スマートフォン×EC 2014年上半期トレンドデータまとめ速報

 

2015年には、携帯電話所有者の70%がスマートフォンになると予測され、現在スマートフォン保有者の40%がスマートフォンでECを利用してい ると言われています。今回は躍進著しいスマートフォンのEC活用のトレンドデータを2014年の上半期の速報値としてまとめていきます。新鮮なデータを、弊社EC向けアクセス解析~自動課題判定~施策提案ASPサービスSHOPNOTEから確認していきます。

 

<過去のレポート>

【スマホ×EC】2013年総まとめトレンドデータ - スマホ大躍進の一年を生データで振り返る

 

 

 

ECにおけるスマホ活用実態を5指標×4切り口の豊富な生データで徹底解剖

 

一昨年から始まったスマートフォン活用の波は、この2014年上半期も引き続き伸びているのか。この半年のデータを、来訪者数・ 売上高・転換率・客単価・平均PV数の5つ主要各指標について、4半期毎の時系列・出店形態別(楽天と本店)・売上高レンジ別・取り扱い商品レンジ毎の4つの切り口から見ていきます。

 

 

時系列

 

新鮮な2014年の1月~6月のデータをみると、依然としてeコマースにおけるスマートフォンの活用は凄い勢いで伸び続けているようだ。そして遂にスマホユーザーの割合が半数を超えたことが確認出来る。

 

時系列のスマホ売上高・アクセス割合

時系列のスマホ売上高・アクセス割合

 

売上高とアクセス人数について、全体数に対するスマートフォンユーザーの割合でデータを見ていく。最後の4半期(4月~6月)の売上高は前の4半期と比べて約4.0ポイント増の40.2%、アクセス人数は同じく前の4半期と比べてこちらは何と約7.3ポイント増の52.8%となっており、共に大きく伸びていることが分かった。

2014年6月末時点でECサイトの売上の4割はスマホ経由で行われ、アクセスするユーザーの5割はスマホでアクセスしているということを示している。このことは、ECサイトにおいて、PC向けの施策を行うよりもスマートフォン向けの施策を優先的に行わなければならないことを意味しており、従来のPC優先の運営スタイルを行っているショップでは180度考え方を変える必要があるだろう。

また、1年前の2013年上半期のデータと比較しても売上高で14.9ポイント、アクセス人数で20.9ポイントという凄まじい勢いでスマートフォンの活用が伸びていることがデータからも裏付けられた。

 

続いて、その他のeコマースの主要指標と言える、コンバージョンレート(CVR・転換率)、客単価、平均PV数を見ていく。こちらは、PCユーザーの値に対するスマートフォンユーザーの値の割合で見ていく。

 

時系列のスマホコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合

時系列のスマホコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合

 

いずれの値もこの1年間は増加を続けているという結果となった。最後の4半期(4月~6月)のコンバージョンレー トは前の4半期と比べて約1.4ポイント増の76.6%、客単価は同じく前の4半期と比べてこちらも約1.8ポイント増の87.9%、平均PV数は同じく 前の4半期と比べてこちらも約2.2ポイント増の89.7%となっており、ごく僅かではあるが伸びていることが分かった。(この値 が分かりにくいかもしれないが、例えばPCユーザーのコンバージョンレートが2.0%のサイトにおいて、スマートフォンユーザーのコンバージョンレート がその76%の1.52%であるということを意味している。)

また1年前のデータと比較すると、最後の4半期(10月~12月)ではコン バージョンレートが65.2% ⇒ 76.6%、客単価が78.9% ⇒ 87.9%、平均PV数が82.6% ⇒ 89.7%となり、いずれも7~11ポイント程度上昇していることが分かった。

 

このことから、2014年上半期においてもECサイトにおけるスマートフォン活用の全ての指標が継続的に増加していることとなり、また頭打ちの傾向もいまだに見られず、その勢いは依然として大きい。そのため2014年始の弊社の予想(2014年の年末時点でアクセス人数の45~50%、売上高の35~40%がス マートフォン経由で行われる)を上半期でクリアした結果となった。改めて予想を上方修正すると、今年の年末にはアクセス人数の55~60%、売上高の45~50%がス マートフォン経由で行われるのではないだろうか。

 

 

出店形態別(楽天と本店)

 

2014年上半期のデータをいくつかの切り口で見ていく。まずは出店形態による違いはあるのかを確認するために、楽天か、それ以外の独自店舗(本店)での比較をしていく。本店のデータはGoogle Analyticsが導入されている店舗のデータとなる。

出店形態別のスマホ売上高・アクセス割合

出店形態別のスマホ売上高・アクセス割合

 

売上高は7.3ポイント、アクセス人数は13.7ポイント、楽天よりも本店の方が良いというデータとなっている。この差は2013年の差(売上高は3ポイント、アクセス人数は6.3ポイント)よりも2倍以上大きく広がっていることが分かる。楽天より独自ドメインで展開されている本店の方が、スマートフォンによるアクセスがより大きくなっていて、売上の比率も高い傾向がさらに強まっていることを示している。

続いて、コンバージョンレート(CVR・転換率)、客単価、平均PV数を見ていく。

 

出店形態別のスマホコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合

出店形態別のスマホコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合

 

こちらも2013年のデータと変わらず、売上高・アクセス人数とは逆の傾向となり、本店より楽天の方が数値が高くなっていることが分かる。コンバージョンレートは3.2ポイント、客単価は3.9ポイント、平均PV数は4ポイントいずれも楽天の方が高い数値となっている。このことは、依然として本店の方が楽天よりスマホでのアクセスが多いものの、スマホ画面は楽天の方が使いやすいため、楽天ではしっかりとスマホでも購買に結び付けることが出来ているといえる。しかしその差は着実に狭まってきているようだ(2013年のデータではコンバージョンレートは10.3ポイント、客単価は8.4ポイント、平均PV数は0.4ポイントの差)。

楽天は2013年から積極的にスマホでのキャンペーン施策を行ってきていて、その成果が数字に現れてきているが、ここにきて本店でもしっかりと対策を行いつつあるようだ。またここのデータだけに限った話ではないが、ユーザーの中でスマホでモノを普通に買えるんだ、PC開くの面倒くさいからスマホで購入してしまおう、という行動が浸透してきたことが大きいのではないだろうか。

 

 

売上高レンジ別

 

ショップの売上高レンジ(月間売上高)による違いを見てみよう。2013年全体のデータでは完全なる相関関係が見られたが、2014年上半期のデータでは、最も売上高レンジの低いショップの売上高が一番高くなっているが、それ以外は売上高レンジが上がるにつれて、売上高とアクセスのスマホからの割合は高くなっている。

 

売上高レンジ別のスマホ売上高・アクセス割合

売上高レンジ別のスマホ売上高・アクセス割合

 

売上高レンジが最も低い月間0~50万円のショップと、最も高い月間500万円以上のショップでは、アクセス人数は9.6ポイントの差がついており、その間のショップでは売上高レンジに応じた値を示している。

続いて、コンバージョンレート(CVR・転換率)、客単価、平均PV数を見ていく。

 

売上高レンジ別のスマホコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合

売上高レンジ別のスマホコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合

 

こちらは売上高レンジが一番低いショップの売上高の比率が高かった原因が読み取れる。コンバージョンレートと客単価が売上高レンジが一番低いショップが一番高い数値を示している。それ以外の値には一定の相関性が見られる。売上高レンジが低いショップはPCサイトの改善もスマホ対策もあまりしっかり行えていないためPCとスマホで大きな差が出ていないのではないだろうか。それなりに売りを作ることが出来ている売上高レンジ50万~のショップではショップの規模によるスマホ対策の違いがこちらは相関として値に出ていることが読み取れる。

 

 

取り扱い商品カテゴリ別

 

最後はショップで取り扱っている商品カテゴリによる違いを見ていく。ここでは、美容・健康、アパレル、食品、その他の商品の4カテゴリに大別した。2013年から引き続き、美容・健康、アパレルではスマホとの親和性が非常に高くなっている

 

取り扱い商品カテゴリ別のスマホ売上高・アクセス割合

取り扱い商品カテゴリ別のスマホ売上高・アクセス割合

 

全てのカテゴリにおいて2013年の値よりもスマホの活用は進んでおり、アクセス人数の割合で見ると美容健康が60%超え、アパレルが約55%と半分をかなり上回るのアクセスがスマホ経由となっていることが分かる。逆に食品のスマホ活用は頭打ちの傾向が見られ、2013年の値よりも微増程度で他のカテゴリと比較しても大きく溝があいている。

続いて、コンバージョンレート(CVR・転換率)、客単価、平均PV数を見ていく。

 

取り扱い商品カテゴリ別のスマホコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合

取り扱い商品カテゴリ別のスマホコンバージョンレート・客単価・平均PV数割合

 

コンバージョンレートは美容健康が非常に高い値となっており、スマホでアクセスしたユーザーは購入の意思を持っているリピートユーザーが多い可能性が高い。また客単価・平均PV数はアパレルが非常に高い値となっている。アパレルを買いたいと思うユーザーはスマホでアクセスをしてもしっかり商品を閲覧し、多くの商品を購入しようとしていると言える。

 

 

まとめ - 遂にスマホユーザーの割合が半数を超える

 

以上のことから、2014年上半期のスマホ×ECのトレンドは以下のようにまとめられる。

  • 依然としてeコマースにおけるスマートフォンの活用は伸び続けている。
  • ECサイトの売上の4割はスマホ経由で行われ、アクセスするユーザーの5割はスマホでアクセスしている
  • 楽天より独自ドメインの店舗の方が、スマホによるアクセスが大きく、売上の比率も高い傾向がさらに強まっている。
  • 美容・健康、アパレルではスマホとの親和性が非常に高くなっている。

 

 

 

スマホ×ECのトレンドデータは、今年は4半期~半年に一回程度の割合で報告していく。