オンラインとオフライン双方の利点を融合したショッピングサービスとは | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
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マーケティング
2018/10/04

オンラインとオフライン双方の利点を融合したショッピングサービスとは

かつて(時には現在でも)、激しいライバル関係にあったオンラインとオフラインのショッピング業界。しかし、顧客エンゲージメントとリテンションの向上のためには、双方が協力しなければならない時がきている。なかには、オンライン小売業者の成長によって収益が減少している従来型実店舗の小売業者もいる一方で、ショッピング体験における実店舗が担う重要な役割は、依然として存在している。そこで、両者が協業すれば、オンラインとオフラインのシームレスなショッピング体験を求める顧客の新たなニーズを満たし、ブランドの成長と収益増加を実現することができるのではないだろうか。

 

利便性と実験的なショッピング体験への要求が高まりから、今日の顧客はオムニチャネルでのショッピングを好む。つまり消費者は、オンラインとオフラインの小売業者の両方を利用し、ショッピングを完結させているということだ。一つの商品を購入する前に、オンラインとオフライン双方のチャネルを訪問している。したがって、ユニークで計画性の高いオムニチャネル体験を提供する小売業者は、今日の顧客の注目を集め、売上を伸ばし、トップに立つことができるだろう。

 

ショッピング体験の蓄積:高まる買い物客の要求

体験型小売への取り組みによって、従来型実店舗が息を吹き返している。そして顧客は、さらなるショッピング体験を求めている。ショッピングを次のレベルに引き上げるような、ユニークな実店舗体験を期待しているのだ。顧客は体験型小売がもたらす付加価値を期待し、新しい方法で製品との関わりを持ちたいと考えている。そしてオンラインであれオフラインであれ、カスタマイズされた体験を求めている。つまり、製品やブランドと深いレベルでつながり、知識が豊富なスタッフによる1対1の接客を望んでいるのだ。

 

優れた体験型小売環境を提供するために小売業者は、「直感的」で「人間的」、「有意義」「没入型」「パーソナライズされた」「利用しやすい」と評価されるようなショッピング体験を実現するよう努めなければならない。これら6つのポイントを達成できれば、小売業者は確実に消費者のショッピングに対する期待に応えることができるだろう。

 

流行をつくる:オンラインストアの長所を実店舗に取り入れる

ブランドは、伝統的な小売モデルはもはや時代遅れだと認識しなければならない。オフライン小売業者は、単なる金銭と商品やサービスの交換だけでなく、オンライン買い物客向けに特化し、カスタマイズされた店内体験を提供する必要がある。つまり、オンラインショッピングの利点のいくつかを、実店舗にもおり入れることを検討すべきである。

 

まず、顧客が望む方法で商品を受け取れるというサービスの提供は、素晴らしい第一の取り組みであろう。オンラインで買い物をする顧客のニーズを理解し、実店舗においてもそのニーズに対応すべきだ。そのためには、「スピーディで利用しやすい」ショッピング体験を提供することが最優先である。レジでの決済が不要な実店舗で、商品の受け取りサービスを提供することは、オンライン体験の向上につながる。オンライン買い物客は、店内をウロウロすることなく即時に商品を手に入れることができ、店舗購入ならではのメリットを享受することが可能になる。

 

反対に、自宅への配送を希望する買い物客には、実店舗内で購入した商品の無料配達サービスを提供するべきである。それにより顧客は、買い物した後の時間を、ショッピングバックや大量の荷物を持ち歩くことなく楽しむことができるからだ。

 

新しい技術を活用することで実店舗にもオンライン体験を導入することもまた、素晴らしい手法である。たとえば拡張現実(AR)技術を活用すれば、顧客がフィッティングルームに入らずして服を試着することができるだろう。また、バーチャルリアリティ(VR)技術を活用すれば、限られた店内スペースに展示が難しいとされる様々なスポーツ器具などの製品を顧客が試すことができるのだ。

 

自動車小売業者でさえ、これらの体験型テクノロジーの恩恵を受けることができるだろう。自動車を購入する予定の顧客は、自宅や店舗内のラウンジにいながら、試乗やリサーチのほとんどを行うことができるようになるからだ。

 

具体的には、靴のディスカウントストアDSWは、いくつかの店舗で試験的に来店客向けの体験型サービスを提供。さらに、オンライン買い物客向けの、実店舗ならではの便利な機能を試すスペース設置している。Bustleの記事の通り、DSWはマニュキュアやペディキュアサービスのスペース、ロイヤルティプログラム顧客ラウンジ、また、靴のメンテナンス、修理、返品専用のスペースの設置を試験的に導入しているという。

 

オンラインにフォーカスした従来型店舗の新しいサービスの一つに、オンライン注文や返品、交換専用の実店舗内スペース「Sole Lounge」の設置がある。買い物客はオンラインで購入した靴を店舗で受け取り、その後すぐに、ピックアップカウンターの横に設置された居心地の良い「Solo Lounge」にて、その靴を試着することができる。また、オンラインで購入した靴を自宅で受け取った買い物客が返品や交換をしたい場合に、最も避けたい“店の混雑”を免れることのできるスペースで、こうしたサービスを利用することができるというものだ。

 

小売業者はオンラインの買い物客向けに、実店舗スペースを利用した店内でのユニークな体験を独創的な方法で生み出す必要がある。そうして創られた付加価値は、顧客の注目を集め、来店者数を増やし、既存顧客のリテンションを向上させる。さらにオンライン買い物客を惹きつけ、イノベーションを創出することができるだろう。

 

従来型小売の活用:オンラインショッピングと実店舗企画を融合する

逆に、オンライン小売業者は、実店舗体験というオプションを買い物客に提供する必要がある。体験型ショッピングは、オフラインでもオンラインでも提供可能であり、オフラインの優れた特徴をオンラインショッピングに取り入れることはECブランドにメリットをもたらすだろう。たとえば、オンライン商品の実店舗での同日ピックアップサービスに加えて、買い物客が自分のブランドや製品を知ることができる物理的な空間を持つことなどを、オンライン業者は検討すると良い。

 

eコマースのみからスタートし成功を収めたいくつかの有名ブランドは、その後、実店舗の存在に大きな価値を見出しているという。(Business Insiderはそのような企業のリストを最近発表している。)たとえばメンズアパレル小売のBonobos、メガネブランドのWarby Parker、コスメブランドのGlossier、寝具メーカーCasperなどは、すべてeコマースのモデルからスタートし、実店舗経営に進出している。

 

ポップアップストアは、顧客体験向上を目指すオンライン事業者が多額の投資をせずに付加価値を提供できる革新的な方法であろう。eコマースブランドは、まずポップアップストアを開設することで、そのロケーションでの実店舗オープンの可能性を評価することができる。正式店舗を新設するほど巨大な投資をする以前に、一時的な店舗を試験的に開設することができるため、まさに「購入する前に試してみる」ことが可能なのだ。

 

一般的にポップアップストアは、運営コストを抑えつつ低いリスクで顧客とつながる新しい方法を探れると言われている。手軽で臨機応変なソリューションであるうえに、ブランドにとっては、データを収集し、消費者の習慣やフィードバックを得ることができる貴重な機会にもなる。

ポップアップストアでの接客時には、製品に関するフィードバックを直接聞くことができ、より高性能で魅力的な製品を作るための有益なインサイトを得ることも可能だ。さらにオンライン小売業者は、一時的であったとしても顧客がブランドと交わり、製品に触れる機会を作ることができるので、事業を次のレベルに引き上げるために必要な顧客とのつながりと話題性を生み出すことができるだろう。ポップアップストアによって実店舗の需要があるかどうか評価することができ、また、永続的な実店舗の開設に投資する価値があるか否か、さらに、長期的な目標を達成する上で有用であるかを判断することもできるのだ。

 

大手ブランドでさえ、実験的に展開できるポップアップストアの利点に注目しており、たびたび顧客に興奮や喜びを提供できる特別な限定イベントを開催している。たとえばAdWeekの記事で紹介されているように、チョコレートブランドのM&Mの親会社、Marsは、ニューヨークシティにポップアップストアをオープン。次に発売するM&M Crunchyフレーバーを決定する投票にファンが参加できるようにしたという。

投票はオンラインで実施されたが、Marsは顧客体験を向上させるために物理的なスペースを提供することの価値を認識していた。ポップアップストアは、3種類のフレーバー(クランチラズベリー、クランチエスプレッソとクランチミント)を紹介するそれぞれのスペースに区切られたものだった。

同社はInstagram投稿用の写真スポットも多数準備し、3つのフレーバーの特別カクテルの提供も実施。投票イベントを開催し、顧客の注目を集めるという画期的な企画は、ポップアップストアを最大限活用していると言ってもよいだろう。

 

二極業界の協業:オンラインと実店舗が融合するとき

従来型店舗、およびオンライン小売業者の双方にとって、新しく革新的な方法で消費者とつながることができる大きなチャンスが存在している。買い物客の期待がオンラインとオフライン両方の分野において高まっている昨今、どちらのチャネルの買い物客にも対応できる小売業者が成功していくことだろう。

オンライン買い物客に対しては、彼らのショッピングスタイルに合った付加価値を実店舗内で提供することで、客足の増加につなげることができる。eコマース小売業者は実店舗において、ブランドと顧客が身近でパーソナルな関係を築ける機会を提供することにより、さらに成功を収めている。

 

たとえすでに確立されたブランドや小売業者であろうと小規模なeコマース事業者であろうと、ポップアップショップの活用は、自社の顧客を知り、関係を構築するための独自のショッピングスペースになるのだ。

eコマース小売業者にとって、実店舗が提供するサービスへ近づくための、柔軟で低コストな選択肢となり得るポップアップストア。実際の店舗では、買い物客が求めている“親密で利便性の高いショッピング体験”を提供することができるものである。

 

このように、オンラインとオフライン双方の長所を融合させることは、顧客エンゲージメントの向上につながり、顧客が求める付加価値の提供をさらに可能にしていくだろう。

 

※当記事は米国メディア「E-Commerce Times」の9/27公開の記事を翻訳・補足したものです。