インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズは、新型コロナウイルスの感染拡大により、外出自粛やテレワークなど、人々のライフスタイルが大きく様変わりする中、消費者の行動や意識にはどのような変化が起きているのか、Webやアプリの行動ログから、日別の推移、商品ジャンルの閲覧伸び率などを通じて、変化の実態を緊急調査した。調査結果の一部を紹介する。

 

国内では、クルーズ船「ダイヤモンドプリンセス号」乗客で初めて新型コロナウイルスへの感染が確認されたのが2020年2月1日。その後4月中旬までの期間で、国内の主要Webサイト全体のUU数を調査し、『どこでトレンドが変化したのか?』を分析した。その結果、Webサイトでの主な変化点(日別UUのトレンドが大きく変わったタイミング)は下図のようになり、新型コロナウイルスに関連する出来事が強く影響している様子がうかがえた。

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下図はユーザー数の増減率を示す増減スコアをもとに、利用者が伸びているアプリをランキングにしたものである。

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速報ニュースをはじめ、フードデリバリーの「Uber Eats」、イトーヨーカドーのネットスーパーなどが利用できる「オムニ7アプリ」、ファッションEC「UNITED ARROWS」の公式アプリや、楽天のショッピングSNS「ROOM」など、在宅時間で効率よく情報を入手し、かつ外出はできなくとも食生活や買い物は楽しみたいという消費者意識が垣間見える結果となった。アプリの場合、自ら能動的にインストールし、起動して利用することから、ポジティブな消費意欲が表れやすいのかもしれない。

14位のファッションECの「UNITED ARROWS LTD. 公式アプリ」は、4月上旬、7都府県に緊急事態宣言が出され、外出自粛要請が強化された後の週末に、ユーザー数が急増していた。

 

続いて、大手ECモールにおける商品ジャンルの閲覧数の伸びから消費者ニーズを捉えてみる。

下図は2020年2月1日~4月14日までに閲覧数の伸び率の高かった商品ジャンルである。

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使い捨てマスクが一般では入手困難な状況から「マスクフィルター」が上位にきており、「裁縫材料>ゴム」など手作りマスクのための手芸用品を買い求めるニーズも見られる。テレワークのWeb会議で便利な「PC用ヘッドセット」や、外出自粛の影響で家で過ごす時間が長くなったことから、「アロマ」グッズや、家庭で美味しい飲料水を生成できる「整水器」など、少しでも在宅生活を快適に心地よく過ごしたいという消費者心理もうかがえる。

 

刻々と状況が変化する新型コロナウイルスの感染拡大。2月~3月はマスク・消毒液など感染対策商品への需要急増が見られたが、4月になると、テレワークを円滑に進めるためのツールや、余暇や在宅での生活を楽しむための商品・サービスに消費者の関心が広がっていることが、今回の調査結果から明らかになった。

『巣ごもり消費』が長期にわたることが予測される中、消費者のニーズがどのように変わっていくのか、ヴァリューズでは今後も調査を継続していくとのことである。