新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウンを受けて、イタリア、スペイン、フランスの消費者はオンライン購入にいち早くシフトしている。オンラインでの商品販売を始める小売業者がますます増え、食料品やその他の製品をオンラインで購入する消費者数も増加しているという。

 

例えばフランスには、地元の精肉店や魚屋、八百屋の受注と配送を行うことでオンライン販売を支援するスタートアップ企業Ollcaがある。3月21日から3日間の同社のマーケットプレイスでの売上高は、クリスマス期間に匹敵しているという。同社プラットフォームには、20社の新規ベンダーが参入している。

 

フランスでのオンライン注文は32%増

米国の市場調査会社Nielsen Researchによるによると、3月の1週目、フランスで自宅への配送を希望するオンライン注文は前年比32%増となり、同期間のクリック&コレクト(実店舗や宅配ボックスなどへ配送、受取を希望する)注文は29%増とのこと。

 

3月9日からロックダウンが行われているイタリアでは、「ヨーロッパ最大のスーパーマーケットチェーンCarrefour(本社フランス)のオンライン利用者数が倍増し11万人となった」と英国の経済紙Financial Timesは伝えている。また、イタリアの一部の都市においては、30分以内に商品を配送する物流のスタートアップGlovo(本社スペイン)がCarrefourの配送を行っているが、その量が10倍になったという。

 

スペインの百貨店グループEl Corte Inglésは大型冷凍庫の需要が増加すると予測

スペインでは、自宅待機が長期にわたると考え消費行動を変えつつある消費者もいる。スペインの大手百貨店グループEl Corte Inglésは、冷蔵庫、大型冷凍庫、子ども用のおもちゃ、スマートテレビなどの需要が高まっているという。また同社は「必要に迫られて、もしくは健康上の懸念からオンラインで注文する人が増えている。そのため、これまではオンライン購入を好まなかった顧客が、利点を見出している」と述べる。

 

南欧でのオンライン購入に残された問題

オンライン購入へ大幅にシフトしているものの、eコマースに存在する問題は解消されていない。Financial Timesは、ウェブサイトが重いため、(表示が)遅く、決済時にも注文がエラーとなるケースがあると報じている。イタリアの小売店チェーンのEsselungaは、ミラノ住民からの注文を1週間に1回に制限。スペインのスーパーマーケットMercadonaは、実店舗での購入があまりにも増えたため、スペイン国内のほとんどの地域でオンライン注文を中止している。

 

イタリアとスペインではeコマースの普及率が低い

イタリアとスペインは、ヨーロッパにおいてeコマースの普及率が最も低い国に入る。英国では、eコマースが小売総収入の20%を占めるが、イタリアとスペインではそれぞれ約4~5%にすぎないという。

 

※当記事は欧州メディア「Ecommerce News」の3/24公開の記事を翻訳・補足したものです。