Jared Goetz氏は、ネットショップ作成プラットフォームShopifyを利用し、1日にたった30分費やしただけで巨大な通販サイトを作り上げた。

複数の事業の起業家であり、The OraclesのメンバーであるJared Goetz氏。常にユーザーにリーチするための仕組みを仕掛ける同氏は、24歳にして数百万ドル規模の企業4社の共同設立者でもある。

サーカスが登場し消火器の泡にまみれる世界最大の泡パーティー「Electric Flurry」を主催したり、バイラルキャンペーン「Dumbo Lounge Sacks」を仕掛け大学生にインフレータブルグッズを販売したりするGoetz氏。彼がネットショップの集客を生み出す方法を知っていることは確かだ。

Goetz氏が直近に立ち上げたベンチャー事業「The Gadget Snob」についても、同じことが言える。ペンシル型ジェットライターからレーザーキーボードまで、あらゆる商品を取り扱うオンラインショップ「The Gadget Snob」は、適切なユーザーを呼び込み、60日間で0から200万ドルの売り上げを上げるまでに成功させた。2020年までに、4兆ドルの売上を上回ると予測される競争の激しいeコマース業界では、決して小さな功績ではない。

大衆に訴求するGoetz氏の秘策とはどのようなものなのか?同氏は、実験することだと答え、次のように補足した。「多くのことを試さなければ、消費者がどのような反応をするかはわからない。既存の考え方にとらわれないことが重要だ」

Goetz氏は、100万ドル規模のeコマースショップを立ち上げ、四半期以内に利益を出すための6つの重要な要素を挙げた。

 

1. 既存商品の再開発は行わない

「多くのショップオーナーは、販売商品を独自に再開発する必要があると考えている。」とGoetz氏。そうではなく、すでに確かな成功実績がある商品に注力することを、同氏は提案する。「市場の動向を把握する簡単な方法は、各商品のソーシャルメディアでの評価を測定することだ。Facebook上で数時間中に1万人の『いいね!』を獲得する商品は、取り扱うべきである」

商品を選択する際には、日用品化された商品とユニークな商品を区別することも重要である。日用品化された商品は広く入手可能だが、ユニークな商品は大量生産されていないハンドメイドやニッチなものであり、比較的入手しにくい。「ニッチな商品を取り扱う場合、まず需要を測定する必要がある。消費者が何を探しているのかを観察することも必要だ。驚くような商品が売れているものだ」と、Goetz氏は述べた。

 

2. 公式を生み出し、書き換える

Goetz氏によると、eコマースは公式化し、その結果は、商品、広告、ランディングページ最適化、顧客生涯価値というさまざまな変数の影響を受ける。

「誰もが一番利幅が大きい商品がどれかを算定するだろう。しかしeコマースで失敗する人の90%は、利幅を計算するための公式に全ての変数を組み込んでいない」と、同氏。

Goetz氏の場合、極めて重要な変数となったのは”ドロップシッピング(メーカー・卸業者から購入者への直送システム)”だった。「過去に自力で会社を立ち上げるのに、多大な時間を費やした。直送システムが流れを好転させるゲームチェンジャーだった。なぜなら、在庫を確保する前に商品を宣伝することができ、結果として利益を増大させることができたからだ」

 

3. 信頼されるShopifyネットショップを構築する

Shopifyストアを成功させるためには、信頼の獲得が必須だ。「時には詐欺的行為も行われるデジタルエコシステムでは、消費者の信頼は獲得しなければならないものだ。手始めに、返金保証と送料無料保証を導入するのが得策である」と、Goetz氏は語る。

また、同氏は、各業界に適したテーマを選択することが必要だと言う。「ブランディングにおいては、スパムと勘違いされたり、不気味に感じたりするものではなく、プロフェッショナルに見られなければならない」ガジェットは楽しく、またテクニカルな商品なので、「The Gadget Snob」では明るい色と正確な言葉を使用していThe Gadget Snob』が、男性ファッションやおもちゃを扱うショップであれば、商品やブランドに合わせてテーマを変えるだろう.

ブランディングは、閲覧したユーザーを売上げにつなげる鍵となる。

 

4. ROIが高く効果のある広告を見極め、拡大する

Goetz氏のマーケティングを1言で表現すると、それは「テスト」である。「何が効果的かを理解する唯一の方法は、テストを何度も実施することだ。各商品に対して10人のユーザーをテストすれば、どの商品に注力すべきかわかるだろう」と同氏。「The Gadget Snob」では、Goetzは、Facebookキャンペーンにおいて最大の効果を得るために広告担当マネージャーを雇った。「効果が高い広告があれば、同じ広告を繰り返すべきだ。しかし、段階的に拡大し、ターゲットを絞り続けることが大切だ」と同氏。広告費用は日毎に20%程度増加させるべきで、500%も増加させるべきではない。

キャンペーンを実施する際は、シェアされやすく、創造的な表現を用いることが不可欠だ。また、販売心理学は参考にすべきである。販売心理学の古典的で希少なテクニックは、有益であるが故に、何世紀もの間利用されていると、Goetz氏は考える。「1つ購入の場合に割引はないが、2つ買えば50%オフというように、購入数が増えるほど割引率が増加するインセンティブの導入を試すべきだ」と加えた。

「eメールリストの作成も不可欠である。eメールキャンペーンのコンバージョン率は、Facebookの売り込みキャンペーンよりも高い。また、特典付きのインセンティブeメールキャンペーンも有効である。eメールの送信ボタンを押すだけで、売り上げを増加させることが可能なのだ」と、Goetz氏は、語った。

 

5. まずVAを活用し、次に専門家を雇用する

Goetz氏にとって、VA(ヴァーチャルアシスタント)を採用することは事業拡大に不可欠だった。「起業当初は、VAが何でも手伝ってくれた」と同氏。ネットショップが軌道に乗り始めた後に、特定の業務のために専門家を雇っている。

いかなる状況にも対応可能な、手続きのプロセス化が重要であると強調する同氏。「成長を遂げるためには、スタート時にプロセスと手順を明確化することが非常に重要だ。システムは可能な限り簡潔にする必要がある。なぜなら、今日の注文は100件かもしれないが、明日はその4倍を受注する可能性があるからだ」

 

6. 完璧なカスタマーサポート体制を整える

Goetz氏はフルスロットルで稼働するネットショップには、利益を最大化するためのカスタマーサポート体制が必要だと強調する。「24時間、休日も対応する完璧なカスタマーサポート体制が必要だ。オンラインショッピングは一晩中行われ、ユーザーは、24時間商品を注文するからだ」

ユーザーの質問と懸念事項に対応するために、ライブチャットと24時間カスタマーサポートは必須であると同氏。「Amazon Primeの存在により、カスタマーサポートへの期待値がかつてないほど高くなっている。一瞬の障害トラブルやテクニカルな失態による売り上げ損失は、最も避けるべきだ」

最後に言えることは、eコマースにより起業家は未開拓市場にリーチし、利益を上げることができるということだ。「eコマースサイトを立ち上げることにより、究極の自由を手に入れた」と語るGoetz氏。いくつかの基本的なステップを実行すれば、世界中にどこにいても運営可能なShopifyのネットショップが作れる上、数百万ドルを売り上げるショップに成長させることもできるのだ。

 

※当記事は米国メディア「Entrepreneur」の11/21公開の記事を翻訳・補足したものです。