【2023年最新版】最新性とセキュリティに優れる全19のクラウド型EC構築パッケージとその選び方
ニューノーマルの後押しもあって、今やEC業界は消費者の生活に不可欠と言えるほどに成長している。ECサイト構築の際には何らかのEC構築サービスを利用することになるが、クラウド型EC構築パッケージはクラウドというワード自体が持つ曖昧なイメージもあり、サービスの特徴や実態についてしっかりと把握できていない人もいるのではないだろうか。本記事は、最新性とセキュリティに優れる全19のクラウド型EC構築パッケージをピックアップし、それぞれの特徴やサービスの選び方について考えていくeccLabの特集企画となる。
クラウドに関わる用語の定義
システムが常にアップデートされ最新性とセキュリティを保てることがメリットのクラウド型EC構築パッケージだが、クラウドゆえの専門用語もあるため、正しい理解のためにもあらかじめ知っておく必要がある。サービスの紹介に入る前に、それらの用語や特徴について説明していく。
クラウド
クラウドはクラウド・コンピューティングとも呼ばれ、ユーザーが必要に応じてインターネット上のサービスを利用できる仕組みを指す。サーバーやコンピュータにソフトウェアをインストールすることなくサービスを必要なだけ利用でき、運用や管理をサービス提供者が行うのが特徴だ。この仕組みを活かし、クラウド上でECサイトを構築できるようにしたサービスが「クラウド型EC構築パッケージ」である。
SaaS
SaaSは「Software as a Service」の略で、クラウドのうちソフトウェアやアプリケーションを提供するものをいう。クラウドの中では最も身近で、GmailやMicrosoft 365などがこのSaaSに分類される。ECにおいては、クラウド型EC構築サービスとPaaSはほぼ同義で扱われることが多い。
PaaS
PaaSは「Platform as a Service」の略で、クラウドのうちアプリケーションの構築や実行に必要な開発環境(プラットフォーム)を提供するものをいう。一般にはあまり馴染みがないがエンジニアにとっては欠かせないもので、Microsoft AzureやCloud FoundryなどがこのPaaSに分類される。
IaaS
IaaSは「Infrastructure as a Service」の略で、クラウドのうちサーバーやストレージなどのインフラを提供するものをいう。PaaSと同じく主にエンジニアが活用するサービスで、HaaS(Hardware as a Service)と呼ばれることもある。ECにおいては、WMS(倉庫管理システム)がこのIaaSに分類される。
<参考>

クラウド型EC構築パッケージのメリット・デメリット
メリット
クラウド型EC構築パッケージの主なメリットは、自動アップデートで最新性を保てることと、それによりセキュリティに優れることである。フルスクラッチほどではないもののカスタマイズできる幅が広く、導入までの期間も比較的短く済むほか、クラウド上で動作するため自社サーバーを用意する必要がない点も特徴として挙げられる。
デメリット
デメリットとしては、基本的には中規模以上の企業向けで価格が高めのサービスが多いことと、クラウド上で運用するため自社での保守が行えないことである。現在では低価格帯のサービスも登場しており、後者については保守の手間が省けるというメリットにもなりえるが、自社の環境に適合するかどうかについては必ず確認しておきたい。
クラウド型EC構築パッケージの比較
クラウドが持つメリットはECとも相性がよく、それをECサイト構築に活かしたサービスも増えてきた。価格を抑えたものや特定の業界に特化したものなど多彩なサービスが登場し、今では19ものクラウド型EC構築パッケージが市場に存在している。それゆえ、クラウド型ECそのものを理解できたとしても、サービスごとの違いやそれぞれの特徴については把握しづらいのが現状だ。
そこで、ここではeccLabオリジナルの、19サービスの価格・特徴などを網羅的に一覧化した「サービス概要の一覧比較」ファイルと、全サービスを事業規模と機能特性の2軸でマッピングした「サービスマッピング」ファイルの2種類を用いて、どのような特徴があるのかを説明していく。
サービス概要の一覧比較
おすすめポイント
- クラウド型EC構築パッケージを全て網羅
- 全サービスを価格、機能などの項目毎に比較
- エクセルでの提供のため、並び替えや項目の削除などカスタマイズが可能
サービスマッピング
おすすめポイント
- 2軸でマッピングしサービスの特徴把握が可能(※eccLab編集部独自の判断による)
- 全サービスを一目で把握
※サービス概要の一覧比較資料(エクセル版)とサービスマッピング資料(高解像度PDF版)のダウンロードはこちらから行えます。
比較資料をダウンロード
クラウド型EC構築パッケージを比較してみると
クラウド型ECパッケージは価格の幅が広く、用途もバリエーションに富んでいるのが特徴だ。もともとが中規模以上の企業に適している形態のため汎用性が高くやや高額なサービスが多い傾向にあるが、今ではファンビジネスなど特定の業界に最適化されたものや初期費用無料で始められるものもあり、導入できる自社環境と適したサービスがあれば比較的導入しやすいともいえる。クラウド型EC構築パッケージは一度導入すれば自動でアップデートされ続けるため保守の手間を抑えられるほか、最新性を保てることからセキュリティ面の信頼度も高いなど、業界を問わず活用しやすい形態だ。フルスクラッチよりも予算を抑えつつ理想の自社ECを構築したい場合は、導入を検討してみるとよいだろう。
クラウド型EC構築パッケージ探しにお困りの方は
eccLabサービスマッチングでは、コンシェルジュが直接EC事業者様の課題や希望のサービスのヒアリングを行う「コンシェルジュマッチング」と、現状を細かくテンプレートに入力いただきシステム上で最適なサービスをご紹介する「AIマッチング」の2種類の手法で、あなたに最適なサービス探しのご支援をします。詳しくはこちらから。
代表的なクラウド型EC構築パッケージの紹介
それでは、クラウド型EC構築パッケージのうち代表的なサービスを見ていこう。
SAP Commerce Cloud
SAPジャパン

SAPジャパンが運営するSAP Commerce Cloudは、多言語・他通貨対応でグローバルに活用できる大企業向けのサービスだ。主にB2B、B2C、B2B2Cに向けて構築されており、非常に複雑なカタログや商品情報などの管理が可能である。マルチデバイス、オムニチャネル、ヘッドレスコマースに対応し、製品情報管理ソリューションも提供しているため、高度なサービスを求める事業者は一度検討してみるといいだろう。
Oracle Commerce
日本オラクル株式会社

日本オラクル株式会社が運営するOracle Commerceは、多彩な販売手法に対応できるECプラットフォームだ。BtoBとBtoCの機能が備わっているほか、BtoDやサブスクリプションにも対応できる拡張性の高さが特徴。ECサイトや実店舗などの販売チャネルを統合できるため、実店舗にある商品をECサイトから購入するといったことも可能になる。日本語対応はしているが英語で書かれている情報も多いので、この点をクリアできる企業にとっては心強い味方となるだろう。
その他サービス
クラウド型EC構築パッケージの選び方
それでは、19もあるクラウド型EC構築パッケージをどのように選んでいけばいいだろうか。選ぶ際に気を付けるべきポイントを考えていく。
コスト
クラウド型EC構築パッケージは、初期費用と月額費用で基本的な機能をほぼ利用できる。ただし、従量課金のほか、カスタマイズの有無でその保守費用などが発生するケースもあるので、利用したい機能が全て含まれているかも含め、料金体系の詳細は必ず確認しておきたい。また、その総額が自社の売上規模に見合っているかどうかもしっかりシミュレーションする必要がある。安価なサービスの場合はこの限りではないが、標準的な価格帯のクラウド型EC構築パッケージは年商1億円以上の事業者に見合うとされているので、目安にするといいだろう。
カスタマイズ性
フルスクラッチに次いで柔軟なカスタマイズができるクラウド型EC構築パッケージだが、その範囲や適性はサービスごとに微妙な違いがある。今後の海外展開を考えているか、従来の商習慣に対応できるシステムにするか、会員ページなど細かな箇所までカスタマイズするかなど、各ケースで最適なサービスは変わってくる。要件定義の時点では自社の考える形に柔軟に対応できるかどうか分からなくても、サービス提供側は経験に基づき判断できるので、導入検討時点でしっかりと伝え相談していくことが大切だ。自社の想定に近い導入事例の有無も判断材料になるだろう。
外部サービス連携
API連携などの外部サービス連携は、業務効率にも関わる重要なポイントである。クラウド型EC構築パッケージを選択する事業者は特にバックエンド業務が膨大になっていると考えられるので、基幹システムとの連携も含めて必ず確認しておきたい。連携できる外部サービスが多いに越したことはないが、標準機能の範囲でどこまで連携できるか、積極的に連携先を増やし続けているかなども参考になる。標準機能外での連携を希望する場合は、連携実績があると心強い。
得意な業界
どのサービスも全ての商材での活用が可能ではあるが、やはりそれぞれ得意な業界と言うものが存在する。導入事例などを確認の上、自社の商材の実績があるのかを確認し、実際のそのサイトを確認してどのような使われ方をしているのかまで確認することをおすすめする。
※ここで紹介したサービスの選び方を丁寧に解説した資料のダウンロードはこちらから行えます。