レポートによると、インターネットの普及、進化する人口動態、政策の変化といった要因による追い風が、SwiggyUrban CompanyBoldfitといった新時代の消費者向け企業の台頭を可能にしたトレンドのひとつであるという。


世界的なベンチャーキャピタルBessemer Partnersのインド部門が発表したレポートによると、過去10年間のテクノロジー、人口動態、政策の追い風が、1兆米ドルのデジタルビジネスチャンスの台頭に拍車をかけており、ユーザーの行動が将来の消費者向けサービスを形成することになるだろうという。

インドのフードデリバリー企業Swiggy、各業種のローカル専門業者を派遣する企業Urban Company、健康器具・アパレル販売企業Boldfitなど、新時代の消費者向け企業の台頭を可能にしたトレンドのひとつに、インターネットの普及、人口動態の進化、政策の変化といった要因による追い風がある、と同レポートは述べている。また、今後、コマースマーケットプレイス、コンテンツプラットフォームの進化、消費者の願望の変化が、インドのエコシステムで勝ち残る新しい企業の原動力となるだろうとも付け加えている。

Bessemer PartnersのパートナーであるAnant Vidur Puri氏は、「この好機により、この業界は今後数年間でさらに多くの消費者向け事業が出現する可能性について、非常に楽観的になっている」と述べた。

「インドには1兆ドル規模のデジタルビジネスチャンスがある。過去10年間に数多くの消費者向けマーケットプレイス、プラットフォーム、新時代のブランドが登場したことは、新たに台頭するインドの願望が高まっている証しである」と、Puri氏。

しかし、米国の戦略コンサルティングファームBain & Company最新レポートによると、インドの消費と裁量的支出は近年逆風に直面しており、民間消費の伸びは新型コロナ前(2017-19年)の11%から新型コロナ後(2022-24年)の約8%にまで鈍化している。この落ち込みは、インフレ率の上昇と実質賃金の停滞によるものである。消費の低迷は、2024年の電子小売の成長率に顕著に表れており、過去の成長率が20%を超えていたのに対し、10~12%となっている。

Bessemer社のレポートによると、急成長するインドのオンラインコマース業界は、近年大きな拡大を目の当たりにしている。2020年に300億米ドルからスタートしたこの業界は、10年後の2030年には3,000億米ドルに達し、1兆米ドルのデジタルビジネスチャンスに貢献すると予想されている。同レポートでは、インドのオンラインコマース業界は「もはや小さなセグメントを対象としたニッチな現象ではなく、インドの小売業界において、人口のかなりの割合を占め、そのシェアが拡大している有力な勢力として確固たる地位を確立している」と強調している。

インドのeコマース業界は、クイックコマース(ECサイトで注文された商品を、非常に短時間でユーザーの指定場所へ即時配達するサービス)業界の台頭とともに、Walmart International(Walmartの事業部門の一つで、米国以外の国々の小売事業を統括)のCEOであり、インドのeコマース大手Flipkartの親会社であるKathryn McLay氏によっても強調された。

「クイックコマースはインドのeコマース業界の重要な要素となっており、現在では市場の20%を占め、年間50%という堅調な成長率を記録している」と、McLay氏は語った。

同レポートでも強調されているように、クイックコマース(Qコマース)の近年の台頭は、オンライン小売エコシステムに新たな次元をもたらし、消費者の商品へのアクセス方法にさらなる革命をもたらした。インドのオンラインスーパーマーケットBigBasket、超高速配送サービスBlinkit、即時配達サービスSwiggy、インド最大のデリバリーサービスZeptoといったプラットフォームがインターネットを活用し、迅速な配達サービスによって実現可能性と消費者への訴求力を実証している。また、この分野では、垂直型Qコマース(特定のカテゴリーや商品ジャンルに特化したQコマース)の台頭という更なるトレンドも見られ、インドの家事代行サービスSnabbit、フードデリバリーサービスSwish、ファッション即時配送サービスSlikkといったスタートアップ企業がニッチなニーズに対応している。

インドでは、オーガニック食品、プロテイン、フィットネス機器、予防医療、ウェルネスサービスへの支出も増加した。同レポートでは、健康志向の食品・飲料(F&B)カテゴリーがF&B支出全体の約11%から約16%に拡大しており、ブランドがこのトレンドに迅速に対応しているため、今後も増加が見込まれると付け加えている。

同レポートによると、プラットフォームは、視聴者の集中力の短さに対応し、短時間で魅力的なコンテンツを提供している。過去5年間で、インドの短編動画プラットフォームは1日あたりのアクティブユーザー数が3.6倍に増加し、主流のデジタルプラットフォームと競合している。

仮想チップ、UPIオートペイ(インドの統一決済インターフェースであるUPIを使った自動少額決済システム)、その他のマイクロトランザクション(少額の取引)などの機能によって促進されるこの増加は、2029年までに 15億米ドルに達すると予想されており、UPI 対応のマイクロトランザクションの成長を実証している。これにより、企業は広告だけでなく、多様な収益化モデルを試すことができるようになる。


※当記事はインドメディア「Entrepreneur」の7/27公開の記事を翻訳・補足したものです。