LINE MALL(ラインモール)待望の船出

 

LINEモールが昨年末に待望のプレオープンをした。国内のユーザー数が5000万人を超えるソーシャルアプリの巨人LINEが本格的にEC事業に力を入れるとしたら、楽天AmazonYahoo!ショッピングという3強を含めた業界全体を揺るがしかねないとの声も多く聞かれる。今回は無事に船出をしたLINE MALLの現状から今後の展望を占っていく。

 

 

LINEモールの特色

 

Andoroid版のみプレオープン中のLINEモールだが、現在は個人による商品の出品がメインで(一部企業からの出品もあり)、企業からの出品は今春に予定されるグランドオープンから本格的に受け付けるようだ。簡単に特徴を以下にまとめてみた。

 

 

出品の簡略化

 

「出品まで2分」とあり、商品の写真を撮影し状態を入力するだけで簡単に出品できるようだ。リテラシーのあまり高くないユーザーでもこれなら簡単に出品が可能だ。

 

LINEプレスリリースより

 

 

安心な支払システム

 

出品者と購入者の間にLINE MALLが入ることで「お金を振り込んだのに商品が届かない等のトラブルを無くしている。具体的には、①購入者がLINEに入金、②出品者が商品を出荷、③LINEが出品者に入金という3つのステップになっている。

 

LINEプレスリリースより

 

 

出品・決済・購入手数料無料

 

商品が売れた時のみ販売手数料として代金の10%がLINE MALLの取り分となる。販売価格は送料込の金額で表示される仕組みとなっている。

出品の簡略化や支払システム等の仕組み、また、プレオープン時は一部の企業からの出品しか受け付けていないことからもBtoCよりは、CtoC向けのサービスとなっていることが分かる。そうなると競合はBtoCの楽天、Amazon、ヤフーショッピングではなく、CtoCのヤフオクメルカリなどが競合となってくるはずだ。

 

 

実際にLINE MALL(ラインモール)を使ってみて

 

LINE MALLをダウンロードし、実際に使ってみたところ、いくつかのポイントが分かってきた。

 

 

出品・購入が非常に簡単

 

ユーザーが買いやすく、売りやすいUIに仕上がっているように感じた。表示金額が送料込みである点などからも、購入までのステップもさほど多くなくストレスなく買い物できる仕組みになっている。

 

 

 

ただ、カテゴリー分けが細かくない点や、検索機能が使い辛いため、目的買いには向いていないだろう

 

 

 

デザインがオシャレでフリーマーケットの様な感覚

 

デザインや商品の見せ方は独特で、今までにない表示のされ方だ。発見型のショッピングをコンセプトとしているだけあって、ウィンドウショッピングを楽しむかのように眺められるUIなっている。デザイン的には、アパレルやインテリア雑貨と相性が良くなっている。

 

 

 

品揃えが寂しい

 

商品との“出会い”をコンセプトとしているため魅力的な商品がモールに並んでいることが重要になってくるが、正直商品のラインナップは魅力的とは言い難い。LINE MALLと親和性の高いファッションカテゴリですら、有名ブランド古着ショップによる出品が大多数でユーザーからの投稿は多くない。有名ブランドでアイテムの検索をかけてみても結果は0件であった。

 

 

しかし、簡単な出品や安心の支払いシステムはメルカリなどで既に導入されている考え方であり、優れたUIもOrigamiなどと比べると特別優れているとは言えない。そのため使ってみた感想としては現段階では、ヤフオクやメルカリではなくLINE MALLをユーザーが選ぶ理由は正直見当たらなかった。現段階では世の中に溢れている“スマホ系ECサービスの良いとこどり”をしている印象に留まった。ただ、現状の仕様はプレオープンであるためグランドオープンにどのような改善が為されるのかということに期待したい。

 

 

グランドオープン時の改善点を大予測

 

今春予定のグランドオープンで改善のポイントとなるべき点を3点予測してみた。

 

 

企業出品とユーザー出品の住み分け

 

グランドオープンでは、現状以上に企業による出品がなされるだろうが、企業と個人の出品を同じフィードで流れるようにしてしまうと、企業による出品の商品と個人による出品の商品の品質の差や、企業・個人それぞれの出品が埋もれてしまい利便性が上がらないことが考えられる。どのような表示の方法に落ち着くかは分からないが、おそらくは何らかの改善がなされるだろう。

 

 

商品の品揃え

 

このモールの一番の決め手は、見ていて楽しいかどうかだ。ユーザーが“カワイイ”、“オシャレ”、“お得”、そして“欲しい!”と思える商品をどれだけ並べられるかが焦点になってくる。この点はLINE MALLだけに限らないのだが、検索型から「発見型」のショッピングを提案するからこそより一層重要になってくる。幅広いジャンルを用意しているため全てのジャンルで魅力的な商品を用意するのは難しいだろうから、まずはファッションや雑貨といったLINE MALLと親和性の高いジャンルだけでも商品の充実を図るべきだろう。品揃えを増やし、LINEだからこそ実現出来る「発見型」のショッピングをどのように実現していくことが出来るかが重要になる。

 

 

LINE本体からの流入

 

日本で5000万以上のユーザーを抱えているからこそ、どうやってユーザーをモールに流すかが重要となってくる。他にもサービスを幅広く展開しているLINEだがユーザーの流入という点で成功しているのはゲームとLINE cameraだろう。カメラアプリであるLINE cameraに関しては世界で5000万DLを記録している。この成功事例では、ダウンロードするとスタンプがもらえる施策が行われていたため、多くのユーザーが無料のスタンプに釣られてLINE cameraをダウンロードすることになった。

このようにLINE本体からの流入のどれだけ力を入れるかでモールの成否は大きく変わるだろう。失敗すればいくつもあるモールの中に埋もれてしまうモールの一つになるだろうし、逆に成功すれば大手のモールを脅かすことができる程のポテンシャルがあるはずだ。

 

 

業界の勢力図への影響はどうなるか?

 

グランドオープンの前にプレオープンをしたLINE MALLだが、裏を返せばどのような方向性に舵を切っていくか考えながら進めていることを意味している。そのため今後のグランドオープンでLINEがどのような改善を仕掛けてくるかで今後のLINE MALLの行方は大きく変わってくる。

 

 

一つは、CtoCに特化しヤフオク、メルカリを脅かす可能性だ。まだスマホのCtoC向けのECにおいて圧倒的に勝っているサービスはないと言える。そこでLINEがユーザー数の利を使って他のサービスを圧倒する可能性は十分にある。現状のサービスから推測してもこの線が一番筋が良いかもしれない。

もう一つは、プレオープンから大幅なリニューアルを行ないBtoCにも十分適応したサービスとなることだ。ユーザーの基盤や他のサービスのクオリティから考えてLINE MALLが上位3サービスを脅かすほど大化けする可能性は十分あるとは思う。しかし、この方向でリニューアルが行われた場合、どれだけショップを集められるか、物流はどうするのか、他のモールとの差別化をどうするのか、など課題は多いだろう。

圧倒的優位な競合はいないが、類似サービスがひしめく市場に参入してきたLINE MALL。現状のEC業界に大きな影響を与え得る可能性を秘めていて、今後の舵取りが非常に楽しみである。

 

 

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