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2015/01/22

ECサイトのマーケティングオートメーション元年がやってきた - 後編:ECサイトでマーケティングオートメーションで成果を上げる5つのポイント

ECサイトのマーケティングオートメーション元年がやってきた

 

ECサイトの運営は年々難易度を増している。2000年代前半は、オンラインに出店すればある程度のモノが売れた時代であったが、最近ではそのよう なことはほとんどなくなってきている。そのため、各店舗とも集客の努力(≒広告投資)を行い、コンバージョンを高めるための努力(≒サイト改善)を行い、 あらゆる側面で非常に競争が激しくなってきている。

このような流れの中で今年は分散したデータを上手に統合することで運営の無駄を省き、 マーケティングや運営のオートメート化を本格的に考え、シフトしていく年になるのではないだろうか。前編では、ECサイトにおいてもマーケティングオートメーションが重要である理由を考えたが、この後編ではどのようにECサイトにおいて成果を上げていくかを考えていく。

注:当コラムでは「マーケティングオートメーション」というキーワードをECサイト運営事業者によるマーケティング活動全般のオートメイト化に限らず、運営業務全般のオートメート化として議論を進めていくことにする。

 

<参考>

ECサイトでのマーケティングオートメーション元年がやってきた - 前編:ECサイトでもマーケティングオートメーションが重要な4つの理由

 

 

ECサイトにおけるマーケティングオートメーションの領域

 

ECサイトにおけるマーケティング(+運営)オートメーションについては主に5つの領域で考えることが出来る。すなわちCRM領域、在庫領域、広告領域、サイト領域、解析領域だ。「マーケティングオートメーション」という仰々しい名称を使わなくても、これらの領域にはマーケティングや運営のオートメーションを実現することが可能なサービスは既に以前から存在している。

CRM領域では顧客データと連携させてリピート頻度に応じてターゲティングやメールマーケティングをルール化して自動で行うことが出来るツールがある。また、サイトにアクセスしたユーザーの属性に応じてその場でクーポンを発行するflipdeskのようなサービスもある。在庫領域では他店舗展開を行っている店舗の在庫数を自動でコントロールするネクストエンジンや、場合によっては自動で発注することが可能なサービスもある。広告領域では大手のWeb系の広告代理店では既に社内的には自動でリスティング広告の投資をチューニングするツールを活用しているだろうし、L2Mixerのようなサービスもある。また、訴求文を自動で作成するサービスも存在する。サイト領域では人気の商品ランキングを自動作成して表示させるものはかなり以前から存在するし、A/Bテストを行ってコンバージョンの高いデザインを優先的に表示するようなサービスも登場している。さらにこれらの4つの領域を横断的に刺す領域としてソーシャルやアクセス解析系のデータ側面からのアプローチもある。たとえばSHOPNOTEはサイトのアクセス系のデータを解析して自動で問題点の判定を行ったり解決施策の提案を行う。

こうして考えると思ったよりも既に「オートメーション」の流れはEC業界に入りこみつつあるといえる。しかし、これからはこのような個別の「オートメーション」ではなく、業務全体のオートメーションへの流れが加速するだろう。従来までであれば1つの領域、1つの業務についてのオートメイト化だけだったものが、徐々に広がりだし、複数の業務領域を横断的にオートメイト化することが出来るようになるのではないか、という流れだ。

 

 

ECサイトでマーケティングオートメーションで成果を上げる5つのポイント

 

マーケティングオートメーションに置き換えられるべき業務は、現状ではメンバーで頑張って対応しているものや、時間をかけられないので最低限対応しているだけのもの、さらには忙しくて全く対応できていないものなど様々だろう。また、当然のことではあるが全ての業務をオートメイト化することが出来るわけでもないし、しない方が良い業務もある。それは、各店舗の置かれている状況や、商材、さらには体制などにもよるところが大きいだろう。

ここでは、このようなことを考慮しながら成果を上げるために必要な5つのポイントを見ていく。

 

ECサイトでマーケティングオートメーションで成果を上げる5つのポイント

 

 

既存業務をしっかりと洗い出す

 

まずは日々行っている業務をしっかりと洗い出すことからはじまる。各担当者が行っている業務、外部に依頼している業務をフロー化し、それぞれの業務にどの程度のコストと時間をかけているのかを把握していく。関与しているメンバーが多ければ多いほどこの作業は困難なものとなるが、この作業をおろそかにすると成果を出すことは出来なくなる。マーケティング視点でサイト内のユーザーの行動に応じたアクションや、リードジェネレーション的なメールマーケティング部分を細かく洗い出すこともポイントとなる。

また、本来は行わなければならないが出来ていない業務も同時に洗い出していきたい。セミナーに参加したら他の成果の出ている店舗ではこのような対応を行っていたと聞いた、このサイトではこのようなことをやるべきだと書いてあった、などのインプットでも構わない。不足している、もっとここは時間があれば細やかに対応していきたい、という業務もフローに加えていくとよい。

 

 

強み弱みを把握し導入するべきサービスを選定する

 

洗い出した業務について、今の体制ではどこが強みでどこが弱いのか、どこの対応はしっかりと出来ているが、どの業務はほとんど対応出来ていないのかなどを把握していく。成果を出すという視点では、既存業務で苦労をしている部分、対応がおそろかになっている部分などを自動化していく必要がある。そのような業務は日々頭を悩ませながら店舗を運営している運営事業者はすぐにいくつか頭に思い浮かぶだろう。

その上でそのようなポイントを自動化することが可能なサービスを探していく。現状ではIBMやオラクルなどの大手が提供しているプラットフォーム的なサービスは大規模店舗向けだったり、BtoB向けだったりするケースが多い。まずは、ライトなサービスでも良いので困っている業務の自動化を実現することが可能なサービスを見つけていくとよい。

また導入後、手軽なルールで構わないので試してみることをおすすめする。例えばある条件の場合に、運営管理者にメールを送信する、などの非常に手軽なルールの設定が可能となっているサービスが多い。そのような簡単なルールをまずは導入してみることが重要だ。今まで行ったことのない業務に手軽なルールを適用するのでもよし、既存業務を置き換えるのもいいだろう。とにかくオートメーションを実現するためのサービスを導入し、トライすることが重要だ。

 

 

異なるサービス間でルールを実装する

 

プラットフォーム的なサービスであっても、手軽なルールを導入するサービスであっても、それだけでは成果は限定的だ。他の既に導入しているサービスとの連携を考慮していくことが重要だ。もちろん連携させるためには機能開発が必要になるケースが多いが、異なるサービスを連携させることで相乗効果も期待できるだろう。片方のサービスでルール化されたトリガーを他のサービスに取り込みアクションを起こすなど、異なる業務領域であれば何通りかのルールが思いつくのではないだろうか。

 

 

効果検証を行う

 

ルールを導入するとそれだけで安心してしまいがちだ。しかししっかりとその効果を検証して、ルールの改善を行っていくことが重要だ。業務の効率化、売上アップなど様々な目的があるだろう。そこに向かってしっかりルールが機能しているのか、さらに改善出来る余地はないのかを常に検証していく必要がある。ここでは売上への貢献だけでなく、業務効果を単価・工数などから金額換算できると理想的だ。売上貢献が少なくても業務効果の高い施策もあり、それへの効果もしっかりと評価していく必要がある。その結果、ルールのトリガーの閾値を変更したり微修正を繰り返していくことでさらに成果を得やすくなるだろう。

 

 

常に新しいルールを考える

 

これは何事にも言えることだが、興味を持ち取り組むことでより高い成果を得られる可能性が高まる。現在のおかれている業務プロセスにおいてどこをどのように自動化すればより業務改善や売上貢献への効果が得られるのか、どのような新しいルールが考えられるのか常に頭の中で考えておくことはとても重要だ。また他社が成果を挙げているポイントやサービス内でレコメンドされているルールなども常にアンテナを高くして情報収集をしておいた方がいいだろう。そうすることでマーケティングオートメーションという少しハードルの高いブラックボックス的な概念を柔軟に操ることが出来るようになるだろう。

 

 

 

ECサイトにおいて、どのようにマーケティングオートメーションをはじめて、どのように成果を出していくべきかの基本は理解いただけたのではないだろうか。一般的なマーケティングオートメーションはBtoBビジネスにおいて語られることが多いため、その考え方をそのままECサイトに適用することは出来ないケースもある。(もちろん出来るケースもあるのだが。)
違いを理解した上で、上手に運営の自動化を行い、マーケティングオートメーションの効果を享受していける環境を作っていくことで、次世代型の運営基盤の確立が可能となるのではないだろうか。現在の煩雑な運営スタイルを一新する可能性を秘めているマーケティングオートメーションであるが、この一年でどこまで浸透していくのか楽しみである。