停滞していたWebサイトが、戦略的なコンテンツやブランディング、リード・トラッキングのアップグレードにより、同メーカーの持続的な成長の原動力となった。
ある世界的な油脂化学企業の北米支社は、Webサイトの大幅なリニューアルを必要としていた。同社のサイトが、ビジネスの成長を支えるトラフィックやリードを獲得できていなかったためだ。
1999年に設立された親会社は、近年の買収により受託製造能力を拡大したものの、Webサイトにはその成果を反映できていなかった。長い間、Webサイトの運営に注力することのなかった代理店は、その重要性に気付いておらず、デザインも機能も時代遅れなものとなっていた。
次の段階をサポートするために、同社は知名度を高め、新たな拠点を1つのブランドに統合し、積極的にリードを生成・獲得できるWebサイトを構築する必要があった。
課題が積み重なり、全面的な見直しが必要に
多くの近代化を進める組織と同様、同社の課題はデジタルフットプリントと内部プロセスに及んでいた。セールスチームとマーケティングチームは、Webサイトを単なる機能的なツールとしてしか捉えていなかった。サイトは視覚的に魅力的でなく、コンテンツも時代遅れなものだった。誰もWebサイトを気に入っておらず、改善するためのアイデアにも乏しかった。
サイトを詳しく調査していくうちに、以下のような課題が次々と浮かび上がってきた。
- デザイン:サイトのビジュアルデザインは時代遅れで、ユーザーが正しい場所にいることを理解できるようなテーマ性に欠けていた。
- オーディエンス:ホームページの文章には、会社の事業内容や顧客層が明記されていなかった。科学者やエンジニアを対象とした表現になっており、技術者以外の読者を排除していた。
- サイトの構造: 目的やゴールを明確にしないまま、ページ数が増えていった。以前、eコマースツールを追加するといったサイトの近代化に取り組んだものの、理想的な販売サイクルに有効なものではなかった。
- リード:Webサイトにはリードフォームがなかったため、マーケティング部門は月に1件のリードしかWebサイトに紐づけることができなかった。代わりに、営業担当への連絡にはメールのリンクと電話番号が頼りの綱となっていた。
- データ: 以前Webサイトを管理していた代理店からは、月次データの概要は提供されていたものの、ソースデータがなかった。そのため、コンテンツやSEOパフォーマンスに関するインサイトが得られず、Webサイトの訪問者を把握できないことで、営業部門が関心のあるリードを育成することが難しかった。
そのほか、私たちoverQualified(米国のデジタルエージェンシー)の選択に影響を与えたビジネス上の問題には、高度にカスタマイズされた販売プロセス、油脂化学製品の低い利益率、およびM&Aによる会社の戦略的成長が含まれていた。
このプロジェクトは、高度にカスタマイズされた販売プロセス、低い製品利益率、そしてM&Aによる成長戦略といった、いくつかのビジネスの現実を念頭に置いてスタートした。私たちのソリューションは、シンプルでスケーラブルかつ目的を持つものでなければならなかった。つまり、同社のストーリーを伝えながら、測定可能な成果を生み出すWebサイトを提供することが必要だったのだ。
ブランディング:テクニカルな業界を人間味のあるものに
人間味のない、静的なWebサイトが主流の市場において注目されるために、ビジュアルアイデンティティを刷新した。製品を使用している人物や動物の写真を使うことで、メーカーやエンドユーザーにとってブランドへの親しみやすさを高めることができた。クリーンなレイアウト、大胆な色使い、インパクトのある画像は、ブランドの科学的な伝統を尊重しつつ、親しみやすさも実現した。ブランドマークと調和した大きく開放的なタイポグラフィとデザイン要素は、サイトにモダンなエッジを与え、販売・マーケティング資料全体における視覚的な一貫性を確保した。
コンテンツ: 目的を持ってユーザーを誘導する
業界別、製品別、サービス別という3つの主要な検索経路を中心にコンテンツ・アーキテクチャを再構築した。明確でオーディエンスファーストなコピーは、初めての訪問者と経験豊富なバイヤーの両方を、素早く答えにたどり着けるよう誘導した。重要な差別化要因であるサステナビリティと品質については、専用ページを設け、内部リンクを通じてサイト全体に統合した。強力な行動喚起(CTA)と意図的なリンク構造により、エンゲージメントと販売の促進を容易にした。
データ: 可視性とリードインテリジェンスの構築
リニューアル前、サイトにはGoogle AnalyticsとGoogle Search Consoleのアカウントが存在しなかった。私たちはその両方を導入し、リード獲得と需要の追跡のため、フォームの入力後に製品仕様書を表示した。また、サンプル請求や一般的な問い合わせ用のリードフォームを追加することで、営業部門とマーケティング部門はWebサイトのパフォーマンス、製品への関心、そして受託製造の需要に関する実用的なデータを得ることができた。
結果:即時的な効果
サイトの公開から90日以内に、Webサイトのトラフィックは1,462%増加し、セッション数は1,070から12,000以上となった。リード獲得数は、四半期あたり推定1件から同期間に120件以上に急増し、フォーム送信率は21%に達した。

社内外の関係者から、サイトの構成や検索性についての高い満足度が報告された。それはSERSs(検索結果が表示されるページ)にも反映され、サイトは最初の90日間でGoogleの検索結果の1ページ目に110件のキーワードがランクインし、CTR(クリック率)は 2.63%となった。

プロジェクトを軌道に乗せるには、社内の連携、特にITサポートとコミュニケーションが不可欠であることがすぐにわかった。立ち上げ当初、同社にはまだ中核的なCRMが存在せず、すべてのリードを共有メールアドレスに集約し、手動で営業チームに配信する必要があったのだ。同社のサーバーが指定されたリードアドレスをブロックしたため、最初の数週間で80件以上のリードがスパムフォルダに消えてしまった。
コンテンツ制作においても、専門家へのアクセスが制限されていたために遅れが生じ、コピーやページデザインの進捗が遅れた。こうした課題にもかかわらず、私たちが同社のこの地域オフィス向けに構築した、合理化された専用サイトは、既に検索トラフィックの増加と質の高いリード獲得を実現している。
私たちは、eストアをリニューアルし、あらゆる潜在的ユーザーニーズに対応することで、構築を過度に複雑化させるのではなく、ビジネスの核となる優先事項、つまり信頼できるリードを提供し、業界における権威としての地位を確立することに注力した。その明確な方針により、ブランドのストーリーを伝え、測定可能な成果を生み出すサイトをつくりあげることができたのだ。