2022年に米国でサービスを開始した中国のeコマースプラットフォームTemuは、消費者からの苦情にもかかわらず依然としてヒットを続けている。
重要なポイント
- Temuの使いやすいインターフェイスと魅力的な商品構成は、年配層の顧客を惹きつけている。
- Temuが採用しているゲーミフィケーション戦略は、ベビーブーム世代(1946年から1964年生まれ)とX世代(1960年代初頭から1970年代半ば生まれ)にとって特に魅力的に映るかもしれない。
2022年9月に米国に進出した中国のeコマースプラットフォームTemuは、デジタルネイティブ世代であるZ世代やミレニアル世代の顧客に限らず、ある程度の持続力を持っているようだ。
Bloomberg(米国の金融・ビジネスの情報プロバイダー)が報じたシカゴの調査会社Attainのデータによると、米国での事業開始初年度は、ベビーブーマーとX世代がTemuの最大の購買層であり、彼らは何度もリピートしているという。
中国を拠点とする多国籍コマース会社PDD Holdings Inc所有のTemuは、Facebookなどのプラットフォームでの積極的なマーケティング戦略や、スーパーボウル(米国最大のスポーツイベントである、アメリカンフットボールリーグNFLの優勝決定戦)でのスポット広告で「億万長者のように買物しよう」と消費者を促すキャンペーンなどが、アプリのダウンロード数を増加させ、中国のオンラインファストファッション企業SheinやTikTok Shopなどの他の中国市場参入企業の中で地位を固めた。そのいずれの企業も販売店ごとに、Amazonに代わる費用対効果の高い選択肢を提供している。
59歳以上のベビーブーマー世代がこのアプリの最も熱心なファンで、年間約6件の注文をしており、これは18~26歳のZ世代の顧客の2倍にあたる。
「Temuには多様な商品ラインアップがあり、多様性と割引を高く評価する成熟した顧客にアピールできる」と、AttainのCEOであるBrian Mandelbaum氏はBloombergに語った。
米国TIME誌によると、Temuは、米国での販売直後から、「荷物の未着、不可解な請求、誤った注文、対応の悪いカスタマーサービス」などでを批判を呼び始めた。
Temuは現在、米国の商事改善協会(BBB)に1,600件を超える苦情を申し立てられ、BBBの顧客評価は3つ星以下である。
ニューヨーク大学の心理学准教授であるEmily Balcetis氏は、Temuのアプリ内の「ゲーミフィケーション要素」、つまりルーレットを回して割引や無料商品を獲得することは、購入に「知覚価値」をもたらす可能性がある、と語っている。
年配の顧客は、そのようなマーケティングツールが彼らの行動にどのように影響を与えるかについて、「若いデジタルネイティブ世代」ほど認識していない可能性があるため、より影響を受けやすいのかもしれない、と同氏は付け加えた。
※当記事は米国メディア「Entrepreneur」の1/24公開の記事を翻訳・補足したものです。