中国のバーゲンショッピングアプリ「Temu」が、米国にて4か月足らずで1,000万以上ダウンロードされている。
インフレで生活用品が高騰している今が、ディスカウントマーケットプレイスを立ち上げる絶好の機会かもしれない。
中国を拠点とするオンラインショッピングプラットフォーム「Temu」が、日用品の割引を求めている米国人の間で人気を集めている。米国の分析会社Sensor Towerのデータによると、9月のサービス開始以来、このアプリは米国で1,080万のインストールを記録している。
日々の生活費が高騰する中、Temuは大手通販サイトAmazonよりも大幅な値下げを行うこともあり、節約志向の高い人々に注目されている。
Kathy Benetti氏(68歳)は、当初アプリをダウンロードした際は、これほど注文するとは思ってもみなかったものの、結局14品目に90ドルを費やしたという。Amazonよりもはるかに安い価格に感銘を受けたと同氏はWSJ (The Wall Street Journal)に話した。
「Temuには何でも揃っているので、これからはここで買物しようと思っている」とBenetti氏。さらには、前回注文した商品が気に入れば、Amazonのプライム会員を解約することも考えているという。
しかし、Temuに欠けているものが一つある。それは、Amazonのビジネスの根幹である「スピード」だ。
同サイトによると、注文から到着まで7~15営業日かかる。これはAmazonの平均3~5営業日(プライム会員の場合は2日もしくは同日配達)に比べてかなり長い。
しかし、一部の購入者は、配達にかかる日数よりも、お得感を重視するようになったようだ。
Yougchun Xin氏(50歳)は、Temuのことを知ったのは、Temuのベストセラー商品のリンクをシェアした友人からだと語った。同サイトでは8.47ドルで販売されているLenovo Group Ltd.のワイアレス・イヤホンは、Amazonでは、型番によって19.99ドルから29.99ドルで販売されている。
「Amazonのほうがデリバリーは早いが、2日で届くかどうかは気にしていない」とXin氏は言う。
Coach風のバックパックが5.39ドル、ステンレス製のフライ返しが1.18ドル、アイシャドウスティックが2.49ドル、ローファーが10ドル。価格は驚くほど安く、初めてサイトをスクロールするときに思わず二度見してしまうほどだ。
Temuは親会社である中国のECプラットフォームPinduoduoのサプライチェーンにアクセスすることで破格の低価格を実現し、その節約分を顧客に還元することができると、広報担当者はWSJに語っている。
しかし、こうした低価格が仇となった企業もある。今月初め、中国の低価格ファストファッションサイトSheinは、2つの工場で労働法に違反していることが発覚し、損害を回復するために1,500万ドルを投じることになった。
今のところ、Temuが労働者の犠牲の上に低価格を実現している兆候はない。したがって、この格安マーケットプレイスがあまりにも優良であるかどうかは、時間が経ってみなければわからない。
※当記事は米国メディア「Entrepreneur」の12/27公開の記事を翻訳・補足したものです。