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2014/09/18

世界を席巻出来るか、中国・日本・韓国のBtoC向け巨大ECモール - 天猫tmall、楽天市場、Gmarket

中国・日本・韓国のBtoC向け巨大ECモール

 

BtoC向けのECモールは、各国の市場規模の拡大に合わせて巨大化の一途を辿っている。日本では楽天市場や昨年一躍脚光を浴びたYahoo!ショッピング、中国ではアリババグループの天猫tmallと猛追する京東商城、韓国ではeBayに買収されたGmarketといずれも各国のIT産業の一翼を担っているメガ企業だ。

世界的に見ても2013年にはアジア太平洋地域がBtoCのEC市場規模で最大の地域となり、2016年にはその割合が40%近くまで達すると言われている(出典:eMarketer)。その中で日本・中国・韓国の3カ国が8割を占めており、グローバルで見てもこの3カ国のBtoCのEC市場への影響力は極めて大きい。今回はその中国・日本・韓国のBtoC向け巨大ECモールから市場のトレンドを見ていきたい。

中国・日本・韓国のBtoC向け巨大ECモール

引用
*1)2億3100万人のアリババグループのアクティブバイヤー数を売上高で均等配分した推定値 http://special.nikkeibp.co.jp/ts/article/ad0e/167283/
*2)http://www.df-emall.com/e-commerce1.php
*3)http://taobao-support.net/blog/20140623/
*4)米証券取引委員会(SEC)への提出書類
*5)http://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/m_china/20140815_662212.html
*6)http://corp.rakuten.co.jp/about/strength/data.html
*7)日本ネット経済新聞
*8) YahooJAPAN IDのアクティブ数であり、ショッピングのアクティブ数ではない http://docs.yahoo.co.jp/info/yjcapital/2014/units/unit5/index.html
*9) 2013年の韓国市場全体で38兆5000億ウォン、のうちGmarketのシェアは40%程度と推定 http://www.etnews.com/news/article.html?id=20140728000107

 

 

 

天猫tmall

 

天猫tmallは、タオバオなどを手掛けるアリババグループが運営する中国のBtoCで、2008年に前身のタオバオモールがサービスを開始した。

 

 

中国ではCtoCからECがスタートし、長らくCtoCが市場の8~9割を占める時代が続いていた。しかしアリババグループは、2009年頃からBtoCを中心としたEC業界へと変化させる方向性を打ち出す。そこでタオバオの一部だったBtoCサイト、タオバオモールを2011年に独立させ、 tmall.comというドメインに移した。さらに2012年にサイト名を天猫(Tmall)と変更し、脱タオバオを明確に打ち出したのだ。

サイトは全体的に高級感を打ち出して海外の有名ブランドを積極的に出店させ、質の高い消費者を呼び込む戦略を取ってきた。また、出店に際して高いハードルを設けることにより、偽物や非正規ルート商品を減らし、消費者に信頼感を与えることのできるECモールの構築を目指した。その結果、売上は倍々で成長。現在天猫tmallは、7万店以上の店舗数、会員数は数億人を誇り、中国BtoCモデルの市場で52.4%という圧倒的なシェアを占めている。チャットによる顧客対応やエスクロー決済、宅配クオリティの大幅な改善など中国ECの発展に大きく寄与してきた天猫tmallは、もはや中国人の生活に欠かせない存在になっていると言えるだろう。

アリババグループとしての2013年度の流通総額は約28兆円、天猫tmallだけで見ても8兆3,000億円以上となり、楽天の約5倍という規模を誇る。さらにアリババは今月5日に米証券取引委員会(SEC)に書類を提出し、史上最大となる2兆5,400億円規模の調達額が見込まれている。しかし流通総額ではなく売上高で見ると、アリババの約8,120億円に対し、18.7%のシェアを占める業界2位の京東商城は 約1兆1,400億円と大きく、京東商城の売上高は中国のインターネット関連企業の中で1位となっている。京東商城も既に今年5月に米国ナスダック上場させており、今後天猫tmallを脅かす存在になるかもしれない。

 

 

楽天市場

 

楽天市場は言わずと知れた日本が誇る国内最大のECモールだ。

 

 

1997年にサービスを開始し、瞬く間にシェアを拡大した楽天市場は、2014年6月末時点で9,387万人の会員数を誇る。国民の実に10人に7人が楽天会員という計算になり、国内のインターネットユーザーに限って見れば楽天会員の比率は93%、四半期に1回以上楽天市場で商品を購入したユーザー(ユニーク購入者数)は1,469万人にも上る。出店数は41,817店で、2013年の年間売上収益1,720億円。2005年7月に起こった3万6,000件の個人情報漏洩事件や、2013年の東北楽天ゴールデンイーグルスの優勝セールにおける価格の不当表示などの問題点を加味しても、名実ともにナンバーワンのECモールと言えるだろう。

楽天では旅行や金融商品も扱っており、中でも食料品の充実度が高い。国内のECモールとしてはYahoo!ショッピングが比較の対象に上がることも多いが、ここ数年は出店数が楽天の約半分の約2万店と低迷していた。しかしYahoo!ショッピングは、2013年10月に出店料と売り上げロイヤルティを完全無料にすると発表。その効果は大きく、Yahoo!ショッピングの出店者数は施策開始前より約11万件増え、2014年6月末時点で楽天を抜いて13万4,000店となっている。このように出店数だけで見ればヤフーに王座を明け渡してしまったようにも見える楽天だが、Yahoo!ショッピングの流通総額は外部リンクの流通額を含め3,000億円強、楽天市場は約1兆7,000億円に達しており、いまだに国内最大となっている。対前年比でおよそ20%の成長と、Yahoo!ショッピングの衝撃的な出店無料化の影響はまったく見られないのだ。

楽天の強みは、何と言っても第2の通貨と呼ばれる“ポイント”のたまりやすさだろう。楽天ポイントを共通で貯めたり使ったりできる上に、ポイント10倍などのお得なキャンペーンも多く、同社が発行する楽天カードを組み合わせるとさらにお得に買い物ができる。出店者目線で言うと、楽天市場とYahoo!ショッピングでは運営方法も異なり、楽天が顧客に情報提供をしたりコンサルティング業務を行っているのに対し、Yahoo!ショッピングではそのようなフォローサービスは行っていない。こうしたサービスの違いにより、同じ事業者でもYahoo!ショッピングより楽天の店舗の方が3〜4倍の売上高があるという結果が出ている。現在、楽天全体の売り上げの57%を楽天市場などのインターネットサービスが占め、ネット金融サービスが37%を占める。前者がおよそ15%の営業利益率であるのに対し後者は20%を超えているため、楽天の収益源は金融サービスと言えるだろう。今後楽天は、金融サービスとネットショッピングの2つで消費者の入口接点を拡大し、両者の利便性を追求していく。これに対し、Yahoo!ショッピングは出店料無料化によってユーザを集客し、広告や通信ビジネスなどで収益を取り込む方法を想定している。

 

<参考>

本気になったYahoo!ショッピングは楽天を超えることが出来るのか

 

 

G-market(e-bay)

 

Gmarketは、韓国でトップシェアを誇るECモールだ。

 

 

Gmarketの社名で2000年にサービスを開始、急激に売上を伸ばし、2006年6月に米国ナスダックに上場を果たした。その後2009年に米国のeBayが子会社化し、現在はeBay KOREAが運営している。韓国では、個人も事業者も関係なく誰でも商品を販売できるオープンマーケットと呼ばれるオンラインショッピングモールが主流だが、そのオープンマーケットの代表格として挙げられるのがGmarketだ。オープンマーケットは楽天市場などのモールとは、出店審査が無い点が大きく異なる。

芸能人と提携した“スターショップ”の開設や、買い物することで慈善活動に参加できる寄付購入、販売する際にかかる商品登録料無料といった新しい試みが成功し、Gmarketは急成長を遂げて来た。また、2002年以降景気が奮わなかった韓国で、衣料を専門に取り扱う東大門市場の洋服商たちが、新たな流通経路を求めてこぞってGmarketに出店。これにより規模が拡大し、衣料関連に強いサイトという強みを築き上げた。

そして2011年、eBayの傘下であり早くからオークションサービスを提供していたオークションシェアナンバー1のAuctinと合併。eBayKOREAとなり、オープンマーケット市場の7割以上を確保する独占企業となった。そのため公正取引委員会から販売手数料の引き上げの禁止などの厳しい条件を提示されているという側面も併せ持つ。この合併は、日本で言うと楽天市場がYahoo!オークションと合併したようなインパクトがあったと言われている。現在、韓国全体のネットショップ市場の規模としては38兆5,000億ウォン(3兆8,500億円)を超え、モバイルショッピングだけでも2014年には11~12兆ウォンの規模が予想されている。SKテレコムの11番街や元はGmarketの大株主だったINTERPARKなどのモールの隆盛や、ソーシャルコマースの活性化なども進み、Amazonの本格進出も噂されるなど、今もなお拡大し続けている。

 

 

巨大ECモールから見る各国の市場特性

 

各国のモールはそれぞれ生い立ちが異なっている。このことはすなわち各国のインターネット市場と消費者の特性の違いを意味していると言える。

中国はアリババグループが爆発的に成長した一因にもなったC2C向けECサービスのタオバオ(淘宝)がEC市場の大部分を占めていた。韓国ではオープンマーケットという形態が市場の半分以上を占めている。そして日本をはじめ欧米では楽天市場やAmazonに代表されるモール型が主流だ。中国・韓国のEC市場の爆発的成長は、誰でも手軽に売買出来ることであったが、欧米日のEC市場の成長は、通常の店舗をオンライン上に移設した利便性が鍵となった。しかし、日本でも昨年からオープンマーケットやC2C視点でのECサービスが乱立してきており、どのような商習慣が国内で定着していくのかまだまだ予断を許さない状況でもある。一方で中国や韓国もモール型のサービスが勃興してきており、サービスの差別化は「手軽さ」から「信頼」に移ろうとしていると言われている。

各国の2割程度の市場を天猫tmall、楽天市場、Gmarketが持っていると仮定すると、2016年にはグローバル全体の6~7%の流通額がこの3サイトによって生み出されているという数字となり、Amazonのグローバルでの流通総額の推定値とほぼ同等となる。このように今や世界のECサービスのトレンドの一部となっている中国・日本・韓国のECサービスだが、今後もその進展から目が離せない。

 

 

<参考>

フリマアプリで気軽にモノを売る - フリル、メルカリ、STULIOは群雄割拠のC2Cコマースの勝者に成り得るのか

ひしめき合うハンドメイドマーケットEC - 気軽にネットで開店する時代はやってきたのか。Etsy、Creemaに見る未来

 

 

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