データは、AIによってリピート検索が削減され、トラフィックが集中し、パブリッシャーの収益機会が減少するにつれて、見つけたい情報が発見しづらくなっていることを示している。


Datos(米国のクリックストリームデータ分析企業)とSparkToro(オーディエンス・インテリジェンスツールを提供する米国のソフトウェア企業)が共同で発表した最新レポートによると、米国のGoogleユーザーの検索数は1年前よりも大幅に減少しているという。同データは、Googleがユーザーを失っているのではなく、「リピート検索を失っている」ことを示唆している。

Googleは依然として検索市場を支配しているが、その状況は大きく変化している。ユーザー1人あたりの検索数が減ることは、たとえ総検索数が安定しているように見えても、クリック、広告表示、トラフィック獲得の機会も減少していることを意味する。

数千万人の米国ユーザーからのクリックストリームデータによると、ユーザー1人あたりのGoogleデスクトップ検索は前年比でおよそ20%減少したという。

  • この減少幅は欧州とは対照的で、欧州ではユーザー1人あたりの検索回数の減少幅がわずか2~3%である。
  • ユーザー1人あたりの検索数は減少しているものの、従来の検索は依然として米国のデスクトップアクティビティ全体の約10%を占めており、この割合は 2025年を通じてほぼ横ばいで推移した。


何が原因か

この減少の原因は何だろうか?同レポートによると、「AIを活用した回答」と「即時結果」が最も有力な要因だという。

  • ユーザーは、何度も検索を繰り返すことなく、必要な情報を入手できるようになっている。
  • ゼロクリック検索(ユーザーがキーワードを入力しただけで、Webサイトに訪問することなく検索結果ページ上で探していた情報が見つかること)は依然として高い水準を維持しているものの、増加ペースは鈍化し、2025年末には20%台前半の横ばい状態となった。
  • Google傘下のプロパティ内でのリピート検索数やクリック数にはわずかな変化しか見られず、行動パターンが現在のレベルで落ち着いていることを示している。

AIは人々の検索方法を再構築しているが、それは一部の人々が思い描いていたようなかたちではない。AIはユーザーを検索から完全に遠ざけるのではなく、既存の検索行動に重ねる形で組み込まれつつあるのだ。
AIツールは大きな注目を集め、1年間で力強い成長を遂げたにもかかわらず、米国のデスクトップアクティビティ全体の1%未満である0.77%を占めるに過ぎない。特にGoogleの「AIモード」は12月時点で米国のデスクトップアクティビティ全体の約0.06%と依然として規模は小さいものの、導入数は着実に増加している。

さらに、検索クエリは長くなっている。これは、人々の検索行動の中で最も顕著な変化の一つである。

  • 米国では、6~9語の中程度の長さのクエリが最も急速に増加している。
  • 15語以上の非常に長いクエリは依然として稀だが、変動性が高く、ユーザーの実験的な傾向を示している。
  • 全体的に、ユーザーは複雑なニーズを検索で直接表現することに慣れてきているようだ。

そして、求める情報を見つけることはますます困難を極めている。検索主導型の発見はより集中化しており、参入もより難しくなっている。同レポートによると、検索後にたどりつくところは基本的には変わっていないとのこと。

  • YouTubeReddit(米国発の大規模掲示板型SNS)、Amazon、WikipediaFacebook が依然として優勢である。
  • ChatGPTは米国の検索サイトで7位に上昇し、数少ない顕著な躍進をみせたサイトの1つとなった。
  • Quora(世界最大の知識共有、Q&Aプラットフォーム)はトップ15から脱落した。


トラフィックは少数の主要プラットフォームに集中

AIツールからのトラフィックは、新規または独立系パブリッシャーに流入するのではなく、少数の既存プラットフォームに集中する傾向が強まっている。米国ではChatGPTが依然として主要なAIツールであり、デスクトップAIユーザーの約4分の1から3分の1に利用されている。一方、GoogleのGeminiは確固とした2位に浮上し、2025年まで着実に成長し、DeepSeek(中国発の大規模言語モデル)を追い抜く勢いだ。Claude(Anthropic社が開発した生成AI)、Perplexity(回答生成型検索エンジン)、Copilot(Microsoft社による生成AI搭載の高度な会話型アシスタント)などの他のAIツールは、ニッチなユーザー層を対象としており、今のところ大規模な普及には至っていない。

SparkToroの共同創設者兼CEOであるRand Fishkin氏は、同レポートで次のように述べている。

「ここで注目すべきは、2024年から2025年にかけてGoogle検索数/検索者数が減少していることだ。米国では約20%の減少である一方、EU/英国ではわずか2~3%の減少にとどまっている。他の調査では、Googleのトラフィック数が過去数年に比べて減少していることが示されており、特にWebのロングテールへのトラフィックが減少している。AIによる回答が多くのユーザーのGoogle活用方法を劇的に変化させ、オーガニック検索結果をクリックしたり、2、3、4回目の検索を行う前にユーザーの疑問に答えられるようになったためではないかと推測している」。


※当記事は米国メディア「Martech」の1/28公開の記事を翻訳・補足したものです。