スマートフォン×EC 2013年総まとめトレンドデータ
2015年には、携帯電話所有者の70%がスマートフォンになると予測され、現在スマートフォン保有者の40%がスマートフォンでECを利用していると言われています。今回は、躍進著しいスマートフォン、そしてスマートフォンのEC活用のトレンドデータを2013年の1年間を中心にまとめていきます。2013年の新鮮なデータを、弊社EC向けアクセス解析~自動課題判定~施策提案ASPサービスShopnoteから確認していきます。
<過去四半期毎のレポート>
■速報!どこよりも早い EC×スマートフォン 2013年7-9月期 トレンドデータ
■速報!どこよりも早い EC×スマートフォン 2013年4-6月期 トレンドデータ
■速報!どこよりも早い EC×スマートフォン 2013年1-3月期 トレンドデータ
スマホ大躍進の一年を5指標×4切り口の豊富な生データで振り返る
一昨年から始まったスマートフォン活用の波は2013年も引き継がれ、終わってみるとスマホ大躍進の一年となった。その一年のデータを、来訪者数・売上高・転換率・客単価・平均PV数の5つ主要各指標について、4半期毎の時系列・出店形態別(楽天と本店)・売上高レンジ別・取り扱い商品レンジ毎の4つの切り口から見ていく。
時系列
新鮮な2013年の10月~12月のデータを含む、2013年の4半期毎のデータを並べてみても、eコマースにおけるスマートフォンの活用は引き続き伸び続けているようだ。前の4半期では若干の伸びの鈍化が見られたが、最後の4半期(10月~12月)では、依然として伸びをみせている。
売上高とアクセス人数について、全体数に対するスマートフォンユーザーの割合でデータを見ていく。最後の4半期(10月~12月)の売上高は前の4半期と比べて約3.9ポイント増の29.9%、アクセス人数は同じく前の4半期と比べてこちらも約4.7ポイント増の38.5%となっており、共に大きく伸びていることが分かった。
2013年末時点でECサイトの売上の3割はスマホ経由で行われ、アクセスするユーザーの4割はスマホでアクセスしているということを示している。スマートフォンでの購買はもはや補完的なものではないし、ユーザーは小さい画面からでも使いにくさをものともせず、積極的に購入を行っているといえる。
また、1年前の2012年のデータと比較するとその差は歴然としていて、本格的なスマホシフトが始まった2012年の第1四半期と2013年の第1四半期を比べると売上高で10.0倍、アクセス人数で11.2倍もの差がついており、たった1年で考えられないくらいのパラダイムシフトが起こったことがデータからも裏付けられた。
続いて、その他のeコマースの主要指標と言える、コンバージョンレート(CVR・転換率)、客単価、平均PV数を見ていく。こちらは、PCユーザーの値に対するスマートフォンユーザーの値の割合で見ていく。
いずれの値もごく僅かではあるが、この1年間は増加を続けているという結果となった。最後の4半期(10月~12月)のコンバージョンレー トは前の4半期と比べて約6.0ポイント増の72.5%、客単価は同じく前の4半期と比べてこちらも約5.3ポイント増の83.9%、平均PV数は同じく 前の4半期と比べてこちらも約0.2ポイント増の83.6%となっており、コンバージョンレートと客単価は大きく伸びていることが分かった。(この値 が分かりにくいかもしれないが、例えばPCユーザーのコンバージョンレートが2.0%のサイトにおいて、スマートフォンユーザーのコンバージョンレート がその64%の1.28%であるということを意味している。)
また1年前のデータと比較すると、最後の4半期(10月~12月)ではコン バージョンレートが62.0% ⇒ 72.5%、客単価が74.7% ⇒ 83.9%、平均PV数が76.2% ⇒ 83.6%となり、いずれも7~10ポイント程度上昇していることが分かった。
このことから、2013年はECサイトにおけるスマートフォン活用の全ての指標が継続的に増加していることとなり、1年前よりもスマートフォンでアクセスをケースが増えただけでなく、ECサイト内での閲覧や購買に至るステップにおいてユーザーがスマートフォンをより使い倒すようになったといえる。そろそろ頭打ちの傾向も見られるため2014年の年末時点でのトレンドを予測することは難しいが、アクセス人数の45~50%、売上高の35~40%がスマートフォン経由で行われるようになるのではないかと推測している。
出店形態別(楽天と本店)
2013年1年間のデータをいくつかの切り口で見ていく。まずは出店形態による違いはあるのかを確認するために、楽天か、それ以外の独自店舗(本店)での比較をしていく。本店のデータはGoogle Analyticsが導入されている店舗のデータとなる。
売上高は3ポイント、アクセス人数は6.3ポイント、楽天よりも本店の方が良いというデータとなっている。楽天より独自ドメインで展開されている本店の方が、スマートフォンによるアクセスがより大きくなっていて、売上の比率も高いことを示している。
続いて、コンバージョンレート(CVR・転換率)、客単価、平均PV数を見ていく。
出店形態別のスマホコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合
こちらは一転して、本店より楽天の方が数値が高くなっていることが分かる。コンバージョンレートは10.3ポイント、客単価は8.4ポイントの大差がついており、平均PV数は0.4ポイントだけではあるが、いずれも楽天の方が高い数値となっている。このことは、本店の方が楽天よりスマホでのアクセスが多いものの、スマホ画面は楽天の方が使いやすいため、楽天ではしっかりとスマホでも購買に結び付けることが出来ているといえる。本店はスマホでのアクセスを楽天ほど売上にしっかり繋げられていないようだ。楽天ではスマホ限定キャンペーンやスマホでもPCでも購入するとポイントが多くもらえるキャンペーンなど、施策面でスマホ対策を沢山行っていることも影響しているかもしれない。
売上高レンジ別
ショップの月間の売上高レンジによる違いを見ていく。4半期毎のレポートでは少しバラツキがあったこの切り口だが、1年間トータルで見てみると、売上高レンジとスマホの活用度には明らかな相関性があることが読み取れる。
売上高レンジが最も低い月間0~50万円のショップと、最も高い月間500万円以上のショップでは、売上高は7.5ポイント、アクセス人数は5.8ポイントの差がついており、その間のショップでは売上高レンジに応じた値を示している。
続いて、コンバージョンレート(CVR・転換率)、客単価、平均PV数を見ていく。
売上高レンジ別のスマホコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合
こちらも一定の相関性が見られるが、売上高レンジが最も低いショップの値が大きく落ち込んでいることが読み取れる。売上高レンジが低いショップは投資も限られ、ノウハウが少ない傾向が多いため、スマホ対策をしっかり行えていないことが明らかとなっている。逆に、最も売上高レンジの高いショップでは、PCと変わらないレベルの客単価を平均でも示しており、上手に買いまわってもらっていることがうかがえる。
取り扱い商品カテゴリ別
最後はショップで取り扱っている商品カテゴリによる違いを見ていく。ここでは、美容・健康、アパレル、食品、その他の商品の4カテゴリに大別した。商材によってスマホとの親和性の違いはあるのだろうか。結論から言うと、商材による違いは思った以上に大きいものとなって現れているようだ。
美容健康とアパレルが、売上高・アクセス人数共に40%近い値を示しており、スマホの活用が非常に進んでいるようだ。特に美容健康カテゴリでは、アクセス人数と売上高の比率が今回調査した全てのセグメントの中で唯一逆転しており、アクセスをしっかり売上に繋げやすいジャンルといえるのではないだろうか。
続いて、コンバージョンレート(CVR・転換率)、客単価、平均PV数を見ていく。
取り扱い商品カテゴリ別のスマホコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合
こちらも売上高・アクセス人数で見えていたトレンドと同じ傾向が読み取れる。客単価については食品も美容健康・アパレルと同程度の値となっているものの、スマホの小さい画面からはおいしさをしっかり伝えることが出来ていないのか、コンバージョンレートでは美容健康・アパレルに溝を大きく開けられていることが分かる。
また逆の視点としては、美容健康・アパレル・食品については、その商品カテゴリの特性を活かした売るための方法論がある程度確立されてきているが、その他の商品については商材毎に方法論を模索しながらショップが戦っているとも言えるのではないだろうか。
まとめ
以上のことから、2013年のスマホ×ECのトレンドは以下のようにまとめられる。
- 2013年末時点でECサイトの売上の3割はスマホ経由で行われ、アクセスするユーザーの4割はスマホでアクセスしている。
- コンバージョンレート(CVR・転換率)、客単価、平均PV数も1年前と比較すると7~10ポイント伸びている。
- 本店の方が楽天よりスマホでのアクセスが多いものの、スマホ画面は楽天の方が使いやすいため、楽天ではしっかりとスマホでも購買に結び付けることが出来ている。
- 売上高レンジとスマホの活用度には明らかな相関性がある。
- 商材による違いは思った以上に大きいものとなって現れており、美容健康とアパレルがスマホの活用が非常に進んでいる。
スマホ×ECのトレンドデータは、今年は4半期~半年に一回程度の割合で報告していく。
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