2024年にサービス終了・終了予告されたEC関連10サービスまとめ - うねり続けるEC業界の光と陰

 

そろそろ今年も終わりの足音が聞こえてきたが、2024年もEC業界は多くの新しい技術とサービスが市場を賑わせた。しかしその一方で、業界の荒波に揉まれ、ひっそりと終了していったサービスも少なくない。その中で、今回は2024年に終了したサービスおよび終了が予告されたサービスを10個ピックアップして紹介していく。

 

<参考>

2023年にサービス終了・終了予告されたEC関連10サービスまとめ - うねり続けるEC業界の光と陰

2022年にサービス終了・終了予告されたEC関連10サービスまとめ - うねり続けるEC業界の光と陰

2021年にサービス終了・終了予告されたEC関連10サービスまとめ - うねり続けるEC業界の光と陰

2020年にサービス終了・終了予告されたEC関連10サービスまとめ - うねり続けるEC業界の光と陰

2019年にサービス終了・終了予告されたEC関連10サービスまとめ - うねり続けるEC業界の光と陰

2018年にサービス終了・終了予告されたEC関連10サービスまとめ - うねり続けるEC業界の光と陰

2017年にサービス終了・終了予告されたEC関連10サービスまとめ - うねり続けるEC業界の光と陰

2016年にサービス終了・終了予告されたEC関連10サービスまとめ - うねり続けるEC業界の光と陰

2015年にサービス終了・終了予告されたEC関連10サービスまとめ - うねり続けるEC業界の光と陰

 

 

bolome 2024/2終了

 

株式会社bolomeは、2024年2月頃に業務を終了したようだ。

中国向けに越境EC事業を行っていた株式会社bolomeは、日本国内にオフィスと倉庫を構えており、化粧品、日用雑貨、食品などを中心とした、300社以上のメーカーとの取引を行っていた。越境ECアプリ「bolome」とKOLネットワーク「WeStock」などの越境EC事業を多数手がけていた。2015年7月に、日本からのライブ動画配信を通じて商品のプロモーションを行い、中国消費者に購入してもらう越境ECプラットフォームとして「bolome」をスタートさせ、開始から約1年半で450万ダウンロードを達成した。また、中国の著名KOL220名以上と契約するなど、「WeStock」も順調にサービスを提供しているように見えた。しかし、現在、会社・サービス共にサイトは見ることが出来ない状態になっている。

 

 

ファインダイン 2024/5/26終了

 

株式会社ライドオンエクスプレスホールディングスは、デリバリーサービス事業の「ファインダイン」を2024年5月26日に終了した。

 

「ファインダイン」は、2006年から提供を開始した通常は出前や宅配をしていないレストランの本格料理を自宅やオフィスで手軽に楽しめるデリバリーサービス。さらに2018年5月17日からは、電話注文・ネット注文に加えて、簡単にデリバリー注文が出来るiOS版・Android版アプリをスタートさせ、新たに「GPSによる商品の位置情報の追跡」や「クレジット決済で簡単注文」の機能が追加された。時代と共にアップデートを行い、長い間多くの人に利用されてきたが、近年、様々な環境の変化により、今後顧客を満足させるサービスの提供が困難であるという結論に至ったとのことで、18年間の歴史に幕を閉じた。

また、ファインダイン以外にも、デリバリーサービスでは「Chompy」は2023年5月15日、「Food-e」は2023年6月30日、「anycarry.jp」は2023年12月31日に相次いで終了している。これは、コロナ禍で一気に増加したデリバリーサービスが飽和状態となり、競争激化の末、終了に追い込まれるサービスが一定数いるためだと考えられる。

 

 

ポンパレモール 2024/6/30終了

 

株式会社リクルートは、オンライン通販サイト「ポンパレモール」を2024年6月30日に終了した

「ポンパレモール」は、ホットペッパーやじゃらんなど様々なサービスを提供するリクルートが2013年3月から運営しており、ファッション、家具やおもちゃなど、幅広いラインアップを揃えたオンライン通販サイトとしてサービスを開始。「ポンパレモール」は、「じゃらんnet」「ホットペッパービューティー」「ホットペッパーグルメ」などで使える「リクルートポイント」や「Pontaポイント」、「dポイント」が誰でもいつでも全商品3%以上たまるECモールとして11年間運営してきた。しかし、ここ数年間の様々な環境変化や、「ポンパレモール」のサービスの利用状況などを総合的に判断し、サービスを終了するに至ったとのこと。

 

 

MySmartStore 2024/7/31終了

 

NAVER Corporationは、ECサイト構築サービスの「MySmartStore」を2024年7月31日に終了した。

オンラインストア作成サービス「MySmartStore」は、2024年5月29日に全ストアの注文を停止し、2024年7月31日にサービスを終了した。もともと「MySmartStore」は、韓国EC市場で大きなシェアを誇るオンラインストア作成サービスで、2020年には取引額が17兆ウォン、2021年上半期の取引額がでは前年比46%増に成長、店舗数も約47万店舗に及ぶなど、訪問者数や取引高において、韓国Eコマース市場で多くのシェアを占めていた。その「NAVER SmartStore」を日本向けにローカライズ・LINEと連携し、サービスの提供を行っていたものの、公式側は今回のサービス終了に対し「今後も安定的にサービスを提供することが難しく、利用状況を考慮した結果、誠に残念ながらサービスを終了させていただくこととなりました。」と説明した。

 

 

d払い ポイントGETモール 2024/10/22終了

 

株式会社NTTドコモは、dポイントがたまるサービスの「d払い ポイントGETモール」を2024年10月22日に終了した。

「d払いポイントGETモール」は、2021年6月に開始したd払いポイントをオンラインサイトでの購入を通じて獲得することが出来るサービスで、総合通販サイト、家電量販店の通販サイトなど、様々なサイトに対応していた。利用方法としては、「d払いポイントGETモール」経由で各サイトにアクセスして商品の購入、各種サービスの申し込み(クレジットカードの申し込み等)、月額サービスの利用登録を行うことで、サイトごとに設定されたdポイントがたまる仕組みとなっていた。さらに、「d払対応サイト」でd払い決済を行うと、d払い決済分とモール経由分のdポイントとダブルで獲得することができた。また、2024年10月より、d払いポイントGETモールに代わるポイントがおトクにたまるネットショッピングサービスの「 dポイントマーケット 」の提供を開始している。

 

 

Just Walk Out 2024/11/18終了

 

Amazonは、自動精算システムの「Just Walk Out」について、2024年11月18日にシステム開発終了を発表した。

Just Walk Out(JWO)とは、アマゾンが独自開発した、人工知能を活用して、買い物客が商品を手に取りレジを通ることなくそのまま退店することで、自動的に精算まで完了するというシステム。無人店舗で、全米4都市で26店舗(2020年6月時点)を構えていた「Amazon Go」や、日本でもサービスが展開されている生鮮食品配送サービスの「Amazonフレッシュ」等の店舗で採用されてきた。しかし、買い物中にリアルタイムでレシートを確認したり、どのくらいお得に買い物ができているのかが分からないといったマイナスな意見も多く聞かれた。そこでAmazonは、こういった要望に応えるため、JWOシステムの更なる開発を続けることではなく、すでに導入が進められているAI技術搭載のダッシュカートと呼ばれるスマートカートに注力することとなったとのこと。

 

 

ShopifyでのAmazon Pay利用 2025/1/5終了予定

 

Shopify株式会社は、「Amazon Pay」の利用を2025年1月5日に終了予定と発表した。

画像引用:https://netkeizai.com/articles/detail/12988

ShopifyはECサイト構築サービスで、日本だけでなく世界各国でも多くの店舗に利用されているサブスクリプション型のカートASPだ。そのShopifyで決済機能として利用されてきていた、「Amazon Pay」が2025年1月6日からShopify上では利用が出来なくなるようだ(Amazon Pay自体はサービスが利用できなくなるわけではない)。Shopifyからは、Amazon Payの代わりに、「Shop Pay、Apple Pay、Google Pay」の利用を検討するよう案内している。ただ、基本的にはShopifyストアにおいてAmazon Payは自動的に削除されるものの、Amazon Payを利用していた運営者は、早急に代替の決済手段を導入する必要があるようだ。また、Amazon Payによる過去の注文情報については、Amazon Seller Cenralにて確認できるとのこと。

 

 

Yahoo!ストア向けフルフィルメントサービス(ヤマト) 2025/2/20終了予定

 

ヤマト運輸株式会社は、「Yahoo!ストア向け フルフィルメントサービス」の利用を2025年2月20日に終了予定と発表した。

ヤマト運輸が、Yahoo!ショッピング出店ストアに提供していた「Yahoo!ストア向け フルフィルメントサービス」は2025年2月に終了すると公表し、これに伴い2024年11月19日をもって新規申し込みの受付を終了している。また、出荷は2月20日15:00受付分まで、入荷は2月17日到着分、在庫返送依頼は2月20日18:00までとなっている。ヤマト側の対応としては、パートナー会社によるフルフィルメントサービスの紹介や、自社から出荷される宅急便の契約に関する相談も受け付けているようだ。

 

 

RyuRyumall 2025/3/31終了予定

 

株式会社ベルーナは、アパレルECサイトの「RyuRyumall」を2025年3月31日に終了と発表した。

カタログ通販の株式会社ベルーナが運営する「RyuRyumall」はオフィスカジュアル・通勤服を中心に、人気ファストファッションブランドを多数取り扱う通販ショッピングモールだ。対象年齢は30~40代の大人の女性向けで「3Lサイズ以上の豊富な品揃え」、「コーディネート情報」「トレンドニュース」のコンテンツも充実していた。2019年6月に提供開始し、6年間継続していたが、近年の外部環境変化や、RyuRyumallサイトの利用状況などを総合的に判断し、サービスを終了することになったとのこと。今後のスケジュールとしては、2025/3/31に注文受付終了、4/13に返品交換の受付終了、4/30にマイページの閲覧終了となっている。

 

 

LINE Pay 2025/4/30終了予定

 

LINE Pay株式会社は、スマホ決済アプリの「LINE Pay」を2025年4月30日に終了と発表した。

電子決済サービスを展開するLINE Pay株式会社は、国内最大級のコミュニケーションアプリであるLINEから手軽に利用することができるモバイル送金・決済サービスのLINE Payを提供している。また、「LINE」の友だちとの送金・送付や割り勘、企業から個人に24時間365日いつでもLINE Pay残高を送ることができる「LINE Payかんたん送金サービス」など、お金にまつわる機能も充実している。近年では、海外展開にも力を入れており、LINEが普及している台湾やタイではLINE Payの利用が可能となっていた。今回のLINE Payサービス終了において、日本では利用できなくなるが、台湾やタイでは引き続き提供を続けていくとのこと。

 

 

うねり続けるEC業界の光と陰

 

今年も数多くのサービスが終了したが、今年は主に3つの理由がサービス終了の背景にありそうだ。1つ目は単純にトレンドが移り変わりニーズが減ったというもの。フードデリバリーやKOL関連事業など、日本国内での環境の変化も大きく事業継続が難しくなったのだろう。

2つ目は過当競争の結果の撤退だ。ECサイト構築サービスやモールや決済サービスなど、一時期は多くのユーザーを集め新規サービスが乱立していたが、ここ数年はシェア上位の大手企業による寡占状態が見られた。一方、中堅以降のサービスは利用社数が伸び悩んでいるサービスも多く、そのような中での撤退の判断が行われたのだろう。

3つ目は戦略的な理由だ。Shopifyによる戦略変更は業界を大きくざわつかせたが、その背景にはグローバルでの方針変更があると言われている。また今後の拡大に期待も大きかったJWOも、これ以上の拡張が見込めないとの判断だったのか、早めの撤退となったように目に映った。

依然として、右肩上がりに伸び続けているeコマース業界であるが、トレンドの移り変わりは今後も変わらずに早いだろう。そのような中で、今後もどのようなサービスが生まれ、終了していくのか引き続き注目していきたい。