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越境EC
更新日2016/10/07 公開日2015/10/23

オープンソースECパッケージは自由度の高さで導入の手間を乗り越えられるのか - EC-CUBE、MAGENTO、DRUPALの躍進と未来

オープンソースECパッケージは自由度の高さで導入の手間を乗り越えられるのか - EC-CUBE、MAGENTO、DRUPALの躍進と未来

 

EC サイトを構築しようとした際、ショッピングモールやカートASPを利用したり、フルスクラッチで開発するなど多種多様な手段が存在する。中でも、ECパッケージのソースコードを無償でサーバーにインストールして利用できるのがオープンソースである。ECサイトの基本的な機能を無料で利用できるので開発コストを押さえられるうえ、ソースコードの改変も自由に行うことができるなど、カスタマイズ性に富んでいるのがオープンソースパッケージの特徴だ。今回はオープンソースのECパッケージを3つ取り上げ、その特徴を紹介する。

 

<参考>

ECをはじめたい!ときの選択肢 - 7つのプラットホームの存在を理解しよう

 

 

EC-CUBE

 

ECのオープンソースパッケージでも、代表的なものが株式会社ロックオンが提供する「EC-CUBE」だ。

 

 

EC-CUBEは2006年に日本初のオープンソースのECパッケージとしてリリースされ、現在は100万ダウンロードを突破。推定20,000店舗以上で稼働し、国内No. 1のシェアを誇っている。商品紹介などのフロント機能と商品管理・顧客管理・システム設定などの管理機能などの基本的なサービスを無料で利用でき、追加したい機能はプラグインとしてダウンロードする形となっている。プラグインでも商品情報の追加や割引クーポンといった機能は無料で利用することができ、有料プラグインを利用するとさらに商品オプション指定やクール宅急便の指定といった機能が利用可能となる。多言語対応版「EC-CUBE」も2013年にリリースされており、こちらを利用することで英語版の開発も可能となっているが、別の言語ファイルを作成することで英語以外の言語にも対応することができる。

EC-CUBEによってその他の利用環境も整備されており、ニフティと共同提供されている唯一の公式サーバー「EC-CUBEクラウド」を利用すると、EC-CUBEがプリインストールされているため簡単に利用を開始することができる。また公式決済サービス「EC-CUBEペイメント」はGMOペイメントゲートウェイと資本業務提携をおこない9割以上の決済手段をカバーしているほか、導入後も売り上げ目標をサポートするコンサルティング系サポートを行っている。業界No. 1という強みを生かした、サーバーから決算まで一貫したECサイト構築の運営支援に強みを持つのが特徴だ。

また、EC-CUBEをベースにパッケージ化されたサービスも多数リリースされている。代表的なものは800社の導入事例を誇る株式会社アラタナカゴラボと、720社の導入事例がある株式会社エスキュービズム・テクノロジーEC-Orangeだ。共にEC-CUBEのカスタマイズを業界別のニーズをしっかり汲んだ形で実現しているパッケージだ。

 

 

Magento

 

Magento(マジェント)」はアメリカのMagento社が提供する無料のオープンソースパッケージである。

 

 

2008年に公開され、高い柔軟性と拡張性から全世界でシェアを伸ばし、現在はおよそ15万サイトが利用しているオープンソースだ。現在もサービスの開発が続けられており、日本では株式会社フラッツがMagento社とソリューションパートナー契約を提携して有償版を提供しているほか、公式の日本語コミュニティMagento-JPなどで開発者同士の情報のやり取りが行われている。

基本的な注文管理や顧客管理機能のほかにも多言語や多通貨、国ごとの税管理に標準対応しており、複数のドメインのサイトを一括運営できるため、海外向けのECサイト構築をスムーズに行うことができるのが特徴的だ。また、エクステンションと呼ばれる拡張機能の追加や書き換えといった動作も簡単に行うことができる。Magento開発環境の日本語対応もエクステンションを使用することで可能となる。全世界のサードパーティーが開発したエクステンションは「Magento Connect」で公式にまとめられているほか、有償・無償ともに多くのサイトで公開されている。

 

 

Drupal Commerce Kickstart

 

Drupal Commerce Kickstart」はオープンソースCMS「Drupal」に無料でEC機能を追加できる配布パッケージだ。

 

 

Drupalはベルギーで開発され(当時学生だったDries Buytaert氏が開発)、2001年にオープンソースのプロジェクトとしてリリースされたコンテンツマネジメントシステム(CMS)である。中・大規模サイト向けのハイエンドCMSとして開発されており、基本機能として110言語に対応しているほか、セキュリティやSEOの機能が充実しており、海外ではオープンソースCMSの代表格として80万サイト以上への導入があり、非常に高い知名度を誇っている。日本ではデジタルサーカス株式会社が公式サポーティングパートナーとして、導入・保守サポートや関連サービスの提供を行っている。DrupalにはCMSコンテンツ管理やサイト構築などのとしての基本的な機能がそなえられており、拡張モジュールを追加すればメルマガやSEO機能などをカスタマイズできる。Drupalの公式コミュニティサイトDrupal.orgで無料提供されているモジュール「Drupal Commerce」を追加すれば、ECサイトの基本的な機能を追加することが可能だ。

また、サイト構築の目的別にDrupalのモジュールを組み合わせた「ディストリビューション」と呼ばれる配布パッケージを利用することで、簡単にサイトのカスタマイズを行うことができる。ニュースサイト向けや教育機関向けなど600以上のディストリビューションが提供されており、EC向けの無料ディストリビューション「Commerce Kickstart」を利用すれば、はじめからフルECサイトとしてカスタマイズされたサイトを構築できる。Commerce Kickstartは商品検索やカート、購入フローといったフロント機能と、商品・注文・顧客管理、決済や配送サービスへの連携を含めた管理機能をすべてパッケージ化している。

Drupalを利用したサイト構築経験があり、既存のサイトを活かしてECサイトを構築する場合はモジュールのDrupal Commerceを利用し、初めてDrupalを利用してECサイトを1から構築する場合はディストリビューションのCommerce Kickstartを利用すると良いだろう。

 

 

EC-CUBE、MAGENTO、DRUPALの躍進と未来

 

オープンソースのECパッケージは、モールやカートASPと比較して高い自由度が特徴的だ。さらに拡張機能の開発が盛んであるため、自社のECサイトに最適な機能を追加・利用することが可能となっている。しかし一方で自由がゆえに導入に際して様々な手間が発生するのも事実だ。

しかしそのような状況においてもここ数年でオープンソースECパッケージの導入は進んでいるのは、EC-CUBEだけでなく、他の海外のパッケージについても国内にて導入をしっかりサポートすることができる支援会社の存在が大きいだろう。セミナーやカンファレンス、勉強会などを丁寧に開催し、国内の普及に努めているのだ。もともと海外での実績は圧倒的なパッケージなだけに機能は折り紙つきのため、一度導入が加速すると非常に楽しみなパッケージである。

 

 

最後に現時点での各サービスの特徴をまとめてみよう。

EC-CUBEは日本発のオープンソースECパッケージであるため、日本語対応のカスタマイズをすることなく簡単に利用を開始できるうえ、国内の多くの決済モジュールや物流サービスに対応している。他の2つと比較すると海外向けの基本機能は弱いが、国内の導入実績やパートナー企業が多く、運営支援などのサービスが多種多様に存在する。国内において開発が活発に行われているのも国内シェアNo.1の強みだろう。

Magentoは多言語や複数ドメインに対応しているため、海外向けECサイトの構築に便利だ。オープンソースを日本語対応させるためにエクステンションを利用する必要があるが、多通貨や海外の税率に標準対応している点が魅力的だ。

Drupal Commerce KickstartはもともとCMSの拡張機能ということもあり、Webサイトとしての拡張性の高さが特徴的だ。EC専用に開発されたオープンソースではないため基本的なEC機能が他の2つに比べて弱く、Magento同様に海外生まれのオープンソースとしての不便さも存在するが、サイトとしてのコンテンツを多く含むECサイトを構築する際にモジュールやディストリビューションの拡張性を活用することができる。

オープンソースのECパッケージはそれぞれ魅力的な特徴をもっている。それぞれの特徴を理解したうえで、自社のECサイト構築に最適なパッケージを選択すると良いだろう。

 

 

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