eコマースにおけるスマートフォントレンドデータ2013年4~6月

 

2015年には、携帯電話所有者の70%がスマートフォンになると予測され、ここ2、3年でさまざまな業界から注目を集めている“スマホ”。

現在、スマートフォン保有者の40%がスマートフォンでECを利用していると言われており、スマートフォンはECにとっても切っても切れない関係にあります。

前の四半期(2013年1月~3月期)のレポートに引き続き、ここ最近の急激な伸びを改めて弊社EC向けアクセス解析~自動課題判定~施策提案ASPサービスShopnoteから確認していきます。

 

 

スマホの利用率は更に伸びているのか?

 

2013年の4月~6月においても、eコマースにおけるスマートフォンの活用は引き続き伸びているようだ。

前の4半期と比べると、やや鈍化している部分も見受けられるが、依然としてそのトレンドは強い。

全体数に対するスマートフォンユーザーの割合でデータを見てみよう。

売上高は前の4半期(2013年1月~3月期)と比べて約3.6ポイント増の25.0%、アクセス人数は同じく前の4半期と比べてこちらも約5.2ポイント増の31.3%となっており、共に順調に伸びていることが分かった。

これは、ECサイトの売上の1/4はスマホ経由で行われ、アクセスするユーザーの3人に1人はスマホでアクセスしているということを示している。

 

時系列のスマートフォン売上高・アクセス人数割合

時系列のスマートフォン売上高・アクセス人数割合

 

更に、前年同時期と比べると、売上高の割合は2.4倍に、アクセス人数の割合は2.7倍になっており、依然として1年前と比べても、比較にならないくらい、ユーザーのスマートフォンによるeコマースの利用が進んでいることがわかる。

スマホでは多くのアプリが提供され、また商品の購入も「ECサイト」という形態以外でも可能になってきている。

そのような環境からでもECサイトへアクセスし、商品を探し、購入するという消費者はそれほど多くないのでは、という声も耳にするが、データから見るに、まだまだ消費者のスマホへのシフトの傾向は続いていると言っていいだろう。

ただ、アクセス数の伸びの割りに、売上高の伸びが鈍化している印象もあり、この傾向は気になるところではある。

しかし、このスマートフォンへのシフトの勢いは、今年の年末頃までは続くと思われ、年末時点には上記の売上高やアクセス人数の全数に対するスマートフォンユーザーの割合は全ショップ平均で40%程度まで到達しているのではないかと弊社は推測している。

 

 

スマホでどのような購買体験をしているのか?

 

続いて、その他のeコマースの主要指標と言える、コンバージョンレート(CVR・転換率)、客単価、平均PV数を見てみよう。

こちらは、PCユーザーの値に対するスマートフォンユーザーの値の割合で見ていく。

コンバージョンレートと客単価は、前の4半期(2013年1月~3月期)と比べると微減となっており、そろそろ頭打ちと言ってもいいようだ。

逆に平均PV数は僅かではあるが伸びており、消費者は時間のあるときに商品の確認をスマホでもこまめに行っているが、購入はスマホでは行なわずに、店頭やPCで行う、という使い方に消費者も慣れてきつつあるのではないだろうか。

 

時系列のスマートフォンコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合

時系列のスマートフォンコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合

 

コンバージョンレート

 

PCユーザーの値に対するスマートフォンユーザーのコンバージョンレート割合は57.4%で、PCユーザーが購入する割合に比べて、まだまだ低く、時系列に見てみても頭打ちの状況にある。

(この値が分かりにくいかもしれないが、例えばPCユーザーのコンバージョンレートが2.0%のサイトにおいて、スマートフォンユーザーのコンバージョンレートがその57%の1.14%であるということを意味している。)

多くのユーザーが気軽にスマートフォンを用いて商品のチェックを行っているが、最終的な購入をそのまま行うには、ECサイト側でまだ何か足りないのではないだろうか。

 

 

客単価

 

次に客単価割合は70.4%で、こちらもPCユーザーが一回に購入する金額に比べて、スマートフォンユーザーの値はまだまだ低く、時系列に見てみても頭打ちの状況にある。

(この値も同じく、例えばPCユーザーの客単価(購入者が一回に購入する金額の平均値)が5000円のサイトにおいて、スマートフォンユーザーの客単価がその70%の3500円であるということを意味している。)

これは、前期の考察と同様の内容となるが、スマートフォンで購入するユーザーが、まだスマートフォンサイト内で複数の商品を同時に購入することが面倒であると感じていることや、PCサイトでは「この商品を購入したお客様はこの商品も購入しています」などのレコメンド機能がだいぶ浸透してきているが、スマートフォンにおける同等機能への対応が 遅れているショップが多いことなどが考える。

 

 

平均PV数

 

平均PV数の割合は82.8%で、こちらもPCユーザーにが見ているページ数に比べて若干低いが、他の指標に比べると一番値が良く、時系列に見ても若干ではあるが増加傾向にある。

(この値も同じく、例えばPCユーザーの平均PV数(サイトにアクセスしたユーザーが一回に平均的に何ページ閲覧しているか)が5.0ページのサイトにおいて、スマートフォンユーザーの平均PV数がその82%の4.1ページであるということを意味している。)

スマートフォンは画面も小さく、PCサイトに比べると多くのページを閲覧して検討を行うと言う使われ方がされていないと思われいてること、更にスマートフォンサイトはステップ数が少なくなるように設計されていることが多いため必然的に閲覧するページ数が少なくなっているのでは、と考えていたが、実際はスマートフォンでユーザーは思ったよりもしっかりと回遊していると言うデータとなっている。

 

 

ショップの売上レンジによりスマホ活用の違いは?

 

次に、ショップの売上レンジ毎の値を見ていこう。

(売上レンジ毎となると、サンプルとなるショップの売上高の偏りから、若干データにぶれが見られるがご容赦願いたい。)

売上レンジは月間の売上高で示しており、取り組みに比較的大きな差が見られる、7レンジ(月間50万円以下、100万円以下、250万円以下、500万円以下、1000万円以下、3000万円以下、3000万円以上)に分けてみていく。

 

 

売上高

 

まずは、全体売上高に対するスマートフォンユーザーの売上高の割合のデータを見てみよう。

 

売上レンジ別のスマートフォン売上高割合

 売上レンジ別のスマートフォン売上高割合

 

前の4半期と大きな傾向の違いは見られず、売上高が低いショップ程、スマートフォンの売上割合は低くなっていて、ショップにおけるスマートフォンの活用度合いは低い。

ただ、売上高レンジの最も低い月間0万円~50万円のショップにおいて、売上高割合の増加が見られ、幅広いショップにおいてスマートフォンユーザーの購入が進んでいるようだ。

 

 

アクセス人数

 

次は、全体アクセス人数に対するスマートフォンユーザーのアクセス人数の割合のデータを見てみよう。

 

売上レンジ別のスマートフォンアクセス人数割合売上レンジ別のスマートフォンアクセス人数割合

 

アクセス人数についても同じく、売上高が低いショップ程、スマートフォンのアクセス人数割合は低くなっていて、ショップにおけるスマートフォンの利用度合いという傾向は前の4半期と大きく変わらない。

また、ここでも売上高レンジの最も低い月間0万円~50万円のショップにおいて、割合の底上げが見られる。

 

ここには掲載していない詳細のデータを見ると、売上高割合も、アクセス人数割合も、既に60%を超えて、スマートフォンのユーザーの方が重要と考えないといけない状況となっているショップも散見される。

売上レンジ毎の平均値で見ても、30%を超えてきていて、特に売上高の高いショップではスマートフォンは非常に重要なタッチポイントになっていることは間違いない。

 

 

コンバージョンレート

 

次は、PCユーザーのコンバージョンレートに対するスマートフォンユーザーのコンバージョンレートの割合のデータを見てみよう。

 

売上レンジ別のスマートフォンコンバージョンレート割合売上レンジ別のスマートフォンコンバージョンレート割合

 

前の4半期と比較し値が頭打ちとなっていたコンバージョンレートだが、他と同様に、売上高が低いショップ程、スマートフォンのコンバージョンレート割合は低くなっている傾向は変わらない。

また、前の4半期では大きく値が落ち込んでいた月間売上高が50万円以下のショップについては底上げが見られるものの、他は全体的に値が下がっている。

70%以上の高い値を示してるレンジは月間売上高が1000万円を超えるショップだけとなっている。

 

 

客単価

 

次は、PCユーザーの客単価に対するスマートフォンユーザーの客単価の割合のデータを見てみよう。

 

売上レンジ別のスマートフォン客単価割合売上レンジ別のスマートフォン客単価割合

 

客単価についても前の4半期と比較し値が頭打ちとなっていたが、他と同様に、売上高が低いショップ程、スマートフォンの割合は低くなっており、中位レベルのショップが値を落としている印象だ。

売上高の高いショップでは、90%程度の値となっており、大きなトレンドの変化は見られず、PCサイトでも、スマートフォンサイトでも同程度の客単価を確保していることが分かる。

逆を言えば、売上の上がるショップはスマートフォンにおいても、しっかりとお客様から単価を減らさずに確保しているといえよう。

スマートフォンをしっかり取り組んでいるショップではこの値は100%を超えているケースもあり、ショップにおいてしっかり取り組みを行っているかどうかに左右される値と言える。

また、前の4半期でも触れたが、「X円以上で送料無料」の制度は、ユーザーにとって、客単価を決める上で大きな目安になっているため、スマートフォンサイトでもしっかりと明示していきたい。

 

 

平均PV数

 

最後は、PCユーザーの平均PV数に対するスマートフォンユーザーの平均PV数の割合のデータを見てみよう。

 

売上レンジ別のスマートフォン平均PV数割合売上レンジ別のスマートフォン平均PV数割合

 

前の4半期では売上高レンジによる大きなトレンドが見られなかった平均PV数割合だが、この4半期は、他の値と同様のトレンドが読み取れる。

また、売上高の少ないショップでも70%近い値となっており、売上高を問わず、スマートフォンを使ってユーザーはページを沢山見ているようである。

 

 

まとめ

 

この4半期は、アクセス数、売上高は共に伸びていたが、コンバージョンレートや客単価の値に頭打ちが見られた。

また、売上高の低いショップにおいても、スマートフォンユーザーの割合が高まってきており、幅広いショップにおいてスマートフォンへの対策が重要になってきているといえる。

平均PV数、客単価、コンバージョンレートの値の関係を見ると、スマートフォンユーザーのアクセスやサイト内の回遊を促すことよりも、単価を上げて、購買に行き着いてもらうことの方が難しいことになっているようだ。

ただ、まだまだスマートフォンの活用は進んでいくと思われるため、EC事業者側がより一層のスマートフォン施策を実施し、より購入に行き着きやすい工夫をすることも重要となってくる。

 

 

 

スマートフォンに関するレポートは、4半期毎に提供していきます。

なお、データの母数が変化するため、過去データについては細かい値は変動する可能性があるこをご了承頂き、大きなトレンドとして参考にして頂きたい。