【2024年最新版】自由度の高いオープンソースECパッケージ全11サービス徹底比較。サービス詳細や選び方を解説

 

ECサイトを構築しようとした際、ショッピングモールやカートASPを利用したり、フルスクラッチで開発するなど多種多様な手段が存在する。中でも、ECパッケージのソースコードを無償でサーバーにインストールして利用できるのがオープンソースである。ECサイトの基本的な機能を無料で利用できるので開発コストを押さえられるうえ、ソースコードの改変も自由に行うことができるなど、カスタマイズ性に富んでいるのがオープンソースパッケージの特徴だ。本記事は、自由度の高い全11種のオープンソースECパッケージをピックアップし、それぞれの特徴やサービスの選び方について考えていくeccLabの特集企画となる。

 

<参考>

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オープンソースの基礎知識

 

まず、オープンソースとは何かについておさらいしておこう。オープンソースとはソフトウェアを構成するプログラムのソースコードが無料で一般公開されており、誰でも自由に利用や、改変、再配布ができるのが特徴だ。また、有志のユーザーがバグを修正したり、機能の追加を行うことで、継続的に改良され続けるソフトウェア方式というメリットもある。ECサイト構築におけるオープンソースはカートASPよりもカスタマイズ性に優れ、フルスクラッチやパッケージよりもコストパフォーマンスに優れるという位置づけにある。さらに、拡張機能やプラグインが豊富で必要な機能はほぼ揃っていることに加え、ソースコードが公開されているためバグの早期発見等サイトの安定性もある。このように汎用性が高く低コストという利点から選ばれることの多い形態だ。

 

 

 

オープンソースECとECサイト構築パッケージの違い

 

オープンソースECは誰でも無料でダウンロードできるため、初期費用を抑えられる他、カスタマイズ性の幅が広いというメリットがある。一方、ECサイト構築パッケージはプロバイダーと契約するため導入費用は高くなるものの、セキュリティの安定性が高いことや拡張は自社でする必要がないため、スキルがなくても利用できる。逆にオープンソースの場合は、カスタマイズ部分のセキュリティチェックや、脆弱性が公開された時のバージョンアップ等の修正を自社で行う必要がある。

 

 

ECサイトをオープンソースで構築する際のメリット・デメリット

 

強み

オープンソースECパッケージの強みは、パッケージ自体の安さやカスタマイズの自由度が高い点、更に自社で自由にデータを活用したい場合にも有効だ。無料で利用できるサービスも多く、初期費用を抑えてスタート可能な他、あらかじめ用意されているテンプレートやプラグインなどを上手く組み合わせて使うと、安価にECサイトを始めることができる。

 

注意点

多くのメリットがある一方、構築やメンテナンスの際に高度な知識が必要になる点や、その点を踏まえてのベンダー選定には注意が必要だ。安全面の改善策としては、社内で人材を確保することが望ましいが、もし不安がある場合は専門の企業に依頼することも検討し、セキュリティ対策や保守管理をしっかりと行ったうえで運用しよう。

 

プラットフォームの決め方

先ほども紹介したがオープンソースでは外部に公開されているソースコードを利用するため無料やカスタマイズ性が高い等のメリットがある。その一方、セキュリティ面で何か問題があった時は自社で対応する必要がある。そのため、利用する場合はWEB作成スキルやPHP、JAVA等の高度な知識が必須であり、自社の難易度は高い。ただし、ECパッケージやASPでカスタマイズに限界を感じていたり、費用が割高になっていると感じる場合は、費用対効果の面でもオープンソースを検討してもいいのではないだろうか。

 

それでは、代表的なオープンソースECパッケージを見ていこう。

 

 

各オープンソースECパッケージの比較

 

カスタマイズ性に優れるうえ初期費用を抑えられることから、根強い需要のあるオープンソースECパッケージ。パッケージの枠組みを越え、CMSにインストールするプラグインの形態で提供されるものも登場するなど、そのサービスの幅は今でも広がり続けている。市場には多種多様なオープンソースECパッケージが全11種も存在しているが、ゆえにそれぞれのサービスの違いや特徴が分かりにくくなっているのも事実だ。

そこで、ここではeccLabオリジナルの、全11サービスの価格・特徴などを網羅的に一覧化した「サービス概要の一覧比較」ファイルと、全サービスを適性のある市場と機能特性の2軸でマッピングした「サービスマッピング」ファイルの2種類を用いて、どのような特徴があるのかを説明していく。

 

サービス概要の一覧比較

おすすめポイント

  • 全てのオープンソースECパッケージを網羅
  • 全サービスを価格、機能などの項目毎に比較
  • エクセルでの提供のため、並び替えや項目の削除などカスタマイズが可能

 

サービスマッピング

おすすめポイント

  • 2軸でマッピングしサービスの特徴把握が可能(※eccLab編集部独自の判断による)
  • 全サービスを一目で把握


※サービス概要の一覧比較資料(エクセル版)とサービスマッピング資料(高解像度PDF版)のダウンロードはこちらから行えます。
比較資料をダウンロード

 

オープンソースECパッケージを比較してみると

ECサイトの構築でオープンソースを採用する場合、自由度の高さを最大限に活かすには専門的な知識が必要となる。ハードルは高いものの、商材に合わせたカスタマイズやデザインを自由に行えるので、多彩な商材に対応することが可能だ。しかし、セキュリティのチェックやメンテナンスを自身で行う必要があるため、注意が必要だ。

サービスによっては無料で導入できるなどコストパフォーマンスの高さも特徴だが、カスタマイズや機能追加などで凝れば凝るほどランニングコストがかさみやすい点は覚えておきたい。サービス導入前に目的を明確にして必要な機能を洗い出し、基本料金内で利用可能な機能を確認しておくほか、専門的な人材を確保することも重要だ。本格的なECサイトを構築できるものからCMSにプラグインを追加することで比較的簡単に利用できるものまで多彩なサービスが存在するため、自社で無理なく運用できるものを選ぶとよいだろう。

 

オープンソースECパッケージ探しにお困りの方は

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eccLabサービスマッチング

 

 

各オープンソースECパッケージの紹介

 

それでは、代表的なオープンソースECパッケージを見ていこう。

 

EC-CUBE

株式会社イーシーキューブ

株式会社イーシーキューブが提供するEC-CUBEは2006年に日本初のオープンソースECパッケージとしてリリースされ、現在は180万ダウンロードを突破、推定35,000店舗以上で稼働し、国内No.1のシェアを誇っている。基本的なサービスである商品紹介等のフロント機能と、商品管理・顧客管理・店舗管理・システム設定等は無料で利用でき、追加したい機能はプラグインとしてダウンロードする形となっている。プラグインの中でも、おすすめ商品情報の追加や割引クーポンといった機能は無料で利用することができ、有料プラグインを利用するとさらに商品オプション指定やインボイス対応の帳票出力といった機能が利用可能となる。Ver. 4.0.1以降のパッケージでは英語に翻訳されたデータが同梱されるようになったため、表示言語を日本語または英語に切り替えることができ、越境ECにも対応可能だ。さらに、有料プラグインを利用すれば多言語化や海外住所入力も行えるが、高額なものも一部存在する。

その他、利用環境も整備されており、公式決済サービス「EC-CUBEペイメントプラス」はGMOペイメントゲートウェイ株式会社の子会社で、企業に合わせた料金プランが3種類用意されており、現在40,000社以上で利用されている。上記のことから業界No.1という強みを生かした、一貫したECサイト構築の運営支援に強みを持っていることがよくわかる。

また、EC-CUBEをベースにパッケージ化されたサービスも多数リリースされている。代表的なものは1,000社以上の導入実績を誇るEC-CUBE公式認定パッケージ「カゴラボ」や、イーシーキューブ社による大手企業向け「EC-CUBE Enterprise」などがある。共にEC-CUBEのカスタマイズを業界別のニーズをしっかり汲んだ形で実現しているパッケージだ。

 

Magento Open Source

アドビ株式会社

アドビ株式会社が提供するMagento Open Sourceは、無料のオープンソースパッケージである。高い柔軟性と拡張性から全世界でシェアを伸ばした2008年公開のオープンソース「Magento」が2018年Adobe社によって買収され、現在ではMagento Open Sourceという名称で提供されている。Magento Open Sourceは無料のサービスだが、クラウドベースの有料版「Adobe Commerce」も存在し、必要に応じて移行することが可能だ。Magentoはもともと海外で定番のサービスであり、越境ECに向いているほか、Adobe Experience Cloudに統合されたことで国内でも再注目されている。

基本的な注文管理や顧客管理機能のほかにも多言語や多通貨、国ごとの税管理に標準対応しており、海外向けのECサイト構築をスムーズに行うことができるのが特徴的だ。また、エクステンションと呼ばれる拡張機能の追加や書き換えといった動作も簡単に行うことができる。

2016年から公式に日本語が対応となり、管理画面やストアフロントの日本語化も日本語ロケールを使用することで可能となったが、開発や設定には英語が多く使用されているため、英語が苦手な人は操作がしづらい。追加された機能に対しては、Adobeのマーケットプレイスで公式にまとめられているほか、有償・無償ともに多くのサイトで公開されている。

 

Drupal Commerce

Centarro

Centarroが提供するDrupal Commerceは、オープンソースCMS「Drupal」に無料でEC機能を追加できる拡張モジュールで、現在ではオープンソースCMSの代表格として5万サイト以上へ導入されている。Drupalはベルギーで開発され(当時学生だったDries Buytaert氏が開発)、2001年にオープンソースのプロジェクトとしてリリースされたコンテンツマネジメントシステム(CMS)である。現在、日本ではデジタルサーカス株式会社が公式サポーティングパートナーとして、導入・保守サポートや関連サービスの提供を行っている。Drupal Commerceは、中・大規模サイト向けのハイエンドCMSとして開発されており、基本機能として管理システム、ショッピングカート、チェックアウトフォーム、CMSコンテンツ管理やサイト構築に対応している。他にも、セキュリティやSEOの機能が充実している、拡張モジュールを追加すればメルマガやSEO機能などをカスタマイズできる等の強みがある。さらに、拡張モジュールを追加すればメルマガやSEO機能などをカスタマイズでき、Drupal Commerceにおいても、これを追加することで、Drupalで構築したサイトにECの基本的な機能が追加可能となっている。また、コア Drupal API とモジュールを使用することで、アプリケーションや自作 ERP等のストアを統合し、自動化または強化することもできるようになる。

 

Welcart

株式会社Welcart

株式会社Welcartが提供するWelcartは、オープンソースCMSのECサイト構築プラグインで、WordPressにWelcartをインストールするだけでECサイトを構築でき、SEOに強いことが特徴だ。2009年にリリースされたWelcartは、で構築からカスタマイズ、運用まで対応する国内ECプラグインシェアNo.1のサービスであり、約27,000サイトで稼働している。商品管理や会員管理、クレジット決済などの基本的な機能はほぼ揃っており、一部有料の拡張プラグインを別途導入することでクーポンやダウンロード販売、定期購入などの機能をさらに追加できる。

また同社では、オープンソースで不安の多いアップデートやサーバー保守をカバーし簡単に導入できるパッケージ「Welcartクラウド」や、スタッフがサポートする有料のメールサポートのほか、ECサイト構築サービスの「WelCustom」、Welcartで困ったときに相談できる窓口「WelRescue」なども提供している。ECサイトの集客・業務効率化を支援する拡張機能やユーザー同士で情報交換できる公式フォーラムもあり、Welcartを運用していくうえで必要な環境は一通り揃っている。WordPressオープンソースCMSにECサイト機能を追加するという意味では先述のDrupal Commerceと類似しているが、こちらはWordPress専用の国産プラグインであり、機能的にも国内EC向けのサービスといえるだろう。

 

WooCommerce

Automattic

98か国に従業員を持つ分散型企業Automatticが提供するWooCommerceは、オープンソースCMS「WordPress」上でECサイトを構築するためのプラグインである。Welcartと似ているが、WooCommerceは世界的に利用されているサービスで、有効インストール数は400万以上、サポート対応は 24 時間年中無休で利用できるなどの特徴を持つ。また、サービスは基本的に無料で導入が可能で、配送、マーケティング、決済など非常に多くの拡張機能が提供されており、有料のプラグインを利用すればサブスクリプションやクーポンにも対応できる。

さらに、日本語対応テーマの「wooseum」など、有志によるサポートサイトがあり、国内でWooCommerceを活用するための環境もある程度整っているが、海外でのシェアが圧倒的なこともあり、基本的には海外ECとの親和性が高いサービスといえるだろう。

 

 

その他サービス

osCommerceopencartzancartSOLIDUS
nopCommerceprestashop

 

 

オープンソースECパッケージの特徴と選び方

 

それでは、11サービスもあるオープンソースECパッケージをどのように選んでいけばいいだろうか。選ぶ際に気を付けるべきポイントを考えていく。

 

セキュリティ対策が充実

オープンソースで最も意識したい点は、セキュリティ対策である。ソースコードが開示されているため、カートASPなどと比べると不安が残ってしまうからだ。サービスによってはセキュリティ専門の提携企業に無料診断を依頼できるもの、ライセンスを別途購入することでソースコードを開示せず利用できるもの、保守付きのホスティングサービスを有償で提供しているものもあるため、導入前にしっかりと確認しておこう。

 

プラグインのバリエーション

どのサービスも、基本的な機能は網羅されていると考えてよい。オープンソースECパッケージで差が出てくるのは、細かな機能を追加するプラグインのバリエーションだろう。シェア率の高いサービスであれば、それだけ有志によるプラグインの開発も盛んだといえる。海外発のサービスを国内ECで検討する場合は、プラグインの数だけでなく、国内の商習慣に合った機能のバリエーションがあるかどうかも確認しておきたい。

 

アップデートの頻度

アップデートの頻度が高く、アプリケーションを常に最新の状態に保てるかどうかも重要なポイントだ。不具合や脆弱性への対応に直結するほか、新たな機能が追加される場合もある。基本的には手動でのアップデートとなるが、サービスによっては自動アップデートを提供しているものも存在するため、必要に応じて検討するとよいだろう。

 

専門ベンダーの有無

オープンソースは基本的に提供元のサポートを受けることができないため、そのサービスを扱っている専門ベンダーの有無が重要になってくる。構築だけでなくセキュリティ面のサポートを依頼する場合などで必要になるほか、海外発のサービスを利用する際は支援企業の存在が特に大きいので、下調べは必ず行っておこう。

 

コミュニティが活発

導入・運用に関する細かな疑問やトラブルなどは原則として自社で解決していくことになるので、ユーザー同士で情報交換できるコミュニティの存在も欠かせない。コミュニティが活発であれば投稿への適切な回答も期待しやすく、スムーズな運用へとつながるため、コミュニティの有無だけでなくスレッドの内容なども含めて事前に確認しておきたい。

 

 

オープンソースECパッケージの躍進と未来

 

オープンソースのECパッケージはモールやカートASPと比較して自由度が高く、さらに拡張機能の開発も盛んであるため、自社のECサイトに最適な機能を追加・利用することができる。しかし一方で自由がゆえに導入に際して様々な手間が発生するのも事実だ。そのような状況においてもここ数年でオープンソースECパッケージの導入は進んでいるのは、EC-CUBEだけでなく、他の海外のパッケージについても国内にて導入をしっかりサポートできる支援会社の存在が大きいだろう。セミナーやカンファレンス、勉強会などを丁寧に開催し、国内の普及に努めているのだ。もともと海外での実績は圧倒的なパッケージなだけに機能は折り紙つきのため、一度導入が加速すると非常に楽しみなパッケージである。

オープンソースのECパッケージはそれぞれが魅力的な特徴をもっている反面、最適なサービスを選び出すことは難しい。「選び方ガイド」や「サービス比較資料」、更には「主要サービス紹介資料」を参考に、多数存在するサービスの中から、貴社の商材と販売手法に最もFITするサービスを見つけていただければ幸いである。

 

※ここで紹介したサービスの選び方を丁寧に解説した資料のダウンロードはこちらから行えます。