを活用をしている、という意識となるのだ。しかし、店長が出勤する際の道に咲いている花の写真をブログにアップしたり、新商品を入荷しましたという投稿のみを、「いいね」が数百しかない自ショップのFacebookページに投稿することでは成果は上がらない。では、インバウンドマーケティング的発想に基づくオウンドメディアとソーシャルメディアの活用はそれとは何が違うのか、そして成果を上げるためにはどのようなことを行えばいいのか5つのポイントを見ていく。

 

 

プチ新聞社となる

 

オウンドメディアにはブログも含まれるが、いわゆる店長の日記系ブログではない。その違いは、顧客の興味の持てる情報を発信しているか否かである。多くの店長の日記では店長の身の回りに起こったことをつらつらと書いていて、そんなものに顧客はほとんど興味はない。オウンドメディアは情報発信の切り口、テーマ、内容が顧客の役立つ情報となる必要がある。すなわちショップで取り扱っている商品に関わるライフスタイル提案や、その商材の業界情報の発信などが基本となる。例えばダイエットサプリを取り扱っているショップであれば「XXXのダイエット道」、特定のスポーツ関連商品を取り扱っているショップであれば「エンジョイYYY」など。その商材を使う顧客が知りたい業界の情報を広く公平に発信していく。場合によっては競合他社の商品も公平に紹介することも必要になってくる。スタンスとしてはまさにその業界におけるプチ新聞社を作るようなものとなる。

 

 

適度な広さの白地図を選択

 

では、どのようなテーマのオウンドメディアを立ち上げればいいのだろうか。実際にテーマの検討は一番頭を悩ませるポイントでありインバウンドマーケティングの初期において最も重要なポイントだ。自社のことや自社の商品のみの情報発信をするのではなく、取り扱っている商材に興味を持つであろう顧客の知りたいテーマを考えていく必要がある。どのようなテーマを設定し、顧客にどのような体験を提供し、ECサイトへの誘導を行っていくかの全体的なプランをイメージする。

まだ各社がオウンドメディアへの取り組みを本格化していないこともあり、多くの業界において、その業界情報を発信しているオウンドメディアはそれほど存在していない。そのためテーマ検討においては、検索エンジンで他社で類似の取り組みを行っていないか、情報提供の切り口で特徴を持たせることが出来るかを検討し、他にはない出来るだけ広めの領域を網羅するテーマとしていきたい。テーマが狭いと投稿する記事のバリエーションも限られ長続きしにくいし、ソーシャルメディアでのファン数も伸びにくくなる。ただし、逆に広げ過ぎるとバランスの取れた情報発信が難しくなるため慎重に埋めていく白地図の広さは考えていきたい。

 

 

継続は力なり

 

オウンドメディアを構築し新しいテーマでの情報発信が楽しい初期は投稿するコンテンツのアイディアは出続けるだろう。しかし、数ヶ月が経つと場合によっては投稿するネタが切れてくる場合もある。そのような場合でも、最低でも週1回の投稿を行うことは心掛けたい。投稿の頻度が下がると存在を忘れられる可能性も高まるし、検索エンジンに優良なコンテンツを提供するサイトだと理解してもらいにくくなることもある。頑張って投稿を続けた結果、そのメディアには時間と共に非常に多くのコンテンツが蓄積され、徐々にその効果を享受出来る環境が整ってくるのだ。まさに、オウンドメディア運営は「継続は力なり」である。

 

 

ソーシャルメディアの特性を活かす

 

オウンドメディアでの投稿を始めると同時に、各ソーシャルメディアに公式アカウントを設置し、そこで更新情報を発信していく。ショップの公式アカウントや企業の公式アカウントを持っている場合でも、オウンドメディア用の別アカウントを多くの場合新設した方が良い。ただ、既に多くのファンを獲得している場合は、その資産を生かすために徐々にページのタイトルや投稿テーマを切り替えていく方法でも構わない。

オウンドメディアのコンテンツはソーシャルメディアと非常に相性が良い。もちろんSEO的にも強くなるため検索エンジンとの相性も良いのだが、同じ興味を持つ顧客グループにアクセスしやすく、口コミ効果も高まりやすいソーシャルメディアはとても重要だ。そのため、Facebookに代表されるソーシャルメディア上でのAds(記事広告・ページへのいいね広告)は必須だ。

また、ソーシャルメディア上で拡散していくためには、記事のタイトルとアイキャッチ画像は生命線となる。タイムラインに多くの情報が流れるソーシャルメディアにおいて、各ユーザーは一瞬でその記事への興味を判断することになる。タイムラインに表示されるのは主にタイトルとアイキャッチ画像となるため、その内容の精査には多くの時間を割く必要がある。記事全体にかける時間を10とした際、タイトルに4、アイキャッチ画像に4、記事の中身に2の時間配分でも良いくらいタイトルとアイキャッチ画像は重要な要素だ。

 

 

適度なECサイトへの導線

 

ここまで書くと、そのようなメディアを作って顧客に気に入られるのは分かったが、そこからどうやって売上に繋がるのかと思うだろう。売上に繋げていくためには、オウンドメディアで関係を築いた顧客をどのようにECサイトへ誘導していくかを考える必要がある。ここは意見が割れるところだが、オウンドメディア上に直接ECサイトへの導線(リンク)をベタベタ貼る場合もあるし、全く貼らない場合もある。これはメディアのテーマと取り扱い商材の関連性・親和性に依存する。オウンドメディアで語られているテーマの課題を直接的に解決出来る商品であれば貼ることを推奨するし、語られるライフスタイルにおいて使うもの程度であれば貼らない方がベターと考えるケースが多くなる。

仮にリンクをそれほど貼らない場合でも、オウンドメディアの効果は中長期的なものと考えると非常に大きな効果が出てくる。オウンドメディアからの直接の訪問がそれほど伸びなくても、顧客は確実に運営しているショップのことを知り、好きになり、信用をしてくれるようになる。その潜在効果は中長期的に見たら購買行動の随所に現れてくるのは間違いない。

一方、インバウンドマーケティングでは顧客の属性情報を入手し、顧客の望む情報メルマガを送付する形が王道となる。しかしECサイトの場合は一筋縄ではいかない事情もあるのも理解しておきたい。BtoBのインバウンドマーケティングではメールアドレスの入手は非常に重要となるが、BtoCビジネスのECサイトにおいてはメールアドレスの入手をしてもそこまで反響を得られない可能性が高い。顧客にとって所詮ショップからのメルマガの1つと受取られてしまうため、膨大なメルマガの山に埋もれるであろうことは、押し売り系メルマガと大差なくなってしまうのも難しいところである。

仮に短期的な効果を求めるのであればオンラインクーポンやソーシャルギフトを絡める方法をおすすめする。ある程度認知され、信用を得られた段階であれば、読者限定の割引クーポンやソーシャルギフトを手にすることでECサイトへの集客は高まるはずだ。限定の割引クーポンやギフトを手にした顧客は、せっかくだから訪問してみよう、せっかくだから使ってみよう、という意識が多少なりとも働くからだ。

 

<参考>

ソーシャルギフトはO2Oマーケティングに革命を起こせるのか (前編・海外) - Facebook Gifts、Wrapp

ソーシャルギフトはO2Oマーケティングに革命を起こせるのか (後編・国内) - giftee、okurune

 

ECサイトにおいて、どのようにインバウンドマーケティングをはじめて、どのように成果を出していくべきかの基本は理解いただけたのではないだろうか。一般的なインバウンドマーケティングはBtoBビジネスにおいて語られることが多いため、その考え方をそのままECサイトに適用することは出来ないケースもある。(もちろん出来るケースもあるのだが。)
違いを理解した上で、上手にオウンドメディアの運営を行い、インバウンドマーケティングの効果を享受していける環境を作っていくことで、オーセンティックな集客手法に頼らない顧客基盤の確立が可能となる。

 

 

 

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