2015年にサービス終了・終了予告されたEC関連10サービスまとめ - うねり続けるEC業界の光と陰

 

そろそろ今年も終わりの足音が聞こえてきたが、この2015年もEC業界は多くの新しい技術とサービスが市場を賑わせた。しかしその一方で、業界の荒波に揉まれてひっそりと終了していったサービスも少なくはない。その中で今回は2015年に終了したサービス、終了が予告されたサービスを10個ピックアップして紹介していく。

 

 

パルコシティ 2015/1/19終了

 

パルコシティは2007年4月にサービスが開始された、パルコのショッピングモールだが、今年の1/19に閉鎖された。オンラインショッピングの序盤戦でよく見られたモール型の形態の代表的なオンラインショッピングモールだった。2011年にも大規模なリニューアルを行うなどリアル店舗と連携や販促を行うことが出来るモールとして活用されてきた。しかし、2014年5月にリリースされたカエルパルコのように、ショップ店員がコンテンツを付記して商品を販売するスタイルが主流になると見込み、オムニチャネルを意識し、ショップとのつながりを重視した方向へ舵を切ったようだ。それ以降はカエルパルコが公式オンラインショップとなっている。通常この規模の企業が集客力や実績のあるサイトを閉鎖するというのはなかなか踏み切れないケースが多いが、非常に早い決断を下している。

<参考>

ECサイトのオムニチャネルの取り組みまとめと今後

 

 

kiteco 2015/2/26終了

 

GMOペパボ株式会社が運営していたフリマアプリ「kiteco」は2/26に閉鎖された。2年ほど前から一気に拡大したフリマアプリ市場において2014/2/6にやや後発組としてサービスを開始。レディース・メンズというカテゴリのみでどちらかというとアパレル中心にジャンルを絞っていたようだが、TVCMなどで猛攻を仕掛けるメルカリなどの勢いを上回ることは出来なかったようで、サービス開始1年での終了となった。GMOペパボは一方でハンドメイドマーケット「minne(ミンネ)」が好調で、そちらに注力したとも考えられそうだ。

<参考>

レッドオーシャンと化したフリマアプリ市場へ参入してきた「ラクマ」は生き残ることができるのか

 

 

クロネコメール便 2015/3/31終了

 

ヤマト運輸が行っていた「クロネコメール便」が3/31に終了することがアナウンスされた際には、多くのEC事業者が活用していたサービスだっただけに、一時は激震が走った。クロネコメール便は164円でポストに投函して追跡サービスもある優れもの。しかし法律上はこのメール便では「信書」(ECだと納品書などが該当)の取り扱いがNGとなっており、それに対応する形でのサービス終了となった。しかし、ヤマト運輸は4/1からそれを継承するサービスとして「ネコポス」「クロネコDM便」「宅急便コンパクト」をリリース。システムトラブルなどもあったものの何とかサービスを引き継いだ形だ。

<参考>

ECサイト運営を支える配送事業者 - 佐川急便・ヤマト運輸・日本郵便の価格とサービスレベルの狭間での奮闘

 

 

Yahooアフィリエイト 2015/3/31終了

 

Yahoo!アフィリエイトは2005年からサービスを続けていた、Yahoo!ショッピングヤフオクなどを中心に活用されていたものだが、こちらも3/31に終了された。今後はバリューコマースがサービスを継承する形となる。一時期は月に数百万円を稼ぐなどで話題となったアフィリエイトという仕組みも、テクノロジーの進化と時代の流れで徐々にその存在感を減らしつつある中でのサービス終了となったようだ。

 

 

どこでも店長 2015/5/31終了

 

ネクストエンジンを提供するHamee株式会社が提供していた「どこでも店長」は5/31にサービス終了した。どこでも店長はその名のとおり、どこにいても店舗の売上や注文の確認から、目標達成率、EC関連ニュースなどを確認することが出来るスマホアプリだった。トレンドとしてはスマホアプリによる店舗データのチェックサービスは悪くはないと思うが、今後はネクストエンジンに注力していくという方向性での終了と見られる。

 

 

JUST LIKE HONEYEE 2015/8/31終了

 

株式会社ハニカムが展開していたECサイト「JUST LIKE HONEYEE」は8/31に終了した。ハニカムはhoneyee.com.fataleというウェブファッションマガジンを運営しており、そのECプラットフォームとしてのサイトであったが、取り組みも半ばで終了した形となってしまった。その背景にはハニカムは2013年10月にアラタナに買収されており、そのアラタナも2015年3月にスタートトゥデイに買収されたことが関係ありそうだ。スタートトゥデイにはZOZOTOWNWEARといったアパレル系ECサイトやファッションコーディネートアプリがあり、それらとの住み分けが問題になったとのみかたもある。

<参考>

ウェブファッションマガジンの積極的なEC連携はアパレルECの新たな潮流となるのか

動き出したEC業界再編の流れ - 大規模買収・提携でEC業界地図はどのように塗り替わるのか

 

 

coneco.net 2015/10/31終了

 

ヤフー株式会社が運営していた通販比較・レビューサービス「coneco.net」は、7000万点以上といわれる商品を230人以上のショッピングナビゲーターというその道の専門家がサポートするもの。元々はオセニック株式会社が運営していたサービスだったが、2013年に買収されて以降、ポイント連携サービスやレビューサービスも部分的に機能しないなど徐々に衰退。Yahoo!検索の新たなサービスであるYahoo!買い物ナビゲーターが10/14から開始されれることに伴い10/31に終了された形となった。一部のユーザーには価格.comよりもレビューの質が高いと好評だったが、後継サービスにはレビュー機能がなくなり、少し中途半端な形での買収、そして終わり方となったことは否めない。

 

 

LINE WOW 2015/11/13終了

 

2014年11月に鳴り物入りでLINE株式会社が開始したフードデリバリーに特化したオンデマンドECサービスである「LINE WOW」だが、開始後1年足らずの11/13に終了した。昨年の夏以降、LINEによるEC関連サービスが立て続けにスタートして勢いを見せているが、事業の見切りも非常に早い。既存事業の規模と比較すると売上もそれほど大きくなく、手間もかかるため早めに見切ったというみかたが強い。

<参考>

オンデマンドECは日本市場に浸透するのか - kaukul、LINEWOWの挑戦

LINEのEC関連事業への参入が本格化!EC市場でも覇者となれるのか

 

 

楽天ビジネス 2015/12/31終了

 

2000年12月からサービスを開始して15年近くも継続していた楽天ビジネスだが、こちらも年内での終了が発表された。楽天ビジネスは楽天市場に出展しているEC事業者向けにサイト制作などを受託する企業とのマッチングを行うサービス。従来から格安での案件対応ができてEC事業者には助かるサービスだったが、サービス受託側に月額費用が発生する上に、クラウドソーシングの勃興による発注先の多様化や、楽天市場自体がYahoo!ショッピングに新規出店数で大きく溝を開けられるなど、様々な外部環境要因によって事業が落ち込んでいったのではないだろうか。ここ最近では楽天ビジネス上での案件が目に見えて少なくなっていた印象もあるため影響は大きかったのだろう。

 

 

STULIO 2016/1/8終了

 

フリマアプリ「STULIO」は、来年1/8にサービスが終了することを発表した。2013年9月からサービスは開始され、写真共有SNSや有名人の使用品なども買えるサービスとして注目された。BUYMAを運営する株式会社エニグモの子会社が運営していたため、BUYMAにサービスを引き継ぐとしている。フリマアプリは一気に多くの会社から提供が開始されたが、ここに来て明暗がはっきりしてきているようだ。

<参考>

フリマアプリで気軽にモノを売る - フリル、メルカリ、STULIOは群雄割拠のC2Cコマースの勝者に成り得るのか

 

 

うねり続けるEC業界の光と陰

 

これらの終了した、されるサービスを見てみると、供給過剰・買収・トレンド変化・事業注力の4つの大きな原因に分類できる。

2014年に勃興したフリマアプリは一気にレッドオーシャンと化し、kiteco、STULIOはサービス終了となった。メルカリの圧倒的優位が変わらない現状では、サービス終了となっていない他のサービスも現状ではかなり厳しい状態に追い込まれていることが想定される。

企業・事業買収の煽りを受けたのはconeco、JUST LIKE HONEYEEだ。今年に入り比較的大きな買収もあり業界全体が再編のトレンドが来ていることもあり、今後もいくつかのサービスでは同じ展開が予想される。

技術やデジタルテクノロジー、さらには法規制など様々なトレンドの波にもまれたのは楽天ビジネス、Yahoo!アフィリエイト、パルコ、クロネコメール便だ。いずれも大手の各サービスは、このタイミングでの終了は、しっかりと今後を見切ることができているともいえよう。

一方、LINE WOW、どこでも店長はまだまだ可能性があるようにも思えるが、本業への事業の注力をする形での終了となった。傷口を広げずに早めにこちらも見切った結果だろう。

多くのサービスがEC業界を賑わす反面、このように終了していくサービスも非常に多いことに改めて驚かされる。EC業界の栄枯盛衰は今後も続いていくのではないだろうか。