【2015年まとめ】今年EC業界でチェックしておくべきトレンド5選と2016年のEC業界展望
2015年もあと僅かとなりました。依然として伸び続けるEC業界とはいえ、消費者もオンラインでの購入に慣れてきて、今までの法則が通用しなくなってきている部分も多く、運営の難易度が上がってきたように感じることも多かったのではないでしょうか。eコマースコンバージョンラボもそのような中で多種多様な記事をお送りすることが出来ました。
今年50本目のこの記事では、2015年のEC業界のトレンドや出来事を振り返り、来る2016年の展望を考えていきたいと思います。
2015年EC業界でチェックしておくべきトレンド5選
改めて振り返って今年の出来事を色々見てみました。その中から、今年の一年のトレンドともいえる5つの出来事をまとめてみます。
越境EC
中国人による「爆買い」が流行語大賞になったように、特に今年の前半までは、低迷する国内消費をよそに、中国を中心とした海外の観光客による旺盛な消費に国内の流通各社は支えられてきました。その流れは例外なくEC業界にも押し寄せ、国内だけでなく海外の消費者に商品を買ってもらい届ける“越境EC”の取り組みが注目を浴びました。しかし、越境ECを行うには言語の問題だけでなく、法律、商習慣、嗜好性、価格など多くの問題を乗り越える必要があり、それをフォローする支援サービスも充実してきた年でした。
今後は中国だけでなく、インド、インドネシアやその他の東南アジア諸国などを中心とした地域への展開も積極的に行われる可能性がありそうです。
<参考>
急成長を遂げる東南アジアとインドのEC市場 - 6カ国の市場環境・決済と進出ハードルまとめ
そもそも越境ECってどんなモノがどんな理由で売れるのか - データから見るポテンシャルと傾向
中国向け越境ECに踏み出す際に活用したい代行サービス - 素早く円滑に越境ECを開始するために
インドネシア向け越境ECの可能性 - 東南アジア1のポテンシャルを持つ国をどのように攻略していくのか
マーケティングテクノロジーの浸透
BtoBサイトや、USなどで数年前から導入が進むマーケティングオートメーションや、国内でも盛り上がりつつあるビッグデータに代表されるマーケティングテクノロジーが大手をはじめとするECサイトに浸透しはじめた年でもありました。オンラインでのマーケティングが複雑化し、店舗などを絡めたオムニチャネルの必要性が叫ばれる中、その基盤の整備と施策を行うための準備が徐々に出来てきたようです。これからテクノロジーを活用したOne to Oneの施策や、中小店舗への導入が進むのではないでしょうか。
<参考>
ECサイトでのマーケティングオートメーション元年がやってきた - 前編:ECサイトでもマーケティングオートメーションが重要な4つの理由
ECサイトのマーケティングオートメーション元年がやってきた - 後編:ECサイトでマーケティングオートメーションで成果を上げる5つのポイント
ECサイトでも使えるマーケティングオートメーションサービスを4つのセグメントで整理してみた
ECサイト向けのマーケティングテクノロジーの進化 - ECサイト運営はマーケティングオートメーションでどのように変わっていくことができるのか
ECサイトのコンバージョン率アップの切り札となるのか - Web接客サービスの究極の「おもてなし」
オンライン上の接客は顧客から個客へ - ECサイト運営もビッグデータの恩恵を受けよ
オンライン決済の多様化
オンラインでの決済手段は6割を超えるといわれているクレジットカードの独壇場が続いていましたが、今年になり他の決済手段が徐々に活用されてきた印象があります。LINE Payなどの個人間決済や、Amazonログイン&ペイメントのようなID決済、らさには後払い決済など、いずれも数年前からサービスとしては存在していましたが、有意な選択肢として挙がってきているのではないでしょうか。SPIKEのようなあらたなビジネスモデルを持つ決済サービスもあり、今後の展開が楽しみな領域です。
<参考>
新たな決済サービスLINE Pay・SPIKEと世界標準のPaypalは日本のEC決済の常識を覆すのか
Amazonログイン&ペイメントは何が凄いのか - 他の大手ID決済サービスと徹底比較してみた
LINEのEC関連事業への参入が本格化!EC市場でも覇者となれるのか
後払い決済はEC決済の常識となっていくのか - 提供各社の手数料まとめと今後
ECのメディア活用
ECサイトでの集客においてコンテンツが重要になってきている流れは昨年から引き続いているものの、今年に入ってからはそのコンテンツを様々な形や切り口で提供して活用する方法が登場してきました。従来のオウンドメディアやソーシャルメディアだけでなく、動画メディア、ウェブファッションマガジンなど、コンテンツを充実させることから、それを活用して集客に繋げる方法論が充実してきたのではないでしょうか。
<参考>
ECサイトのメディア化によって得られる3つのメリットと3つの注意点
ECサイトのメディア化は集客の最終兵器となるか - 最近のトレンドから見えてきた3つの方向性
ウェブファッションマガジンの積極的なEC連携はアパレルECの新たな潮流となるのか
オウンドメディアを用いたコンテンツマーケティングを成功に導く3つの鍵 - 流行に流されずに地に足の付いた取り組みとしていくために
業界再編の足音
EC系、テクノロジー系のスタートアップの買収はここ数年継続的に多いものの、今年は特に比較的大きな企業同士の買収による業界再編が行われ、徐々に大きな流れとなる予兆を感じざるを得ない年でした。国内の市場は右肩上がりではあるものの、リーディングカンパニーによる一社寡占の状態を磐石にするためのものや、2番手以降の企業同士によるものなど、今後も流通系、支援企業系、プラットフォーム系、物流系など各領域で再編が行われるのではないでしょうか。
<参考>
動き出したEC業界再編の流れ - 大規模買収・提携でEC業界地図はどのように塗り替わるのか
激動する東南アジアのスタートアップECサービス - メガマネーでグローバルEC企業との争いを制することが出来るのか
2015年にサービス終了・終了予告されたEC関連10サービスまとめ - うねり続けるEC業界の光と陰
2016年のEC業界展望
2015年のニュースとトレンドを振り返ってみましたが、来年はどんな年になるのでしょうか。1年という時間は長いようで業界が変わるには非常に短い時間ともいえます。そんな中で今年の動きからある程度来年の動きを予想してみます。
団塊世代向けEC
今年の9/15時点で65歳以上の人口は3,384万人で、全人口のなんと26.7%を占めています。12/16にYahoo!がシニア層向けの「らくらく通販」を開始、さらにはSFO(Senior Friendly Optimization、シニア・高齢者向けサイト最適化)なども注目を浴びるなど徐々に団塊世代と言われるデジタルシニア層への対策の必要性が増してきています。来年はこのようなシニア層向けのサイト、サービス、メディアなどが注目を浴びてくるのではないでしょうか。
コンテンツFeedbackによる販促・商品開発
ECサイトのメディア化にはじまり、今年はメディアの活用がさらに進みましたが、来年はその最終章のトレンドが来るのではないでしょうか。メディア上で提供しているコンテンツは早ければ15分程度で潜在顧客からの反応を得ることができます。商品開発や販促に潜在顧客の声を活用したいメーカーなどは、メディアによる集客やブランディングだけでなく、潜在顧客のVOCとしてのコンテンツの力をしっかり活かしていく流れが出来ていくと考えられます。ますますメディアの力が重要となっていくのではないでしょうか。
物流倉庫とECサイトの直結
Amazon Prime Nowが日本でも11/19から1時間での配送を開始するなど、即時配達のトレンドは強まってきています。即時配達の時間を突き詰めることにそこまで意味はないかもしれませんが、一方で即時配達が出来るということは、ECのフロント側と物流倉庫が完全に一体化していることを示しています。今はAmazonのみがその形を実現していますが、来年以降はこの流れが中規模以上のEC事業者にも浸透していくのではないでしょうか。今は、ECのフロント側と物流倉庫の間に複数のサービスや人力が介在しているものが、徐々に効率化され、直結されていくトレンドがくるでしょう。
改めまして今年も1年間「eコマースコンバージョンラボ」にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。皆様の多くの支えがあったことで、この1年も続けることが出来ました。心から御礼申し上げます。
来年もEC業界の動向やトレンドについての情報を発信し、業界の進むべき方向性や未来を考えていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
それでは良いお年をお迎えください!