eコマースにおけるスマートフォントレンドデータ2013年7~9月

 

2015年には、携帯電話所有者の70%がスマートフォンになると予測され、ここ2、3年でさまざまな業界から注目を集めている“スマホ”。

現在、スマートフォン保有者の40%がスマートフォンでECを利用していると言われており、スマートフォンはECにとっても切っても切れない関係にあります。

2013年7-9月期の新鮮なデータを、弊社EC向けアクセス解析~自動課題判定~施策提案ASPサービスShopnoteから確認していきます。

 

過去四半期毎のレポート

速報!どこよりも早い EC×スマートフォン 2013年1-3月期 トレンドデータ

速報!どこよりも早い EC×スマートフォン 2013年4-6月期 トレンドデータ

 

 

スマホの利用率は更に伸びているのか?

 

2013年の7月~9月においても、eコマースにおけるスマートフォンの活用は引き続き伸びているようだ。

前の4半期(2013年4月~6月期)と比べると、やや鈍化しているものの、依然として伸びをみせている。

全体数に対するスマートフォンユーザーの割合でデータを見てみよう。

売上高は前の4半期と比べて約1.0ポイント増の25.7%、アクセス人数は同じく前の4半期と比べてこちらも約2.9ポイント増の34.3%となっており、共若干ではあるが伸びていることが分かった。

これは前の四半期のレポートにも書いたが、ECサイトの売上の1/4はスマホ経由で行われ、アクセスするユーザーの3人に1人はスマホでアクセスしているということを示しており、その影響力は無視出来ないレベルに達している。

 

時系列のスマートフォン売上高・アクセス人数割合

時系列のスマートフォン売上高・アクセス人数割合

 

更に、前年同時期と比べると、売上高の割合は1.7倍に、アクセス人数の割合は1.9倍になっており、1年前と比べても、ユーザーのスマートフォンによるeコマースの利用が進んでいることがわかる。

また、2012年1月~3月期と比較すると、売上高の割合は11.2倍に、アクセス人数の割合は12.7倍になっており、この1年半で驚異的にスマートフォンの活用が進んでいることがわかる。

1年半前は、それほど多くのユーザーが小さな画面でECサイトを回遊して購買することに懐疑的であった人も多かったのではないだろうか。今や、スマートフォン上のブラウザ経由だけでなく、モールのアプリ、更にはショップサイトをアプリ化するサービスまで存在し、様々な場面で、スマートフォンを介した購買活動が行われるようになってきている。

ただ、この4半期の伸びはこの1年半では一番小さく、アクセス数の伸びの割りに、売上高の伸びが鈍化しているため、勢いはなくなりつつあるのではないだろうか。

売上高やアクセス人数の全数に対するスマートフォンユーザーの割合は全ショップ平均で40%程度まで到達しているとこれまで弊社は推測していたが、ここのところの伸びの鈍化を見ると、アクセス人数では35~40%、売上高では30~35%が上限値となるのではないだろうか。

 

 

スマホでどのような購買体験をしているのか?

 

続いて、その他のeコマースの主要指標と言える、コンバージョンレート(CVR・転換率)、客単価、平均PV数を見てみよう。

こちらは、PCユーザーの値に対するスマートフォンユーザーの値の割合で見ていく。

コンバージョンレートと客単価は、前の4半期(2013年1月~3月期)と比べると微増、平均PV数は微減となっているが、この1年程に大きなトレンドの変化は見られないようだ。

このことから、PCを中心としたECサイトでの購買活動がスマートフォンに取って代わられることはなさそうだが、思った以上にスマートフォンを使って商品のチェックなどを中心とした購買活動をスマートフォンを用いて行っているのではないだろうか。

 

時系列のスマートフォンコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合

時系列のスマートフォンコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合

 

コンバージョンレート

 

PCユーザーの値に対するスマートフォンユーザーのコンバージョンレート割合は64.0%で、若干ではあるが今までで一番高い値となっている。ただ、トレンドとしては大きな増加傾向とは言いにくそうだ。

(この値が分かりにくいかもしれないが、例えばPCユーザーのコンバージョンレートが2.0%のサイトにおいて、スマートフォンユーザーのコンバージョンレートがその64%の1.28%であるということを意味している。)

多くのユーザーがスマートフォンを使うことに慣れてきているため、スマートフォンで商品のチェックを行っているが、最終的な購入はPCの方が行いやすいということだろう。

 

 

客単価

 

次に客単価割合は76.1%で、こちらも若干ではあるが今までで一番高い値になっている。ただ、こちらもトレンドとしては増加傾向とは言えない。

(この値も同じく、例えばPCユーザーの客単価(購入者が一回に購入する金額の平均値)が5000円のサイトにおいて、スマートフォンユーザーの客単価がその76%の3800円であるということを意味している。)

こ れは、コンバージョンレートの考察でも指摘したが、ユーザーはスマートフォンで商品のチェックはしっかり行うものの、購入、さらには複数の商品を購入することはPCで行っているケースが多いといえる。

やはり小さな画面で商品を買い物かごに入れて、また他の商品のチェックを行う、という作業は行いたくないのだろう。また、PCサイトでは「この商品を購入したお客様はこの商品も購入しています」などのレコメンド機能がだいぶ浸透してきているが、スマート フォンにおける同等機能への対応が 遅れているショップが多いことなどが考える。

 

 

平均PV数

 

平均PV数の割合は82.7%で、前の四半期では増加傾向があるように見えたものの、若干頭打ちの状態のようだ。ただ、他の指標に比べるとスマートフォンの値は一番良い。

(この値も同じく、例えばPCユーザーの平均PV数(サイトにアクセスしたユーザーが一回に平均的に何ページ閲覧しているか)が5.0ページのサイトにおいて、スマートフォンユーザーの平均PV数がその82%の4.1ページであるということを意味している。)

ユーザーは小さな画面でもしっかりと知りたい情報は確認するが、その結果購入は店頭で行うか、PCにて行っているケースが多いと考えることができる。

 

 

ショップの売上レンジによるスマホ活用の違いは?

 

次に、ショップの売上レンジ毎の値を見ていこう。

今回からは、楽天か、それ以外の独自店舗(本店)かの違いによるデータも比較していきたい。本店のデータはGoogle Analyticsが導入されている店舗のデータとなる。

売上レンジは月間の売上高で示しており、取り組みに比較的大きな差が見られる、4レンジ(月間50万円以下、250万円以下、500万円以下、500万円以上)に分けてみていく。

(売上レンジ毎となると、サンプルとなるショップの売上高の偏りから、若干データにぶれが見られるがご容赦願いたい。)

 

 

売上高とアクセス人数

 

まずは、楽天と本店別に、全体数に対するスマートフォンユーザーの割合でデータを見てみよう。

まずは、国内におけるモールの第一人者である楽天から。

 

楽天の売上高レンジ別のスマートフォン売上高・アクセス人数割合

楽天の売上高レンジ別のスマートフォン売上高・アクセス人数割合

 

楽天のショップでは、売上高が低いショップ程、スマートフォンの売上割合は低くなっていて、ショップにおけるスマートフォンの活用度合いは低い。

アクセス人数については、それほど顕著なトレンドは確認出来ないが、一番売上高が低いレンジの0~50万円のショップ以外は売上高と同様に売上高が低いショップ程、スマートフォンの売上割合は低くなっているようだ。

楽天の場合は、売上の大きさ(≒ショップの個別施策の実施度合いの大きさ)によらず、楽天側が全ショップを一律で最低限のスマートフォン対応を行っているため、売上高やアクセス人数のトレンドはそれほど大きな違いは見られないといえる。

 

次に本店の全体数に対するスマートフォンユーザーの割合でデータを見てみよう。

 

本店の売上高レンジ別のスマートフォン売上高・アクセス人数割合

本店の売上高レンジ別のスマートフォン売上高・アクセス人数割合

 

本店についても売上高とアクセス人数については、売上高が低いショップ程、スマートフォンのその割合は低くなっていて、楽天とほぼ同じトレンドが読み取れる。

本店のデータと楽天との大きな違いは、売上高の高いショップと低いショップの差が非常に大きく現れていることだ。

また、全てのレンジにおいて、楽天よりも高い値を示しており、売上高の高いショップの値は極めて高い値となっていることが分かる。

最も売上高の高いレンジのショップでは、売上高で42.8%、アクセス人数で48.6%の高い値となっており、ほぼ2人に1人がスマートフォンにてアクセスしているということを示している。

少し想像と異なっていたのだが、モール全体としてスマートフォン対策を行っている楽天の方が、店舗毎に施策を強いられる本店と比べて、スマートフォンユーザーによるアクセスや売上は上がりにくいという結果になった。

しかし、いずれにしても、売上高の高いショップにとってはスマートフォン対策は欠かすことが出来ない必須の対策となっていることが改めて浮き彫りとなった。また、売上高の低いショップにとっても、スマートフォン対策を行うことでより売上拡大のチャンスがあることを意味している。

 

コンバージョンレートと客単価と平均PV数

 

次は、楽天と本店別に、PCユーザーのコンバージョンレート・客単価・平均PV数に対するスマートフォンユーザーの割合のデータを見てみよう。

こちらも楽天のデータから。

 

楽天のスマートフォンコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合

楽天のスマートフォンコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合

 

楽天では、コンバージョンレート・客単価については、売上高が低いショップ程、スマートフォンの割合は低くなっていて、ショップにおけるスマートフォンの活用度合いは低い値を示している。

平均PV数については、ショップの売上高の違いはトレンドには現れていない。

 

次に本店のPCユーザーのコンバージョンレート・客単価・平均PV数に対するスマートフォンユーザーの割合のデータを見てみよう。

 

本店のスマートフォンコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合

本店のスマートフォンコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合

 

本店についてもコンバージョンレート・客単価については、売上高が低いショップ程、スマートフォンのその割合は低くなっていて、楽天とほぼ同じトレンドが読み取れる。

ここでも本店のデータと楽天との大きな違いは、売上高の高いショップと低いショップの差が非常に大きく現れていることだ。

コンバージョンレートは500万円~、客単価は250万円~のショップで、楽天よりも本店の方が高い値となっているが、それより売上高が低いショップでは楽天の方が高い値となっている。

ここでは、売上高の低いショップの場合は、モール全体として施策を行っている楽天の方が、回遊性や購入のしやすさという点で優れていることが読み取れる。

しかし、驚くべきことに、本店の一番高い売上高レンジにおいては、客単価は100%に迫る勢いで、既にPCでもスマートフォンでもお客様が購入する金額は大差がなくなってきていることが分かる。

 

 

まとめ

 

この1年半で売上高・アクセス人数の割合は10倍以上となり、驚異的にスマートフォンの活用が進んでいる。

この4半期は、アクセス数、売上高は依然として伸びていたが、コンバージョンレート、客単価、平均PV数の値はここ半年間と変わらず頭打ちが見られた。

現状では、ECサイトの売上の1/4はスマホ経由で行われ、アクセスするユーザーの3人に1人はスマホでアクセスしている。

売上高の低いショップにおいても、スマートフォンユーザーの各指標の値が改善され、売上高による差異はかなり減っており、全てのショップにとってスマートフォンユーザーの波が押し寄せている。

楽天より本店の方が売上高の高いショップと低いショップの差が非常に大きく現れている。

楽天より本店の方がショップの頑張りがスマートフォン活用の結果に繋がりやすく、売上高の高いショップほどスマートフォンの活用度合いが楽天よりも高くなっている。

 

 

 

スマートフォンに関するレポートは、4半期毎に提供していきます。

なお、データの母数が変化するため、過去データについては細かい値は変動する可能性があるこをご了承頂き、大きなトレンドとして参考にして頂きたい。また、取扱商品による差異があることも一部のデータでは確認できているが、優位なサンプル数が得られていないため、このレポートに含めることは見送らせて頂いてます。