フリマアプリで気軽にモノを売る

 

ここ1〜2年でスマホが急激に浸透する中で、PCユーザーをターゲットとしたWebサイトからではなく、スマホのアプリでモノを気軽に売る「フリマアプリ」が続々と登場している。モノを気軽に売る、というのはここ数年EC業界の主要テーマであるC2Cサービスのミッションでもある。

知名度が圧倒的に高いヤフオクだけでなく、ここ数年でハンドメイドECサービスのCreemaEtsy、話題のLINE MALLなどさまざまな切り口でC2Cコマースサービスが勃興している。そんな中、フリマアプリはどのように市場に戦いを挑んでいるのか。フリル、メルカリ、STULIOの3つのアプリをピックアップして見ていく。

 

<参考>

ひしめき合うハンドメイドマーケットEC - 気軽にネットで開店する時代はやってきたのか。Etsy、Creemaに見る未来

LINE MALL(ラインモール)待望の船出 - グランドオープン時の展開とEC業界に与える影響

 

 

Fril(フリル)

 

フリマアプリと言えば、まず最初にFril(フリル)を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。

 

 

Frilはスタートアップ育成プログラム、Open Network Labから生まれた日本初のフリマアプリだ。2012年7月のサービスリリースから1年を迎えた2013年7月の時点で、なんと延べ185万点ものアイテムが出品される国内最大のフリマアプリへと成長を遂げた。そんなFrilの特徴は、ユーザーを女性限定にしているという点。主なターゲットは10代から20代前半の高校生や大学生で、出品されるアイテムの多くは2,000〜3,000円ほどだ。

ユーザーはまず、服と靴のサイズ、好きなブランドを3つ登録するが、これにより自動的に自分と似ているユーザーをフォローすることができる。つまり、アプリを最初に開いた時からタイムラインが埋まった状態が作られるのだ。フォローしたユーザーが商品を出品するとその情報が自分のタイムラインに流れてくるので、好みに合う商品を効率良くチェックすることができる。もちろん、カテゴリやブランド、価格帯から欲しいアイテムを探すことも可能だ。また、商品ごとにコメントすることもできるので、出品者とコミュニケーションを取って値段交渉もできる。

出品者は、出品した商品をまとめて表示できるマイページが与えられるので、オリジナルのショップを持つような感覚で楽しめるのもユーザーにとっては嬉しい。1年前の情報にはなってしまうが、2013年3月27日付の日経新聞によると、Frilでは1日に3,300件の売買が成立し、平均単価約3,000円で取引されているというから、1日でおおよそ1,000万円の取引が発生していることになる。出品者側から販売した商品代金の10%が手数料として差し引かれるため、売上は1日あたり100万円ほど。ローンチして1年経っていない時点でこの売上を実現するのは驚異的である。

 

 

メルカリ

 

元ウノウ社長の山田進太郎氏がZynga Japanを退社後、新たに立ち上げたKouzohからリリースされて注目を集めたのが2013年7月にローンチされたメルカリ(mercari)だ。

 

 

メルカリは他のフリマアプリのように特定の層やジャンルにターゲットを絞らず、オールジャンルでの展開がなされているのが特徴。もちろん出品されている商品も幅広く、洋服を始め、子供のおもちゃからアイドル関連グッズ、様々な書籍など、バラエティに富んだ商品が出品されている。

立ち上げ当初は1日10品程度の出品を目指していたそうだが、2013年12月の時点で1日1,000品以上の出品数を誇るメルカリ。商品はカテゴリ別に表示されるが、フォローした人の商品がタイムラインに流れる、という前述のFrilのようなソーシャル的要素は持っていない。メルカリの特徴は売買を行うユーザー間の代金の取引を仲介している点。購入金額は購入者からメルカリに振り込まれる。その代金を出品者は引き出すことはもちろん出来るが、次回の購入の際に利用することも可能となっているため、少額の場合はそのまま引き出さないことも。それにより、キャッシュフローが非常に安定化しやすいビジネスモデルとなっている。

Google PlayやApp Storeでの2013年のベストアプリにも選ばれ、日々躍進を続けているメルカリは、先日今年の夏を目処に米国でのアプリリリースを行うと発表。「世界で使われるインターネット・サービスを創る」ことをミッションとしているメルカリは、米国の次はヨーロッパ、その先にはアジアやクロスボーダーな取引にも挑戦したいと述べている。なおメルカリでは、出品、販売、落札の手数料を当面無料としており、落札代金の振り込みのみ有料としているが、今後もこの施策を続けていく予定だという。

 

 

STULIO

 

2011年に配信を開始したSTULIOは、さまざまなファッションスナップを自由に閲覧・投稿できる無料の写真共有アプリとして人気を博してきた。

 

 

一時は会員数7万7,000人、月間PV数は1,500万PVを記録していたが、STULIOにはアフィリエイト収入がなく、方向転換を迫られていた。そこで運営するエニグモはSTULIOを切り離し、G STYLE ENTERTAINMENTとの共同出資(エニグモは14%出資)で株式会社STULIOを設立。新たにeコマース機能を搭載して2013年9月にリニューアルを果たした。

リニューアルにあたり、ユーザーは著名人から出品されるUSED商品を購入したり、国内の人気アパレルブランドから新作商品や先行商品を購入できるようにしたのだ。さらに同年10月には、一般のユーザー同士でUSED商品を売買できるフリマ機能を導入。オシャレに敏感な10〜20代のファッショニスタをターゲットにしたSTULIOは、他のフリマアプリに比べてファッションに敏感でオシャレなユーザーが多く、当然出品されているアイテムもセンスの良いものが多い。道端アンジェリカや中村アン、ViViモデルの宮城舞、JELLYモデルの出岡美咲と安井レイ、EDGE STYLEモデルの鈴木あやなどの人気モデルが参加するほか、著名なスタイリストからの出品も目立つ。

また、ブランド品の出品も多く、検索しやすいのも大きなポイント。これはエニグモの基幹事業であるソーシャル・ショッピング・サイト、BUYMAのブランドリストを共有しているそうで、国内ブランドも海外のラグジュアリーブランドも網羅されている。また、もともとファッションSNSアプリだっただけあり、ユーザー間のコミュニケーションが取りやすいのも特徴のひとつ。コメントをしたり気に入ったアイテムにLikeをしたり、頻繁に行われるSTULIO主催のイベントでもユーザー同士が繋がることができる。

さらにアプリ上ではSTULIOピックアップやイベントなどファッション情報が随時更新され、投稿はTwitter、facebookにも連携可能。ファッション感度の近いユーザーと友達になれるのも魅力だ。雑誌『日経トレンディ』の“2014年ヒット予測ランキング”にも取り上げられた同アプリは、今後日本を中心にアジアなどの海外進出も視野に入れて展開していく。

 

 

フリマアプリは群雄割拠のC2Cコマースの勝者に成り得るのか

 

C2Cコマース市場を見てみると、長年圧倒的な地位を築いてきたヤフオクからどのように進化させるかが鍵となっていることが分かる。

 

BASE・ Stores.jpのスマートECサービスは出店と出品の手軽さをとことん追及した。Creema・Etsyはハンドメイド品に、BUYMAは海外ブラン ド品に絞ることでより志向の近いユーザーが集まるようにし、徐々にソーシャル要素を絡めていった。Sumallyはさらにそれをキュレーションコマースという形に進化させようとしている。一方でフリマアプリは手軽さを軸に新しい市場を開拓しようとし、LINE MALLはそのアプリの浸透度を武器に圧倒的に売れる売り場を提供しようと試みている。

そもそもフリマアプリは根本的に従来のECサービスとは大きく異なり、スマホのみで出品も購入も完結する。スマートフォンがこれほど生活に浸透してきたことで成し得た大きな革新といえる。しかし、爆発的に商品点数が伸びているものの、現状ではアーリーアダプターのみが利用している状況といえる。スマホを持ってはいるが、Facebookやtwitter、LINEを使う程度のアーリーマジョリティや、アプリをほとんどダウンロードして使わないレイトマジョリティのユーザーが使うようになるにはまだまだ高いハードルが残る。

一方でヤフオクは出品が面倒だという声が多く聞かれるものの、その実績と知名度は圧倒的。また、LINEはITのリテラシーの低いユーザーまで浸透しているため、LINE MALLも新たなユーザーを開拓することで大ブレークの可能性を秘めている。ヤフオクとLINE MALLという巨人にフリマアプリはその手軽さでどこまで立ち向かえるか。熾烈な争いのC2Cコマース市場の勝者になる可能性は十分にあるフリマアプリに今後も注目だ。

 

 

 

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