急成長を遂げる東南アジアとインドのEC市場 - 6カ国の市場環境・決済と進出ハードルまとめ | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
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越境EC
2014/11/27

急成長を遂げる東南アジアとインドのEC市場 - 6カ国の市場環境・決済と進出ハードルまとめ

急成長を遂げる東南アジアとインドのEC市場

 

先日、ソフトバンクがインドのEC事業者の大手Snapdealに1兆円規模の出資をすると発表し、話題になった。また、近年東南アジアとインドのEC事業は年々発展してきているのはご存知の通りだろう。そこで、今回は東南アジアの中でGDPの高い、インドネシア・タイ・マレーシア・シンガポール・ベトナムにインドを加えた6カ国に注目して、現在の各国のインターネット状況や、ECの市場環境、そしてECを進出する上での課題について見ていく。

 

 

ECの市場環境

 

まずは基本情報として各国の人口とGDPを見ていこう。

東南アジアとインドと日本の人口

 

 

東南アジアとインドと日本のGDP

 

人口は12.5億人を誇るインドが他を圧倒している。2.5億人のインドネシアがそれに続き、530万人のシンガポールはグラフが見えない程度となってしまう。一方でGDPを見ていくと、こちらもインドが圧倒的だが、人口ほどの大差は付いておらず、インドは人口という起爆剤を持ってはいるが国民1人当たりの生産性で換算すると日本の実に1/25もの差が付いていることになり、一気にその差が縮まることは考えにくいが、現状の5倍程度になった際にはとてつもなく大きな影響力を持つことがわかる。

各国のBtoCのECの市場規模とEC化率をみてみよう。

 

東南アジアとインドと日本のBtoCのEC市場規模とEC化率

 

EC化率はシンガポールの5.1%、マレーシアがかろうじて1.2%となっている以外は各国とも0%台となっている。特にインド・インドネシア・ベトナムはいずれも0.1%で、まだまだ日常生活にECがまったく浸透していないことが分かる。

それでも市場規模はインドが130億US$と圧倒的で、2番目に多いタイの9億US$を10倍以上も引き離している。インドの内訳を見てみるとオンラインでのチケットの購入が大部分を占めていて、アパレルや家電等はまだ20%程度でしかないようだ。また、インドは人口だけでなく利用年齢が平均25歳と若いことから、今後の成長性は非常に高いことが推測される。また逆にインドにおいてECを利用しない理由としては、商品検索やオンラインサービスの不便さや配達料金の高さが50%、銀行口座情報などをオンラインで入力することへの不安や配達時での損失の可能性に対する懸念が40%、クレジットカードやデビットカードの保有有無が10%となっており(Assochamの調査)、まだまだ市場自体の環境整備が追いついていない実情が浮かび上がっている。

他の4カ国と比較して経済発展を遂げているシンガポール・マレーシアは、EC化率も高いため人口の割には健闘しているが、規模としてはまださほど大きくはない。その他の国も現状の市場規模を日本と比較するとまだまだ規模としては小さい。しかし、フロスト&サリバンの発表によると、2013年から2018年までに年平均37.6%で東南アジアの市場が成長していく見通しとなっており、これからのポテンシャルで考慮すると非常に有望だといえる。

 

 

インターネット環境

 

そもそもECの発展にはその土台となる、PCまたはスマートフォンによるインターネット環境が重要となってくる。そこで、インターネットの普及率と各国のスマートフォン事情を下記のそれぞれの表で比較してみたい。

 

東南アジアとインドのインターネット普及率

データ出展:http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=ICTS&d=INTERNET&c1=IN&c2=ID&c3=SG&c4=TH&c5=MY&c6=VN&s=1980&e=2014

 

各国のインターネット普及率を見てみると、やはり国によってまだまだ差があることがわかる。経済発展の著しいシンガポールとマレーシアは日本に近いレベルでインターネット環境が普及しているといえるだろう。また、最近ソフトバンクの投資等で話題となっているインドは、まだまだ普及率は15.1%と低い。しかし、そもそもの人口が12億人以上のインドのポテンシャルは凄まじく、今後の発展に期待したい。

 

 

東南アジアとインドと日本のスマホ普及率とスマホEC利用率

 

スマートフォンの普及率は、シンガポールが72%と飛び抜けていて、その他の国は3割以上または1割以上といった状況である。東南アジアでは自宅でのPCによるインターネット環境が整っていない国が多いため、自宅でPCを使う環境がない人にとってスマートフォンが個人のPC代わりとなっていることが多いようだ。また、スマートフォンを利用したモバイル購入率をみると、スマホを持っている人の約半数がスマートフォンでECを利用したことがあるということがわかる。これから東南アジアに進出するには、当然ながらスマートフォンに対応したサイトを展開していくことは必須といえるだろう。

 

 

ECの決済方法

 

次に、ECの決済方法についてみていく。

インターネット普及率の高かったシンガポールとマレーシアの国内では、クレジットカードやネットバンキングなども普及していて、50%のユーザーがECでの決済をオンラインで完結するなど比較的ECの決済の環境が整っている。また、海外からの越境ECでは、PayPalの利用も多いようで、今後の利用拡大にも注目できるだろう。

PayPalというのは、世界中で利用されている決済サービスである。過去1年間で利用されているアカウント数は1億以上で、PayPalを利用できるECショップは900万店以上もある。また、203の国と地域で利用でき、26通貨に対応しているのである。そして、売り手側には一切買い手のクレジット情報が伝わらない仕組みのため、消費者からすると安心して利用できるため海外での決済で選ばれる理由の1つだろう。

インドはクレジットカードや銀行口座の所有率が低く、物流に対する信頼も低いため、COD(cash on delivery)といわれる代金引換の決済が多く、全体の70%に及ぶ。次いで20~25%程度がクレジット決済、PayPalなどのオンライン決済は6%となっている(インド消費者インサイトレポート)。またこの11月からインド中央銀行がクレジットカードを利用したオンライン決済はインド国内の銀行を通しルピーで決済処理を行わないといけない規制を新たに設けた。これはGoogle PlayやAmazonといった海外に拠点を置く企業に影響を及ぼすものと思われる。

インドネシア、マレーシア、ベトナムではECでの決済をオンラインで行うユーザーは依然として5%以下となっている。インドネシアでは銀行振込が主流となるなど、それぞれで決済の環境が異なっているようだ。背景には低いクレジットカード保有率(シンガポールが37%、マレーシアが12%となるが他の国は5%以下)、低い銀行口座保有率(シンガポールが98%、タイ72%、マレーシア66%となるがベトナムとインドネシアは20%台)、クレジットカードのオンラインセキュリティへの不安(タイ62%、ベトナム55%、マレーシア52%、シンガポール41%)が大きく影響している。

進出する国に合わせて決済方法を用意する必要があるだろう。また、国によっては先に挙げたPaypal等の利用を検討してみるのも良いだろう。

 

 

東南アジアとインドのEC市場に進出する上での課題

 

東南アジアとインドのEC市場を見てきたが、これらの市場はどこまで発展していくのか、そして日本から各市場に進出する「越境EC」でクリアすべき課題にはどのようなものがあるのか。主な視点を4つ取り上げてみる。

 

法規制

海外に進出する上で最初に気を付けたいのは法規制だろう。今後のECの利用拡大に期待されるインドでは、以前は外資企業がECサイトで直接販売することが制限されていたのだが、インド国内で製造された製品であれば、外資企業でもECサイトで販売することができるように規制が緩和された。これによって、さらなるECの成長促進と、製造業等の発展に期待できるだろう。これから外資系企業のインドへの進出は、先日のソフトバンクのsnapdealとOlaへの投資のようにインド国内の企業と手を組む手法が増えてくるだろう。

また、今年6月にはAmazonがインドに進出した。外資規制に触れないように、「マーケットプレイス」モデルを採用し、売り手と買い手が自由に取引するプラットホームとして立ち上げ、梱包と配送業務のみを請け負っている。このように、規制に触れない形のビジネスがさらに広まっていくことも考えられる。

 

物流

次に物流環境も大きく異なる点も注意したい。日本のように全国に配送を行うことのできる配送会社をもつ国が少なく、都市部ではレベルの高い配送ができたとしても、地方では遅延や配送範囲外であるなど、どこの国でも物流インフラは整っていないのが各国の現状だ。
今年、シンガポールポストと中国のアリババが国際EC物流の合弁会社を設立することを発表した。これらの動きによって、今後東南アジアの物流が発展していくことが期待される。

 

商品

販売する商品とその価格も検討が必要だ。そもそもその商品が東南アジアでニーズがある商材なのかだけでなく、送料を含めた価格がターゲットとする人たちの現地での給与水準に見合うものなのかは検討が必要だ。日本にしかないオリジナリティが高く、東南アジアで人気の商材で運送コストのあまりかからないものが中心となっていくだろう。

 

言語

東南アジアやインドは英語がある程度通じるものの、各国に根付いた言語も障壁となってくる。商品を紹介するなどの文章以外にも、消費者からの問い合わせやクレームなどの顧客対応があるため、その国の言語での対応が必須となる。また、海外の顧客の方が、日本の顧客と比較して価格交渉や返品などの問い合わせが多いというデータもある。 そうした他言語での問い合わせに一人一人に丁寧に対応する体制を整えることが求められるが、それには相応のコストがかかってくるだろう。

 

 

東南アジアとインドのEC市場はこれからさらに拡大して行くだろう。現状進出するのであれば市場規模は小さくともインフラ面が整っているシンガポールやマレーシアが狙い目だが、数年後であればインドやその他の東南アジア各国が世界最大級の市場へと成長している可能性がある。すでに日本からも、楽天やソフトバンクなどが東南アジアへ目を向けている。数年後、環境が整ったアジアの国々は世界のEC市場の中心になっているのではないだろうか。