データプライバシー規制は否定的にとらるだけでなく、活用すべき | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
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公開日2019/09/02

データプライバシー規制は否定的にとらるだけでなく、活用すべき

投資顧問会社であるSchulz Advisors LLCの代表Duane Schulz氏は、マーケターがプライバシーと透明性を推進することにより、「短期的なリード獲得から、持続的な信頼、そして長期的なブランド価値の構築に焦点を移すことができる」と語る。

「プライバシー保護を、マーケターが会社の価値として活用することにより、どのような効果が生まれるか?」

これは、Duane Schulz氏から提示された質問である。企業が需要創出と収益機会に必死になっているデジタル社会においては、マーケターが、データプライバシーポリシーを“解決すべき一つのハードル”とみなす場合が多いだろう。

 

しかし、マーケターが見方を変えて、プライバシー規制を負担と捉えるのではなく、データプライバシーをブランドの価値の核となる要素として活用すると、どのような効果が生まれるだろうか?

 

9月に開催されるMarTech EastでSchulz氏は、「悪用を回避する:リーンサーベイランスマーケティングのフレームワーク」セッションにおいて、このトピックを掘り下げる予定である。同氏は、高まるユーザーのプライバシーと信頼に関する懸念に対し、どのようにマーケティング・テクノロジーを活用できるかを説明するとともに、マーケターが、ユーザーファーストな信頼構築と、ユーザーの同意に基づいたブランドマーケティングに移行するためのソリューションを提示する予定だ。

 

プライバシーに関する懸念の高まりや、データ侵害、および新しいデータプライバシー法施行を受けて、消費者の個人データに対する認識はこれまで以上に高まり、データ保護に対して非常に敏感になっている。マーテック実務担当者は、プライバシーとデータ管理を「コンプライアンスの問題」として考えているが、マーテックスタック(全チャネルにおけるマーケティングテクノロジーを体系化したもの)において、「データプライバシーとコンプライアンスに責任を負っている」と回答したのは「2019年 Martech Salary Survey」の彼ら対象者の36%にとどまった。

 

デジタル社会において、マーケターはリードと収益獲得を追求するために、マーテックスタック全体で消費者行動をトラッキングし、個人をターゲティングし、消費者ジャーニーを中断し、暗黙の同意なしにデータを収集して、個人を特定している。しかし、消費者によってデータとプライバシー管理の権限が強化されるにつれ、かつての戦略を続けられなくなっていくだろう。Schulz氏は「私たちは、プライバシーと信頼が“新しい原動力”となるデジタル世界に突入している」と説明している。

 

「考え方を変えるために最初に行うべき方法の一つは、ブランドの観点からマーケターの業務を検討することである。「MQL(マーケティング活動によって創出されたリード)とCPL(営業活動によって創出されたリード)は常に測定しているだろうが、マーケターによるブランド価値への貢献度を測定しているだろうか?」とSchulz氏は語る。

 

マーケターが、ユーザーファーストのデジタルエクスペリエンス構築の基本原則として、プライバシーと透明性を積極的に推進することにより、短期的なリード獲得から永続的な信頼と長期的なブランド価値構築に焦点を移すことが可能となる。

その実現のためには、マーケターは、組織からの支持を得ることができるプライバシー重視のフレームワークを開発することから始めるべきだと、Schulz氏は提案している。

 

コアバリューの確立

Schulz氏は、サイト訪問者のジャーニーを、マーケターのそれよりも高いレベルに位置付け、信念と原則を構築することから始めることを奨励している。組織は、顧客情報を「所有」しているのではなく、一時的に「レンタル」していることを認識すべきであり、一定の基準を設定し、組織全体がそれを理解していなければならない。同氏は、「マーケターのポシションは、チームと組織における特定の監視ポリシー作成のための必要な手順の概要を示す、プロセスまたはテンプレートを提案するのに最適である」と述べている。

 

現実世界におけるアプローチの検討

企業は、顧客の物理的体験を反映したデジタル体験を構築すべきである。これは、多くの企業にとって難しいことかもしれないが、Schulz氏は、ユニークな視点を提示している。「次のように考えて見てほしい。たとえば、あなたがTarget(米国大手ディスカウント小売チェーン)の店舗にいるとしよう。誰かが目に見える距離であなたの後をついて回り、行動のすべてを書き留めていて、突然、目の前に飛び出してきて次に何をするべきか指示したとすると、どのように感じるだろうか?」

 

マーケターが、どのように物理的体験をデジタルタッチポイントに変換すべきかを考え始めると、透明性とユーザーからの同意が自ずと重視されるだろう。マーケターは、購入を強制するのではなく、コンバージョンへの触媒となり得るオーガニックエンゲージメントを促進する方法を考える必要があるのだ。

 

信頼と同意を優先する

マーケターは、ウェブ上のユーザーのアクティビティ・トラッキングの戦術的プロセスを常に理解しているわけではない。しかし彼らは、マーテックベンダーが使用するトラッキング・プロセスを解明しようとすることにより、その方法がユーザーのプライバシー保護にどのように準拠するか(もしくは、準拠しているか)を理解することができる。「マーケターが各ツールの役割を理解していれば、マーテックベンダーは一歩引くだろう」と、Schulz氏。

 

最も重視すべきはコンテンツ

「コンテンツは、デジタルインタラクションだけでなく、価値をも生み出す。優れたコンテンツを提供することにより、策略的ではない方法で、データを獲得することが可能となるのだ」とSchulz 氏は語る。

インパクトのあるコンテンツには、リターゲティングとパーソナライズだけでは実現できない、より深いレベルで顧客と共鳴する力がある。マーケターは、顧客が価値を引き出すことができるコンテンツを開発、および共有することにより、信頼と意図的なエンゲージメントに基づいた関係を構築することが可能となるだろう。

 

「結局のところ、企業が売買されたとしても、MQLや顧客データポイントを目的とすることはない。目的は、そこではなく、”ブランドの価値”であるからだ」と、Schulz 氏。「ブログのコンテンツからツイートに至るまでのすべてを設計する際、マーケターは、それがブランド価値の構築に貢献しているかどうか自問しなければならないのである」と語る。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の8/27公開の記事を翻訳・補足したものです。

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