世界のオンラインキャンペーンの時期・流通総額まとめ - W11、ブラックフライデー、サイバーマンデーなど

 

ここ数年、大手ショッピングモールを中心に開催される大規模なショッピングキャンペーンが大きな成果を挙げるようになってきている。特に11月と12月は世界各国のオンラインで非常に大きなキャンペーンが立て続けに行われている、まさにオンラインの「お祭り」シーズンとなっている。そこで今回は、2017年の日本、海外におけるオンラインのビッグキャンペーンの時期と流通総額をまとめて見ていきたい。

 

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日本

 

日本では、中国の11月11日のビッグセール(W11・独身の日)と同時期の11/5~11/11にYahoo!ショッピングが「良い買い物の日」と銘打ってキャンペーンを実施。楽天市場は11/24~27に米国の同名キャンペーンに倣い「ブラックフライデー」キャンペーンを実施。さらにその翌週に年に4回実施しているスーパーセールを開催。Amazonは12/8~12/11に米国の同名キャンペーンに倣い「サイバーマンデー」キャンペーンを実施した。

Yahoo!ショッピングの良い買い物の日は、2015年から開催されて今年で3年目であるが、大々的な宣伝もあり比較的ユーザーに根付いてきたようだ。楽天市場のブラックフライデーはほぼその開催を知られることもないが、その翌週のスーパーセールは1年間で最大の売上をあげる企画。2012年から始まったこのキャンペーンは、ここのところ年に4回開催が続き消費者も少し食傷気味なところは否めないが、12月のスーパーセールは今年もお歳暮のタイミングと重なり順調に売上を伸ばしていったようだ。一方、Amazonも少し遅れてサイバーマンデーキャンペーンを実施。米国のサイバーマンデーは11/27であるがそこから約2週間遅れでの開催となっていた。国内のこれらのキャンペーンの流通総額はいずれも非公開となっている。いずれにせよ海外のビッグキャンペーンに比べるとそれほど売上の集中度は高くはないだろう。

 

 

中国

 

2009年から始まり今年で9年目を迎えた、中国アリババグループのTmall(天猫)で開催されている独身の日(W11)のオンラインのキャンペーン。今年も、Tmallだけでなく、JD.comVIPKaolaなど主要なショッピングモールでは全て開催されており、国民的行事に近い扱いをうけるほどの影響力を持つようになってきている。JD.comだけは11/1からキャンペーンを開催し実質11日間のキャンペーン期間となるが、その他のモールは全て11/11の1日だけでキャンペーンを行う。

流通総額も今年は過去最高だった昨年を大きく上回り、Tmallが1,683億元(2.86兆円)、JD.comが1,271億元(2.16兆円)と他のモールを圧倒。特にJD.comは昨年が401.9億元だったため、この1年で3倍以上も売上高を伸ばす結果となった。また中国第三のモールVIPは800万元(1.36億円)となっている。

 

<参考>

【中国】2017年W11(独身の日)流通総額、Tmall過去最高2.87兆円、JDも昨年比3倍以上の2.17兆円に

 

 

東南アジア

 

東南アジア最大のショッピングモールLazadaでは、大株主のアリババグループの影響で今年は11/11にW11キャンペーンを開催。ブラックフライデー・サイバーマンデーなどの慣例もないため、中国のキャンペーンが完全に移植された形になっている。

Lazadaの本国マレーシアでは11/11の流通総額は24万ドル(0.27億円)、東南アジア全体のLazadaで見ると123万ドル(1.37億円)となっており、まだまだその流通規模はそれほど大きくはないようだ。(データ出典:lowyat.net

 

 

インド

 

インドでは、ヒンドゥー教のイスラム暦の元旦にあたる9/21(年によって異なる)の前後に行われる「Festive Season Sale」が一年間で最大のイベント。インド最大のショッピングモールflipkartは9/20~9/24、第二のモールであるSnapdealは9/20~9/23、Amazonは9/21~9/24とこの近辺の4~5日間にキャンペーン期間は密集している。

当該キャンペーン期間の9/20~9/24の流通総額は、flipkartが8.7億ドル(965.7億円)、Snapdealが不明、Amazonが3.9億ドル(432.9億円)となっており、オンライン全体では15億ドル(1,665億円)を上回る規模だとされている。(データ出典:yourstory

さらに、12/7~12/9にflipkartはbig shopping dayというキャンペーンを開催しているが、その流通規模は不明だ。

 

 

アメリカ

 

アメリカでは、感謝祭(サンクスギビングデー)後のキャンペーンがかなり以前から行われている。一説では1924年から百貨店メイシーズにて行われたパレードがそのはじまりとも。もともとは、秋の収穫を祝うもので11月の第4木曜日のサンクスギビングデーの翌日がブラックフライデー(2017年は11/24)、その翌週の月曜日がサイバーマンデー(2017年は11/27)となっている。全体を通してサンクスギビングウィーク(2017年は11/21~11/27)としてオンラインでは大規模な年末に向けたキャンペーンが開催されている。

流通総額で見るとその中でもサイバーマンデーが65.9億ドル(7315億円)で最大規模。次いでブラックフライデーが50.3億ドル(5583億円)、サンクスギビングデーが28.7億ドル(3186億円)となっており、サンクスギビングウィーク全体では151億ドル(1.68兆円)となっている。また、モール別に見るとサンクスギビングウィーク全体ではAmazonが42.9億ドル(4762億円)、Best Buyが19.6億ドル(2176億円)、Walmartが5.44億ドル(604億円)、Targetが6.96億ドル(773億円)などとなっている。(データ出典:Adobeforbes

 

 

欧州

 

欧州でもAmazonの影響力が大きいため、アメリカと同じく、ブラックフライデー、サイバーマンデーのオンラインキャンペーンが一番の認知度を誇っている。また、AmazonだけでなくZalandoなどの大手ショッピングモールでも同時期に同名のキャンペーンを開催している。

流通総額で見ると11/23~11/27のサンクスギビングウィーク全体ではAmazonイギリスが2.55億ユーロ(339億円)、Amazonドイツが3.65億ユーロ(485億円)、Amazonフランスが1.1億ユーロ(146億円)などとなっている。(データ出典:One Click Retail

 

 

世界の年末のオンラインビッグキャンペーンの時期・流通総額まとめ

 

ここで紹介した、世界各国のオンラインのビッグキャンペーンを開催時期順に、その流通総額と共に並べてみた。(※高解像度データはページ上部よりダウンロードできます)

世界のオンラインキャンペーンの時期・流通総額まとめ - W11、ブラックフライデー、サイバーマンデーなど

 

日本で行われているキャンペーンの流通総額は非公開となっているが、eccLab編集部にて年間の流通総額とキャンペーンの反響などから推測し図示した。こうして見ると、中国のW11・独身の日のキャンペーンの流通総額の大きさに改めて圧倒される。アメリカのサンクスギビングウィークの市場全体の流通総額もかなりの規模となっているが、国全体の流通総額が、TmallやJD.comと言った単体のショッピングモールに大きく負けている。

東南アジア・インドではまだそれほどオンラインの流通総額自体が伸びていないこともあり、中国やアメリカに比べると規模は非常に小さいが今後の伸びしろは非常に大きくなっていくことが予測されている。

日本では、中国のW11・独身の日、アメリカのブラックフライデー・サイバーマンデー、インドのFestive Seasonなどそれぞれの国でかなり根付いているオンラインイベントがないことも流通総額が伸び悩んでいる原因にもなっているだろう。来年以降も各国のショッピングキャンペーンは今年の流通測額を更に上回ることが予測されているが、どこの国でどこまでこの値が伸びていくのだろうか、注目して見ていきたい。