キャプテラでは、ソーシャルメディアにおける消費者の購買行動を明らかにすることを目的とし、普段からSNSを利用しつつ、よくオンラインで商品やサービスを購入する国内の「オンライン消費者」に調査を行い、1,036人の有効回答を得た。

 

 

約1/4のオンライン消費者がSNSを通じて購入経験あり

 

ソーシャルメディアは、様々な目的に利用される日常的なコミュニケーション手段だが、どの程度の人がソーシャルメディアを通じて買い物をしているのか。そこで、まずは本調査の参加者全員に、ソーシャルメディアを通じて商品やサービスを購入したことがあるかどうかを尋ねた。その結果、一番多かったのが、「購入したことも興味もない」が約半数で、「ソーシャルメディアを通じて購入したことがある」と回答したのは24%にとどまった。なお、29%は「ソーシャルコマースの経験がないものの、将来的には興味はある」と前向きな姿勢を見せている。

 

総合的には、ソーシャルメディアを通じての購入に関心を示さない回答者が多かったが、年齢別で見ると状況には大きな差があり、年齢層が若いほど、購入経験者、購入意向者の割合が高く、25歳以下では「興味なし」が少数派となっている。このように若年層の利用率が高いということから、まだまだ今後も拡大の余地があると考えられる。

 

続いて、SNS経由で購入したことのある回答者を対象に、どのSNSで商品やサービスを購入したことがあるかを調査したところ、最も利用されていたのは「Instagram」で43%、続いて「LINE」が42%と約4割あったものの、「Twitter」が24%、「Facebook」は17%程度だった。

 

 

人気の商品ジャンルは「ファッション」と「食料品」

 

SNS上で購入する商品について尋ねたところ、半数以上(57%)が「通常のオンラインショップ」で買う商品と異なるものを購入することがあると回答した。また、ソーシャルメディアでどのような商品やサービスを購入したことがあるのかを調査したところ(複数回答可)、「ファッション・衣服・靴」と「食料品」が41%と人気のジャンルであることがわかった。

 

 

ソーシャルメディアでの購入にかける月々の平均金額については、回答者の75%はひと月あたり「平均150円~7500円」かけており、収入が高いほど消費支出が多い傾向も確認された。また、SNSには様々なコンテンツがあるが、購買行動に最も影響を及ぼすものは企業が配信する「ブランド・商品の広告」であることが分かった。これは、パート1で述べた情報源の好みと関連性があると考えられ、ソーシャルメディアで商品やサービスに関する情報を得る際に、最も信頼性の高い発信元は「企業から直接提供されたもの」である。従って、日本のECブランドは、購買意欲を高めるために、SNS上でのマーケティングに力を入れることが重要だといえる。

 

 

安全性に対する不安

 

ソーシャルメディア経由で購入したことがないと答えた回答者を対象に、その理由を尋ねたところ、「購入経験がないが、興味がある人」の34%が、購入しない主な理由として、「詐欺が怖いから」を挙げていた。同様に、「ソーシャルメディアを通じて購入したことがなく、興味もない人」の36%も同様の理由を述べていた。このように、「詐欺が怖い」という理由が最も多く選ばれているが、果たしてソーシャルコマースでの詐欺はそれほど蔓延しているのか。これについて購入経験がある回答者に聞いたところ、詐欺の発生率は非常に低く、86%が「詐欺の被害にあったことがない」と回答している。

一方、詐欺を経験した人の中で、多かった被害は、「商品が説明と違っていた」が32%、「商品が届かなかった」が29%、「商品が偽物だった」が24%だった。

 

 

顧客満足に直結する「信頼感」

 

ソーシャルメディアにおいて、信頼と安心は顧客満足度向上において重要なため、企業はソーシャルメディア上で迅速かつ親身な対応を行い、フォロワー間でコミュニティ意識を醸成することが必要だ。その上で、顧客データを保護し、機密情報が漏洩しないように、セキュリティを優先させることも大切だといえる。セキュリティの確保は、企業の評判を守るだけでなく、顧客との信頼関係を築くことにもつながるため、良好な顧客体験を実現するためには、「迅速性」と「セキュリティ」のバランスをとることが不可欠だろう。