より多くのオーディエンスにリーチすることから、オーディエンスが最も重要視していることに焦点を当てることまで、AIのパーソナリティプロファイリングのメリットを紹介しよう。


私たちは毎日、出会った人たちに対する印象を形成している。私たちは人との関わりから、その人の信頼性や信用性、親しみやすさを見極める。

ビジネスにおいては、私たちのプロモーションしているものをどうサポートしてくれるのか、あるいはサポートしてくれないのかを基準に、相手を判断するものである。彼らはアドボケイトやインフルエンサーになってくれるだろうか?彼らは懐疑的だろうか、脅威を感じているだろうか。

これは組織や業界にも当てはまる。私たちは、組織を「データ主導型」あるいは「リサーチベース型」と表現し、業界を「最先端」あるいは「時代遅れ」と表現することで、自分たちの位置づけを理解し、メッセージングを改善するのに役立てている。

AIパーソナリティプロファイリングツールを使えば、オーディエンスやセグメント、業界について、関わる前からより深く知ることができる。B2Bマーケティングは、通常顧客から手の届かないところにあるが、今では、長年の顧客関係を持つアカウントマネージャーと同じように顧客を知ることができるのである。これがB2Bマーケティング組織にとって何を意味するかを、以下で説明しよう。

 

AIパーソナリティプロファイリングツールとは?

顧客や潜在顧客と関わる場合、嗜好や行動を理解することが鍵となる。これは従来、調査やフォーカスグループ(定性調査)、その他の直接的なコミュニケーションを通じて行われてきた。

しかし、AIパーソナリティプロファイリングツールは、ターゲット顧客を洞察するためのより効率的な新しい方法を提供してくれる。AIプロファイリングツールは、様々なデータ(ソーシャルメディア上のアクティビティ、オンライン検索、さらには会話のパターンなど)を分析し、その人のパーソナリティタイプを示すパターンや特徴を特定するためにアルゴリズムを使用する。この情報により、よりパーソナライズされた効果的なマーケティングキャンペーンを行うことができる。

AIパーソナリティプロファイリングの最大のメリットの1つは、一人ひとりに合わせたメッセージを発信しながら、より多くのオーディエンスにリーチできることだ。これまで、さまざまなペルソナやバイヤージャーニーを開発するには時間がかかり、多くの推測が必要だった。AIツールは、オーディエンス内の共通点を素早く簡単に特定し、ターゲットを絞ったコンテンツを開発することができる。

もう一つのメリットは、組織の企業文化に関する隠れた洞察を明らかにできることである。リーダーシップチームの性格や行動を分析することで、その価値観や優先事項をより深く理解することができる。これは、企業文化に合わせてメッセージを調整し、意思決定者の共感を得やすい方法でソリューションを提示するのに役立つ。

AIパーソナリティプロファイリングがマーケティング戦略をいかに変革するか

私たちは最近、米国のFortune誌が発行する、全米上位500社の総収入ランキングリスト「Fortune 500」に挙げられている企業のCスイート(経営幹部)の人物像について、プロファイリングを行った。役員室が多様化したことで、人生経験や視点が異なる多様な人材が集まるようになったが、ある分野では多様化が進んでいない。

「類は友を呼ぶ」と表現するのが最も適切かもしれないが、個人の性格タイプは、しばしばその職業や働く業界を左右する。私たちがプロファイリングしたシニアエグゼクティブのうち、22人中21人が同じ性格タイプだった。

これはパーソナリティタイプが集中している極端な例である。通常、エグゼクティブチームの60~70%に、支配的なパーソナリティタイプは1つしか見られない。また、Fortune 500のCEOの58%にも、支配的な性格タイプが見られる。

母集団が一様であることは、マーケターの理想である。つまり、メッセージングやコンテンツのアプローチが「万能である」ということだ。もう一つのメリットは、企業文化を知ることができることだ。私たちがプロファイリングした会社は建設業界で、支配的な性格タイプは「プロジェクトマネージャー」に似ている。

このパーソナリティタイプが優勢であることを考えると、企業文化は「やり遂げる」環境だと考えていいだろう。この知恵の塊はセールスにうってつけだ。このタイプの環境は、「余計なことをすると逆に問題を起こしてしまう」というシグナルを発している。

「あると便利なもの」を売ろうとするのは事実上不可能だが、「あるべきもの」を売るのは簡単なはずだ。切実なニーズを見つけたり、新しいソリューションによって得られるメリットを実証したりできるのであれば、なおさらだ。

 

オーディエンスの価値観を見極めるチャンス

オーディエンスの「ペイン(悩み)」を見つけ、ビジネスケースの論拠を構築することで、彼らの注目を集めることができる。相手の個性を理解する最大のメリットは、相手の行動や動機を知ることだ。

たとえば、プロジェクトマネージャーのマインドは、達成感、出世、承認に突き動かされている。彼らは黙々と仕事に集中するため、注意を引くためには彼らに割り込まなければならない。

そのためには、彼らの個人的なコンテンツの好み(業界特有のケーススタディ)やユースケース、ビジネスケースに合わせる必要がある。彼らはまた、リファレンス、特に同じ役割や業界の同業者を好む。

これらはすべて、見込み客と一度も会話することなく、把握し、作成し、実行することができるのだ。

AIプロファイリングツールは使いやすく、オーディエンスに関する新たな洞察を簡単に得ることができる。新しいペルソナやバイヤージャーニー、そして最も重要なことだが、より良いコンテンツを作成するための扉を開くことができるということである。

そして、マーケティング担当者以上に、均質な集団と彼らに関する洞察が大好きなのは何かご存知だろうか?それは、「機械」だ。これらの情報はすべて、AIコンテンツジェネレーターに送り込むことができる。

類は友を呼ぶように、AIツールを使えば、自分がどんな種類の鳥を狩っているのか、そしてどうやってその鳥を空からノックアウトするのかを正確に知ることができるのである。

 

AIパーソナリティプロファイリングだけでは不十分

AIパーソナリティプロファイリングには限界がある。性格のタイプは流動的であり、変化する可能性があることを認識することが極めて重要だ。さらに、データに基づく洞察だけに頼ることは、共感や人間の経験の包括的な理解を妨げる可能性がある。

オーディエンスの貴重な洞察を得て、マーケティングキャンペーンを強化したいのであれば、AIパーソナリティプロファイリングを活用するとよいだろう。しかし、全体的なアプローチとしては、他のリサーチやコミュニケーション手法で補完するようにしよう。


※当記事は米国メディア「Martech」の9/21公開の記事を翻訳・補足したものです。