- インドの食料品デリバリーサービスGrofersとインドのオンライン食料品店BigBasketによると、この1週間のオンライン注文が増加しているとのこと。
- オフラインの実店舗小売業者は、新型コロナウイルスによる世の中のパニックに影響を受けている傾向。
- BigBasketは1日当たり16万件の配達を実施。Grofersは1日当たり9万件の配達を行っている。
世界中の小売業者が、新型コロナウイルス・パンデミックにより拡大する影響を受けている。店舗には在庫がなくなり、オンラインプラットフォームは急増する需要に必死に応えている状況だ。「公共の場所を避けるように」という厳しい勧告を受け、BigBasket、Grofers、Dunzoのようなオンライン食料品配達サービスの利用が大幅に増えている。
インド都市部で多くの家庭が自主隔離を行った結果、GrofersとBigBasketの1日あたりの注文数が増加。The Economic Times(インドの日刊新聞:以下ET)によると、Grofersは平日で5~7%、週末は80%の注文増とのこと。BigBasketは注文数が2倍になり、平均注文量が15~20%増加した。
数値によると、BigBasketは1日当たり平均で16万件の配達を行っており、Grofersも引けを取らない9万件という配達量。しかし、小売店や小型店舗はオンライン、オフライン両方の注文を受け、プレッシャーも増大している。ETによると、インドの小売チェーンBigBazaarやEasydayを有する複合企業Future Groupでも、20%~25%注文が増加しているという。
Grofersはオンライン注文の売上が18%増加。チャンディーガル市のとある顧客は、1回の注文で52,000インドルピーの食料品を注文し、同社の過去最高注文額の記録を破った。また、同社は、Chyawanprash(栄養補助食品)やはちみつのような免疫力を高める商品や、洗剤といった衛生製品関連の注文が増加していることに注目している。
信じられないことだが、欧米諸国のある地域では、トイレットペーパーの最後の1ロールをめぐって揉めており、状況はさらに悪化している。しかし、インド国内で同じことが起きないと言えるだろうか。
小売業者は需要に応えるためにどのようにサプライチェーンを管理しているか
さらなる状況の悪化が予想されるなか、買いだめされる商品とは何か。食料や、散歩に出かけたくなった場合の念のための消毒薬、そして、マスク。まさにこれらは、現在需要が高いものである。手指の消毒剤とマスクは3月中旬から手に入れるのが難しくなり始めた。また、食料品配送サービスプラットフォームでは、生活必需品も不足している。
BigBasketの創設者Hari Menon氏は、初期段階では在庫が不足気味な生活必需品も、すぐに在庫状況は正常に戻るだろうと述べている。しかし、BigBasketのアプリでは、すでに小麦や豆、牛乳などの基本的生活必需品が不足し始めている。
BigBasketは、食品などの基本的生活必需品のサプライチェーンが混乱し、多くの隔離されたインド人にとって状況がさらに悪化する恐れがあるため、ユーザーに必要以上に購入しないよう勧告している。
一方Grofersは一歩踏み込んだ対応をしており、在庫制限を超えるすべての注文をキャンセルすることを決定した。それ以外にも、同社はユーザーが必要に応じて8時間以内に注文を追加および削除できるようにする「注文の編集」オプションを提案している。
Grofersの管理在庫に限り、「配送とサプライチェーンは調整する必要があるものの、生産に厳しい上限がある製品、特に中国から輸入する製品は別として、ほとんどの品目は引き続き入手できる」と断言している。
しかし、いつまで対応し続けることができるだろうか。確認されている新型コロナウイルスの症例は急速に増加しているため、最初に思い浮かぶことは、状況がさらに悪化する前にできるだけ多く買いだめすることだろう。インドは、トイレットペーパー危機の別バージョンに向かっているのだろうか。
実店舗の在庫はもう空っぽだ。グローバルビジネスメディア によると、現在、実店舗での在庫補充が課題となっており、スーパーマーケットでも同様であるが、在庫を確保するために、より高いコストがかかっていると強調している。
オンラインの注文は本当に安全なのか
食料品のオンライン販売が急増した理由の一つは、新型コロナウイルスを恐れて人が外出したがらないことだ。しかし、配送まで複数の人がかかわることを考えると、食料品をオンラインで購入することは本当に安全なのだろうか。
オンライン配達やeコマースプラットフォームは、ユーザーのこのような不安がなくなるよう対策している。Grofers、BigBasket、インドのEC企業Flipkart、インドのオンライン食品注文および配送プラットフォームSwiggy、インドのデリバリーサービスも展開するグルメサイトZomato、Amazon、Dunzoや他の主なオンラインデリバリーサービスなど、デリバリースタートアップ企業は、配送パートナーと顧客双方の安全を守るための予防策を講じている。
GrofersもBigBasketも、配送パートナーに、新型コロナウイルスのパンデミックを十分認識し、対策。両社とも、仕事場、倉庫、配達用のボックスおよびその他の定期的に使用するすべての器材を消毒、殺菌しているという。これ以外にも、両社は現在、顧客と配達員の両方を感染の可能性から守るため、キャッシュレスでの支払いを奨励している。
さらに両社は、定期的に従業員の健康を観察し、顧客と安全な距離を取るように配送パートナーに求めているという。
FlipkartやMyntraのようなeコマース企業は、配送方法について同様の衛生基準を設定している。eコマース企業の配送ソリューションプロバイダのEcom Expressは、配送パートナーのウイルスへの暴露可能性をできるだけ少なくするだけでなく、メンタルヘルスについても対応していることを強調。
Ecom Expressの上席副社長で最高人事責任者のSaurabh Deep Singla氏は、「不安が広がっているため、身体的健康に加えて、メンタルヘルスも非常に重要になっている。新型コロナウイルスに関するソーシャルメディアメッセージからの大量の情報によって生じるストレスには慎重に対処する必要があり、従業員が新型コロナウイルス関連の不安を制御できるよう指導している」と語った。
SwiggyとZomatoも、顧客と配送パートナーの接触を最低限にする「非接触」の配達を導入している。