買い物客の考え方は変化しており、Googleの最新データは、2025年のホリデーシーズンを勝ち抜くためにマーケターが理解すべき認知パターンを示している。


買い物客の考え方は変化しており、Googleの最新データは、2025年のホリデーシーズンを勝ち抜くためにマーケターが理解すべき認知パターンを示している。

2025年のホリデーシーズンは、ここ数年で最も心理的に複雑なショッピングシーズンの一つである。買い物客は慎重になり、予算は逼迫し、ブランドへの信頼はこれまで以上に重要になっている。しかし、こうした細分化の裏側で、Googleの最新レポート「Holiday Essentials 2025(2025年ホリデーシーズンレポート)」は、より深い変化を明らかにしている。人々の行動が変化しているだけでなく、考え方も変化しているのだ。

MarTechでの投稿を読んだり、メールマーケティングにおける行動科学についての私の講演を聞いたりしたことがある方は、私が人々の意思決定方法に合わせたメッセージの設計に重点を置いていることをご存知だろう。「競争型」、「計画型」、「自発型」、そして「共感型」という4つの購買者様式(バイヤーモダリティ)がこのアプローチの基盤となる。それぞれが、人々が情報をどのように解釈し、リスクを評価し、購入前に自信を築くかを形作る、独自の認知スタイルを反映している。

Googleの新たな調査結果はさらに一歩踏み込み、これらの購買者様式が現実のものであり、ほぼすべてのホリデーシーズンの購買プロセスに影響を与えていることを示している。そしてそのデータからは、2026年までの計画立案において最も重要な4つの知見が浮かび上がっている。


1. 熟考型消費者の台頭

まず、本報告書で最も説得力のある図表である「熟考型ホリデーシーズン消費者」の調査グラフから始めよう。以下が最も関連性の高い統計データだ。

  • 買い物客の51%は、「お金を節約するために時間をかけること」を重視
  • 63%は、「衝動買いよりもお得な買い物」を優先
  • 53%は、「『気分が乗った時』に買うよりも、事前に計画を立てる」ことを好む

要するに、買い物客の大半は競争型または計画型の行動様式を示している。これだけでも重要な示唆であるが、Googleはさらに踏み込んでいる。

  • 50%の消費者が、ホリデーシーズンでも、その他の時期と同程度の購入前リサーチを実施
  • 38%は、それ以上のリサーチを行っている
  • 61%は、カスタマージャーニーにおいて5つ以上のタッチポイントを利用。
  • そして、Google、YouTube、またはその両方が、カスタマージャーニー全体の86%で利用されている

影響を考慮すると、これは単なる慎重さの問題ではないことがわかる。認知スタイルの問題でもあるのだ。競争的で計画的な購買者は、比較し、検証し、確認できる環境で力を発揮する。Googleの調査結果によると、ホリデーシーズンはこうした傾向を強めるようだ。つまり、買い物を時間通りに終わらせなければならないというプレッシャーが高まっているにもかかわらず、消費者は依然として細かい文字で書かれた内容を読んでいるということである。

出典:Googleの委託により、Economist Impact(エコノミスト誌を発行する英国The Economist Groupの調査・分析部門)が実施した「Future of Retail Marketing(小売マーケティングの未来)」に関するオンラインショッパー調査。対象国:オーストラリア、カナダ、ドイツ、インド、英国、米国。対象者:18~65歳の買い物客6,012人。調査期間:2025年7月〜8月。

 

2. Googleの新たな「価値方程式」が購買者様式に対応

Googleは現代の消費者の優先事項を3つの柱で定義している(本報告書の6~8ページ)。

  • 適正価格
  • 商品への信頼性
  • 購入の利便性

これらの柱はそれぞれ、購買者様式と対応している。

適正価格 = 競争的なモダリティ

Googleの報告書によると、買い物客のほぼ半数が積極的に価格を比較し、大規模なセールを利用している。また、32%は割引が出た時だけ購入している。これはまさに「お得を勝ち取りたい」という典型的な競争型の行動である。

商品への自信 = 計画型 + 共感型

計画型の購買者は、詳細な情報、検証、レビュー、そして長文のコンテンツを求める。一方、共感型の購買者は、信頼、人間的な安心感、そして社会的証明を求める。

Googleの調査結果は、どちらの購買者にも当てはまる。

  • 検索は、買い物客が事実を確認するために最も頻繁に利用する手段である
  • ソーシャルメディアユーザーの70%が、Googleで発見した情報を検証している
  • YouTubeクリエイターは今や、製品に関する洞察を得るための最も信頼できる情報源の一つである
  • 80%の人が、「YouTubeはより自信を持って購入を決定するのに役立つ」と回答している

もし私が「計画型」と「共感型」の購買行動パターンを定義する行動研究を作成していたなら、ほぼこれと同一のものになっていただろう。

購入の利便性 = 衝動買い

自発型の購買者は、スムーズな決済プロセスさえ提供されれば、直感的に素早く決断する。Googleは衝動買いをする顧客がその場で「購入する」と決断するために必要な要素を次のように挙げている。

  • 迅速な配送
  • 柔軟な返品
  • スムーズな決済
  • パーソナライズされた関連性
  • 在庫の可視性

 

3. GoogleAIエコシステムは、モダリティも強化する

GoogleはAIを活用した発見、創造、最適化に重点を置いており(本報告書の14~17ページ)、さまざまなモダリティを自動的にサポートしている。

  • 競争型:動的価格シグナル、検索注釈、ショッピング内で直接表示されるお得な情報
  • 計画型:詳細なAI による概要、マルチモーダル検索結果、構造化された商品データ
  • 共感型:クリエイターとの提携、本物の動画コンテンツ、レビュー主導の発見
  • 自発型:ワンクリックでのパーソナライゼーション、高速で読み込むランディングページ、ストレスのない購入経路

GoogleのAI強化の潜在的な素晴らしさは、買い物客が何を探しているかだけでなく、どのように考えているかに応えている点にある。

 

4. マーケターはチャネルだけでなく、認知的適合性も考慮して最適化する必要がある

Googleの調査から得られるメッセージは明白だ。買い物客は画一的なメッセージには反応しない。彼らは認知的適合性に反応するのだ。

メールやページ、自動化、ジャーニーを4つのモダリティすべてに同時に対応できるよう設計するマーケターは、メールチャネルのみに最適化するマーケターよりも優れた成果を上げることができる。つまり、コピーは的確で、思慮深く、包括的であるべきであり、ページを小さな文字で長々と埋め尽くすようなことは避けなければならない。これは大変な仕事だが、コピーライターはそれに対応できる準備ができているべきだ。

皆さんがこう考えているのが聞こえてきそうだ。「キャス、これを全部1通のメールにまとめるにはどうすればいい?キャンペーンを4つも作らないといけないのか?」と。とんでもない!それは無理だろう。それに、スタートの号砲が鳴り、レースが始まった今、そんな時間なんて誰にもない。

代わりに、シンプルなデザインと厳選された言葉で、顧客が求める意味を伝えることができる。たとえば、自発型の購買者向けのキャンペーンを1つ用意し、計画型の購買者や共感型の購買者がクリックして詳細情報を得たくなるようなコンテンツを作成するといった方法がある。これはほんの一例だ。 他にもアイデアはある。

  • 競争型の購入者:価値を示し、明確に比較し、価格を固定し、勝利を証明しよう。
  • 計画型の購入者:深みのある、構造化された情報や詳細なコンテンツを提供しよう。
  • 共感型の購入者:顧客の声、クリエイター、ユーザー生成コンテンツ、そして人とのつながりを重視したコピーを活用しよう。
  • 自発型の購入者:摩擦を減らし、意思決定を迅速化し、障壁を取り除こう。

これはパーソナライゼーションではなく、説得である。思い込みではなく、行動科学に基づいたものなのだ。

重要なポイント:4つの購買者様式は単なる理論ではない

長年、マーケターたちはこうしたパターンを直感的に察知してきた。今やGoogleのグローバルデータがそれを実証的に裏付けている。私たちが目撃しているのは単なるホリデーシーズンの行動パターンではない。より大きな利害が絡む状況下で増幅される人間の行動そのものなのだ。

だからこそこのフレームワークは非常に強力である。メールジャーニー、ランディングページ、広告、自動化を作成する場合でも、「4つの購買者モダリティ」は脳に働きかけるコミュニケーションを設計するためのブループリントを提供する。

競争優位性としての心理学

2025年のホリデーシーズンは、例年よりも慎重でリサーチ重視になるかもしれないが、その表面下には驚くほど揺るぎない真実が潜んでいる。人々の考え方、処理方法、そして意思決定は、それぞれ異なるのだ。

Googleの新しいレポートは、過去のホリデーキャンペーンで見落としていた可能性のある点や、目標や期待に沿わない結果をもたらした要因を明らかにし、そのパターンを浮き彫りにする。

これらのモダリティを受け入れ、特にAIを活用した環境で取り入れることで、顧客との関係を深め、彼らが競合他社を見る前に貴社を選んでもらうことができる。それぞれのモダリティの違いを認識することは、次のような有益な結果をもたらす。

  • 信頼を築く
  • 意思決定を迅速化する
  • 摩擦を減らす
  • 価値の高い顧客を引き付ける
  • 最も大きな声で発信されるモダリティや、自分の好みに合うタイプのメッセージだけでなく、すべての人に響くメッセージを作る

それこそが、ホリデーシーズンを勝ち抜く真の意味なのだ。


※当記事は米国メディア「MarTech」の12/9公開の記事を翻訳・補足したものです。