コマースお悩み相談:SEO・リスティングで何のキーワードをターゲットにするべきでしょうか
eコマースサイトでは、お店を開店しただけでは、お客さんはなかなか来てくれません。
実店舗の場合、お店を開店すると、その前の道を人が通るため、何人かは興味を示してくれたり、来店してくれたりするものです。
そのため、開店したてのネットショップでも開店すると誰かが通りかかって、何かを手にとって買ってくれるのではないかと思っている場合も多く、開店後にそのギャップに気が付き、あわてて集客施策の検討を行うことも珍しくありません。
その際に、一番最初に知る施策が恐らく「SEO対策」ではないでしょうか。
しかし、いざ対策を独自で行おうとすると、良質な被リンクを獲得する、メタタグやHタグにキーワードを設定すると対策となる、など方法論を学ぶことは出来ると思います。
また、「SEO対策」だけでは限界があるため、検索エンジン上でのキーワード広告、いわゆる「リスティング」を小規模ながら開始するショップも多いと思います。
そして、実際に対策を行ってみても効果が上がらずに、キーワードを広げるべきか、変えるべきか、はたまたもっと相応しいキーワードがどこかに転がっているのか考える場合も多いのではないでしょうか。
「コマースお悩み相談」、第二回目はeコマースサイトにおいてSEO対策やリスティング広告で何のキーワードをターゲットとして設定するべきか分からないと言うお悩みを持つショップのご相談です。
皆さんは、ターゲットキーワードに不安を持ったことはありませんか?
ターゲットキーワード設定にまつわるよくあるお悩み
お悩みを持つショップの担当者の方に聞くとこんな回答が返ってきます。
SEO対策はどのようにおこなっていますか?
本を読んだり、詳しい人に聞いて何とかやってます
具体的に何をしていますか?
ページにキーワードを散りばめています
メタタグやHタグに重要なキーワードを設定しています
効果は出ていますか?
以前は効果が出ていたのですが、最近は検索エンジンでも上位に表示されなくなりました
検索エンジンで上位に表示されるのですが、購買になかなか繋がりません
専門の業者に依頼することはないのですか?
一回依頼したのですが、費用対効果が明確ではなくやめてしまいました
どのようなキーワードをターゲットにしていますか?
取扱っている商品の名前ですが、最近どんどん効果が出なくなりました
リスティング広告は行っていますか?
いくつかのキーワードで出稿をしてみたのですが、費用が高く効果が出ないためやめました
売上の上がらない多くのショップはこのように四苦八苦しながら独自で対策をすることを余儀なくされていることが伺えます。
また一方で、SEO等の業者に依頼しても、なかなか効果が出ていないと感じているショップも多い印象です。
ネットショップにおけるターゲットキーワード検討の大きな間違え
では、実際に どのような技術が必要なのか?
そのような技術は一朝一夕で学べないのでは?
と言う声も聞かれます。
しかしSEOはテクニックや被リンクと思われがちですが、Googleの検索ロジックの変更により被リンクの重要性が徐々に下がってきていることもあり、よりサイトにおいてどのようなユーザーにとって有益な情報があるのかをしっかりと検討して、コンテンツ化することが重要になってきているのです。
Googleは人間が見て重要だ、必要性が高い、と感じるものを上位に表示する、と言う基本路線を持っています。
そのため、テクニックや被リンクと言うのは基本的には邪道であり、本来人間が読んで必要だと感じてもらえるコンテンツをしっかり提供していくことが今後はより一層重要になってきます。
またリスティング広告への出稿についても同様で、ショップがどのようなユーザーにとって有益なものとなっているのかをしっかり考えないで曖昧に出稿を行っても、あまり効果も出ないままに終わってしまいます。
すなわち、ショップの強みや、どのようなユーザーにとって有益なショップか、と言うことをしっかり考えないでSEOやリスティングを行っても、キーワードは競合が沢山ある状態になってしまうし、来訪してくれても他のショップと差を感じてもらえないと購入にはなかなか繋がらない、と言う状態になってしまうのです。
SEOやリスティングを考える際には、まずはじめに、どのようなお客さんに来て欲しいか、どのような強みがショップにはあるのかをしっかりと考える必要があるたのです。
今回はそのために必要な5つのステップについて紹介したいと思います。
ターゲットキーワードを決める5ステップ
ここでは、ターゲットキーワードの設定に悩んでいるeコマース事業者の皆さんに考えて欲しい5つのステップをお教えします。
- 検索エンジンで現状を把握する
まず最初に、取扱い商品名をはじめとする、現時点で考え得るキーワードで検索エンジンで検索を行い、どのようなショップが、どのように表示されるかを確認してください。
その際に、GoogleのキーワードアドバイスツールにてGoogleから推奨するキーワードを確認することも出来ますので、そこに表示される関連キーワードについても一通り検索を行ってください
また、Google Trendsにてキーワードの検索ボリュームの推移を確認することも出来ますので、一般的なユーザーがどのようなキーワードでどの程度の頻度で検索を行っているのかが分かると思います。
この際に、実際に結果の上位に表示された内容やショップに実際に行ってみて、他ショップ・競合ショップがどのようなことを訴求しているのかについてもしっかり確認し、感じた訴求点を書いてみてください。
- 強みを徹底的に考えて書き出す
他のショップ、競合のショップがどのようなことを訴求しているのかを考慮した上で、皆さんのショップにおいて、他のショップにはない強みはどのようなものがあるのかを明確にしていきます。
それまで思い入れをもって運営してきた自社のショップについてある程度の客観性を持って考え直さないといけないので、この作業は非常に時間も労力もかかる作業となります。
まずは、以下の7つの切り口で考えてみてください。
- 価格
- 取扱い商品の幅の広さ
- サイズ・色・モデル・味・匂い等のバリエーションの取り揃え
- ここでしか買えないものがある
- 納期の早さ・返品対応などのサービスの良さ
- オーナーの思い入れの強さ
- 実績やお客様の高い評価などの安心感
これ以外の強みがあるショップもごく稀にありますが、多くの場合は、これらの切り口から活路を見出していきます。
どこのショップにも負けない強みはなんなのか、しっかりと考えてみてください。
どのような細かいポイントでも構わないのです。
この商品のこの色はここでしか買えない、これは欧州から取り寄せているのはうちだけ、誰にもこの商品に関しては負けない知識と経験がある、逆にここまでの商品の品揃えはうちだけなど、どんなに狭い領域でも構わないので、考え付くものを書き出してみてください。
出来れば10個~15個程度ありとあらゆるものをピックアップしてみてください。
- 他のショップでの購入体験から強みを絞り込む
次に、この書き出した強みが本当に強みになるのかを客観的に確認するため、他のショップを色々訪問してみてください。
同じ商品を取り扱っているショップからはじめて、全く違う商品を取り扱っているショップも訪問してみてください。出来れば実際に商品を購入するプロセスを踏んでみてください。
他のショップで商品を購入する際に、どのような行動を自分は取っているのか、どのようなポイントがあればそのショップで買おうと考えるのか、逆にどのようなメリットが無い場合は買わないのかを、書き出した強みと比べながら、もう一度考えてみてください。
その中から、これは確実に強みになる、と言うものが炙り出されてきたのではないでしょうか。
出てこない場合は、もう一度これまでのステップを繰り返して検討してみてください。
客観性を持って考えたときに、本当に強みになるものを2~3個絞り込みましょう。
- ターゲットキーワードに落とし込む
絞り込んだ強みを、サイト上で訴求する場合、どのようにしていくか。
裏返して考えると、そのようなショップを見つけたいユーザーは検索エンジンでどのようなキーワードを入力するか、と言うことを考えていくことになります。
ここでも客観性が重要になってくるため、同じような強みを持つだろう、他の商品を取扱っているショップを検索エンジンで探してみてください。
その時にどのようなキーワードを入力しましたか?
そして、どのようなキーワードで検索すれば望みのショップが見付かりましたか?
ここでは大抵の場合、複数のキーワードをスペースで区切ったものとなると思います。(一語の単語自体が強みとなる場合は別ですが)
その考え方をベースに、「強み」を「キーワード」に変換する作業を行ってください。
その際に、Googleのキーワードアドバイスツールや、Google Trendsも活用してください。
そして一つの強みに対して、10~15個程度のキーワードセットを書き出してください。
例えば、このブランドのこのバッグのこの色があるのはうちだけ、と言う強みがあった場合には、「ブランド バッグ 色」、「ブランド 色」、「型番」、更には、その色のバッグを持っている写真が映っている雑誌名、モデル名、そのバッグについて言及されている有名人のブログがあれば「有名人名 ブランド名 バッグ」などがキーワードセットとして書き出されていくことになります。
- キーワード毎に攻め方を決める
強み毎に書き出した10~15個程度のキーワードは、まだ単なるキーワードの羅列に過ぎず、それをどのように攻めていくかは何も決まっていない状態です。
これらのキーワードを、どの程度商品を購入することの意思が固まっているかのレベルに応じた、以下の3ジャンルに分類していきます。
型番、色、サイズ、スペック、素材などがキーワードに含まれる場合は、商品の購入意思が最も固まっている「見込み客」がターゲットとなります。
バッグなどの一般名詞、ブランド名やシリーズ名などの商品名、場合によっては競合の商品名などがキーワードに含まれる場合は、商品に比較的関心が高まってきている「関心客」がターゲットとなります。
利用シーンや悩みに関する名詞がキーワードに含まれる場合は、まだユーザー自身も購入について検討を開始していない「潜在顧客」がターゲットとなります。
左に行けば行くほどターゲットとなるユーザー数は増えますが、商品への関心は低い状態のため、露出を目にしたユーザーが来訪してもらえる可能性(CTR)は低くなり、来訪したとしても購入に至る可能性(コンバージョンレート)も低くなります。
一般的には、見込み客をターゲットとしたキーワードはSEO対策の重点キーワードとしていきます。
関心客、潜在顧客をターゲットとする場合はリスティング広告で対応するか、そのユーザー向けのランディングページ(LP)を構築するなどの対応をした上でSEO対策を行っていきます。
最終的に、どこまでのキーワードをターゲットとしていくかは、投資可能額との兼ね合いで考えていくことになりますが、このようにターゲットキーワードを5つのステップで検討していくことは、キーワードを見つけるだけでなく、ショップの本来の強みをもう一度見直すきっかけにもなるので、是非トライしてみてください。
SEOやリスティングと言うと、テクニックや被リンクの獲得や投資の最適化にとらわれがちですが、その前にショップの強みを明確にすることが集客の基本であり、売上アップへ非常に重要なポイントと言えるでしょう。
※このコーナーは、特定のショップのご相談ではなく、よくあるご相談を一般化したものです。