ソーシャルギフトはO2Oマーケティングに革命を起こせるのか
Webサービス上での潜在顧客とのコミュニケーションから、いかに実店舗などのオフラインへの集客・誘導をはかることができるのか。 これはO2Oマーケティングの乗り越えなければならないテーマの一つです。
Webサイト上でのキャンペーンや活動が、実際の売上にどのような形でどの程度貢献しているのかが分からず、取り組みが継続しないケースや、施策を感覚を頼りに行ってしまうことも多いのではないでしょうか。
ソーシャルギフトはその壁を乗り越える可能性のある数少ないサービスの一つとなる可能性を秘めています。
前編では海外サービスのFacebook Gifts、Wrappを紹介しましたが、後編では国内サービスのgiftee(ギフティ)、okurune(オクルネ)を紹介していきます。
giftee (ギフティ)
国内で最も成功しているソーシャルギフトと言えば、株式会社ギフティが2011年3月にローンチしたgiftee(ギフティ)ではないでしょうか。
2013年6月に大幅リニューアルしたgifteeは、全125店舗・300ギフトを取り扱い、価格帯の主流が300円〜3,000円と比較的安価なことが人気の秘密。
主なアイテムは、東京近郊や名古屋、京都などのカフェで使える飲食チケットや、スイーツ、雑貨など、贈られる側が負担になりづらいものばかりです。 他のソーシャルギフトが商材である程度客層を絞り込んでしまうのに対し、gifteeにはファミリーマートの買い物券など、日常生活の中で気軽に使えるアイテムが数多く揃っているのも支持される理由のひとつと言えるでしょう。
受け取り方法は商品によって異なり、チケットを実店舗で交換するものと配送の2パターンが用意されています。 gifteeでは、贈ったギフトが期限内に引き換えられなかった場合、金額の一部がチャリティーに寄付されますが、このあたりも利用者が好感を持つポイントなのかもしれません。
現在、約75,000人の会員数を誇るgifteeですが、さらなる利用者の拡大を目指し、今秋から話題の商品を無料で贈れる体験プレゼントキャンペーンを開始しました。 フリートライアルの第1弾として、キリンファイア カフェデリの先着1万人無料プレゼントを実施しています。
コンスタントに新たなサービスを生み出してきたgifteeの、今後の動向にぜひ注目したいところです。
okurune (オクルネ)
ベンチャー企業が手がけることの多いソーシャルギフトですが、今年2月には大丸松坂屋が百貨店初のソーシャルギフトサービス、okurune(オクルネ)を立ち上げました。
okuruneの最大の特徴は、百貨店の強みを生かし、ファッションからインテリア雑貨、パーティーグッズ、書籍、食品まで全265点の厳選したアイテムを揃えたこと。 利用方法はgifteeとほぼ同じですが、商品ページにある“okutte!ボタン”を押せば、Facebookのタイムラインにそのおねだりが投稿されるというユニークな仕組みも用意されています。
これまでお中元やお歳暮など、お祝いギフトの市場を牽引してきた百貨店が、他のソーシャルギフトと一線を画したサービスをどのように提供していくのか、今後も目が離せません。
その他の国内のソーシャルギフトECサービス
ソーシャルギフトECは、1対1のやり取りだけでなくその贈り方もさまざまです。
花に特化したソーシャルギフトで主流になっているのが、SNS内で有志を募り、それぞれが少しずつ生花を購入して花束として贈る方法です。 第一園芸の“Happy Flower”や花キューピットの“bouquet”など、大手の参入も目立つのがこの分野の特徴と言えるでしょう。
また、1アイテムに絞って贈り物をするのではなく、相手の好みを踏まえたオリジナルのカタログギフトを贈る“ギフトキッチン”など、より自由度の高いソーシャルギフトも注目を集めています。
他にも、OBやファンによる大学の体育会部活への差し入れソーシャルギフト“サシイレ”や、amazonのギフト券が手数料なしで最低15円からプレゼントできる“Kampa!”など、趣向を凝らしたサービスが数多く存在します。
国内には、現在このようなソーシャルギフトが20近くありますが、最近ではソーシャルギフトをキャンペーンの一環として取り入れる企業も増えています。
キリンビール株式会社は、SNSを介してGRAND KIRINを贈る“BEER to friends”を2012年10月から開始。 全国のセブン-イレブンで受け取りを可能にし、これまでにない手軽なビールギフトの新ビジネスモデルを確立しました。
ソーシャルギフトはO2Oマーケティングに革命を起こせるのか
各サービスを見ると、商品を受け取り主に直接配送するのか、店頭で受取る形式を取るのかによって、企業のソーシャルギフトの活用方法が大きく異なっているといえます。
okuruneなどの商品を直接配送するソーシャルギフトは、あくまでECの延長線上として考え、購買機会を増やす為にサービスを展開。 しかし、Wrappなどの店頭で受取る形式を取っているサービスは、住所が分からないから、メールで電子データとして気軽に送れるから、という理由もあるものの、O2Oマーケティングに大きな影響を与える可能性のある取り組みをしているといえます。 gifteeやFacebook Gifts、Wrappに企業からの商品がほぼ無料で集まることを見ても期待度の高さがうかがえます。
贈られた人は、積極的にそのギフトを使おうと、多少の面倒があろうとも店舗受取に行くでしょう。 店舗に行けば、他の商品も目に入ってきますし、多くの場合せっかく行ったのだからといって店内を一通り確認することになります。 ギフトを贈られた人は気分もいいため、財布の紐も緩みがち、というオマケまでつきます。
このように、企業からすると、ギフトを提供しない場合に比べると、とても多くの売る機会を手に入れることができるのです。
ソーシャルギフトは「人にモノを贈る」という最高のシチュエーションを武器に、O2Oマーケティングに大きな可能性をもたらそうとしているといえるでしょう。
今後もニーズに応じたサービスが続々と登場しそうなソーシャルギフト。 ソーシャル上で、オリジナリティ溢れるサプライズギフトが飛び交う……。そんな日も遠くないかもしれません。