国内EC市場シェア、Amazonが楽天を0.1ポイント上回る - ジェトロによる主要各国のEC市場シェア・将来性調査 | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
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トレンド
2017/08/23

国内EC市場シェア、Amazonが楽天を0.1ポイント上回る - ジェトロによる主要各国のEC市場シェア・将来性調査

日本貿易振興機構(以下、ジェトロ)は、2017年7月31日に世界貿易投資報告2017を公開。世界の貿易・経済・直接投資状況の他、ECが急速な拡大期を迎え、国際取引の流れに革命的ともいうべき変化をもたらしているとして、ECの将来や課題についてまとめたものだ。

日本企業の約半数はECに関心を持っており、ECには比較的低コストで顧客への販売ができるというメリットがある。国によっては経済・開発政策の一環としてECが位置づけられており、その成長には、EC環境の成熟度が大きく影響を及ぼしている。一方で市場の拡大に伴いECにおける国際ルールの未成熟さなど課題が浮き彫りになっている。

 

日本企業の約半数がECに強い関心を持っている

ジェトロが行った、2016年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査では、全回答企業2,995社のうち46.9%に企業がECの利用経験あるいは、関心を持っているという結果が出ている。また、EC利用企業731社のうち、47.2%の企業はECを利用して海外への販売を行っていた。その中でも中国(49.6%)、次いで米国(36.2%)、台湾(26.4%)など、先進国あるいは比較的所得の高い途上国が販売先の上位を占めた。一方で、「販売拡大を図る」「新規販売を検討している」企業の販売先では、引き続き上位は中国や米国 などが占めるものの、いずれのランキングでも10番目までにASEAN5カ国が挙げられた。

企業がECに着手するの最大の利点としては、低コストで幅広い層への販売が容易にできることが挙げられた。インターネット上に商品・サービスの情報があり、受発注の環境さえ整えば、ECは成立する。海外の顧客に対する販売においても、従来必要であった、現地へ販売員を送ったり、販売拠点の設立や代理店との提携といった過程がなくとも販売が可能となり、新規市場開拓のコストは大幅に下がった。

また、市場調査や広告などが効率的かつ低コストで行えるようになったことも利点として挙げられ、ECでの購入履歴やウェブサイト閲覧履歴に基づいた消費者の行動パターンを分析することで効率的な広告が可能となる。

 

EC環境の成熟度で変化するEC市場のシェア状況

ECサイトへの集客には、そのウェブサイトや企業の認知度が重要であるが、インターネット上の販売に加え、円滑な決済、配達の迅速さや正確性なども求められる。一方で、新たな決済手段や新規物流拠点の設立などは、多額の初期投資を必要とする。こうしたECの特徴により、ECサイト運営においては、数社の大企業が台頭する傾向がある。

また、各国のEC環境の成熟度によってEC市場における企業のシェア状況に違いがみられる。このデータは欧州の調査機関のデータをもとにしており、日本の市場シェアではAmazonが楽天を0.1ポイント差で抑えて首位に立っているという結果となっている。

EC環境が整っている先進国では、上位の企業とその他の企業のEC市場におけるシェア率の差は大きいものの、上位6位以下がシェアする割合は比較的大きい傾向がある。クレジットカードを保有する人口が多く、既存の物流の質が高ければ、大手以外のECサイトや自社サイトでの販売が比較的容易であり、シェア率が上位以外の企業の市場シェアが大きくなるのだ。

一方で、決済や物流網が十分に発達していない国でのEC販売促進には、クレジットカードの代替となる決済システムの開発や自社による物流網の発達が必要だ。課題に対応できた企業が上位の市場シェアを占めることができ、そうした企業がない場合は、相対的に下位企業のシェアが大きくなるというように傾向にばらつきがみられる。

また、途上国ではECにおけるインフラ整備で市場が拡大することが予想される。ANCTADが公開している各国のEC環境に基づいたEC指標では、インターネットの利用率やクレジットカードの保有率において、先進国が途上国を上回っているが、EC市場規模では伸び率やその予測といった点で途上国でも先進国を上回っている国が多くある。

中国が2015年に発表した第13次5ヶ年規画では、デジタル経済の基盤として、高速通信網やモバイルネットワークなどインフラの拡充が盛り込まれており、マレーシアやフィリピンでも政府計画によりEC発展のための政策が組まれている。このことから今後、インフラ整備による途上国のEC市場拡大が期待される。

 

越境ECでネックとなる規制や規定

レポートでは、データそのものや、データを保存するサーバーを国内に置かなければならないと定めるデータローカリゼーションや外資規制といった各国がそれぞれ定めている規制や規定がビジネス活動の妨げになるとも指摘。

特にデータ移転に関連する規制は、2000年代後半以降、インターネットユーザー増加に伴って強化傾向にあるが、国による要求や規制は、本国にいながら海外への販路を拡大できるというECの利点を損ないかねないものとなっている。EUでは、2018年5月からEU一般データ保護規制が制定され、個人情報に関するデータを域外に持ち出すことが原則禁じられる。世界各国の取り決めがEC拡大の妨げにならないよう国際ルールの確立が不可欠だが、EC市場の急速な成長に追い付いていないのが現状だ。このような中、WTOは主に、電子コンテンツの分類、電子的送信に関する関税の不賦課、関税収入の減少に対する途上国の懸念の3つの問題を論点に挙げて議論している他、2016年7月には電子商取引特別会合でECルール制定に向けた議論が始まった。越境ECにおける円滑な運営の為にも国際協調は欠かせないものといえる。

 

世界のEC市場は全体的に拡大傾向にあり、日本においても企業のEC参入が活発化する兆候が見られている。特に大手企業の市場シェアがあ比較的小さい日本では中小企業によるEC利用検討比率が高い。今後は海外販売が拡大することが見込まれ、ECの国際ルール制定に関する動向も見逃せない。