先日の朝、嫌な気分で目が覚めた。コーヒーが足りなかったことと、すぐには暖かくならない気候や、休暇が遠い先に感じられたこととが重なり、最悪な精神状態だった。

そして、受信箱を見ると、再びイライラしてしまった。メールについて不快に思うあらゆることを目の当たりにしたからだ。そして、それがこの戯言の始まりとなった。

「Ryan、あなたはメールの最大の推進者だ。23年以上もメールに携わり、あらゆるものを目にしてきたはずだ。メールが嫌なはずはないだろう」という声が聞こえてきそうだ。

メールが嫌だということは全くない。だが、多くのマーケターによるメールの使い方が嫌なのだ。ここでは、メールマーケターがやめるべきことトップ5と、その代わりにすべきことをご紹介しよう。

ぜひ注意して聞いてほしい。

 

1.”no-reply”メールアドレス

私の頭が爆発するのを見たいだろうか(もちろん、そうだろう)。それなら、「送信元」の行が「no-reply@XYZ.com」となっているメールを送信することだ。

なんということだろう。「no-reply(返信不可)」、またそれと同じように不快な「do-not-reply(返信不可)」は、まさに「あなたがどう思おうと気にしない」と、わめき立てるのだ。

 

確かに、メールに返信するのではなく、返信フォームを使ってもらいたいのだろう。メールキャンペーンに対する何千通もの自動返信メールをくまなく調べ、その中から個人的なコメントを見つけ出すことはできない。しかし、それでも「no-reply」を使ってもいいとは言えない。返信する人を止めることはできないのだ。

 

解決策:メールサービスプロバイダー(ESP)やメール転送エージェント(MTA)の送信アドレスを「no-reply」よりも親しみのあるものに変更しよう。ブランド名、メールソフト名、マスコットの名前など、「no-reply」以外のものを使おう。

 

これは、メールに付加価値を与え、エンゲージメントを高める最も簡単なことだろう。インタラクティブメールや受信トレイ認証を採用する必要はない。送信者名を変更するだけで、受信箱での表示をより親しみのある表示にすることができる。「value@XYZ.com」のようなブランドメッセージを追加する手軽なチャンスでもある。

 

MarTechの記事「マーケティングメールは『no-reply』メールアドレスを使うべきか」を読めば、なぜ「no-reply」が悪であるかが分かる。

 

2.ブラウザ放棄メール

有用性を失ったメールの話。このことを考え始めると、また腹が立ってしまうだろうが、今はかなり気分がいい。だから、代わりにこの記事で私の熱弁を読んでほしい。

ビジネス上のストレスはスパムの言い訳にはならない

 

初期のウェブブラウジングの時代には、ブラウジングするということは強いインテントシグナルであった。テレビを見ながらスマホやタブレットからブラウジングすることはできなかった。パソコンの前に座る。それは、デスクトップパソコンでブラウジングの予約をしているようなものだった。

 

今はブラウジングがより身近なものとなった。バスの中で立ったまま、あるいはビーチでタオルの上に寝転がって、小さな日傘を手に、甘いフルーティーなドリンクを飲みながらブラウジングすることができる。しかし、ブランドはいまだに放棄された閲覧セッションを、あと1、2回のクリックでコンバージョンという放棄されたカートと同じように扱っている。

 

今日、我々はインテントシグナルを認識し、奨励し、育成し、それに応え、それに基づいてメッセージを作成する必要がある。ただし、必ずしもブラウザ放棄メールでなくともよい。

適例:あるホームシェアサイトを使って、誕生日休暇のために宿泊先を予約した。詳細を確認したり、ゲストたちに送信したりするためにリンクを保存した。

 

さて、そのリンクに戻るたびに、ウェブサイトは私を新しい訪問者のように扱い、前回中断したところに戻って検索を再開するように促すメールが受信トレイを埋め尽くす。

 

このデータの切断は、これらの閲覧メールが私の購入と切り離されていることを意味する。私の予約が実際に完了しているのかどうかも気になってしまう。宿泊先の玄関に着いて、デッキに誰かの他の人の靴があるのを目にするということは避けたい。

 

ブラウザ放棄メールを送っているとしたら、今すぐ捨てることだ。

 

そうだ、閲覧放棄メールはやめよう。しかし、そのメールがどれだけの収益をもたらすかを考えてみてほしい。顧客がメールを開封し、クリックする頻度はどのくらいだろうか。そのメールが副収入を生み出すのであれば、訪問者が気にも留めないことを思い出させるだけではない、もっと価値のあるメールにすることはできないだろうか。

 

主たる疑問は、「ブラウジングはどのようにインテントを示すか」ということだ。ほとんどの買い物客にとっては、ブラウジングはインテントを示すものではない。

 

3.メールの配信停止

ブラウザ放棄メールと配信停止確認メールには共通点がある。それは、戻って来てほしいとせがみ続ける、しつこい“元カレ”や“元カノ”のようなものだ。

 

配信停止は、別れたいと伝えているのだ。メールの数を減らしてほしいとか、別のメールを受け取りたいとは思っていない。どんなメールもいらないのだ。それなのに、メールを受信したくないことを確認するためのメールを送るのだろうか。なんて愚かなのだろうか。

 

配信停止の確認は、リストからオプトアウトするためにメールを送信する必要があった初期の時代には意味があった。今では、ウェブサイト上で1、2回クリックするだけで配信の停止が可能だ。配信停止を確認することによってマーケティングをする機会をこっそり増やしているのだから、本当に不愉快である。

 

解決策:配信停止を求められたら、メールの送信を停止すること。直ちに、だ。たとえ米国のスパム規制法(CAN-SPAM法/Controlling the Assault of Non-Solicited Pornography and Marketing Act of 2003)が配信停止に対応するために10日間の猶予を与えていたとしてもである。昔は、あなたの代わりにメールを送信した人に配信停止のリクエストを伝えるのに、この10日間の猶予が必要だったのだ。

 

今日では、システムをアップグレードして、配信停止がすぐに、どこでも処理されるようにするべきだ。もしアップグレードされているのであれば(ESPが作業を行っているので、ほとんどの場合はアップグレードされている)、配信を停止するまでだ。

 

4. 見当違いのものを送信する

親愛なるブランドへ。私がフルートを演奏することを知っているならば、ギターの弦についてのメールを送って来ないでほしい。もし私がビーガン商品を買っているなら、ポークチョップについてのメールを送信しないでほしい。私が明らかに北東部に住んでいるのなら、フロリダにあるマイナーリーグ球団の試合のチケットを売ろうとしないでほしい。

絶対にクリックしないものもあるので、私はこうした商品に対する見込み客としては有望ではないのだ。クリック数と購入数で、私がどんな人なのかを判断してほしい。

商品ラインアップの相互作用や、顧客が発見できないものを紹介する意義は理解している。それは素晴らしいことだが、それらは、私が興味を持っていると分かっているものより下位に掲載してほしい。

 

解決策:私の商品の好みが分からないなら、プログレッシブプロファイリングで私に尋ねてほしい。私の興味に合わせてメールをカスタマイズするために、この情報が必要だと伝えること。そして、私の希望に沿うようにすること。見当違いのものを送ってこないでほしいのだ!

 

5. アクイジションフォームをウェブサイトの最下部に配置する

もし、受信者がメールに登録する方法を探さなければならないとしたら、それは送信者がメールプログラムをあまり価値があると思っていないということの表れである。送信者が評価しないのなら、受信者が評価する必要もないだろう。

オプトインフォームは、ウェブサイトのあらゆるページの上部に置かれる必要がある。そう、これはウェブチームやソーシャルチーム、そしてこの貴重な場所に目立つテントを張ろうとする他の誰かと戦わなければならない政治的な戦いなのだ。

しかし、メールマーケターは、少しばかり営業のDNAを持ったマーケターなのだ。メールのオプトインフォームが上部にちょっとしたスペースを持てるよう、メールプログラムのマーケティングを行おう。

 

解決策:メールプログラムが、ブランドや組織にどれだけの価値をもたらしたかを数字で示すことで、この戦いに挑み続けよう。

 

Email Optimization Shop(戦略的テストによるメールマーケティングのパフォーマンス最適化に特化した米国のコンサルティング企業)のJeanne Jennings氏による最近の調査によると、オプトインフォームを他のリンクなどがあるフッターではなく、ページの上部のように、簡単に見つけることができると、獲得率が大幅に上昇するという。この結果は、我々が過去に見てきたものと同じである。

 

デザイナーは、オプトインフォームがソーシャルアイコンと同じ場所にある必要があると言うかもしれない。だが、その必要はない。

 

メールは、顧客と1対1でつながるプロアクティブなチャネルだ。メールは、どのマーケティングチャネルよりもROIが高い。たとえ上手に使いこなせていないとしても、メールはブランドに収益をもたらす。メールのオプトインフォーム訪問者があなたのサイトを訪れたとき、最初に目にするページの一番上部に位置するものなのだ。

 

まとめ

これですっきりした。

私のリストに目を通したとき、ここで述べたようなことのいくつかをやっていたとしても、悪い仕事をしているとはいえないことをはっきりさせておきたい。ブラウザ放棄メールを送信するもっともな理由があるのかもしれない。あるいは、ウェブスペースをめぐる争いではなく、他の獲得ソースにエネルギーを投入することを決めたのだろう。

それはすべて理解している。私もそうした戦いをしてきた。だが、もし私の戯言の中に、あなたが変えたいと思うものが並んでいるのであれば、それを材料に、変革のためのムーブメントを起こしてほしい。

このコラムを上司に送ろう。LinkedInのプロフィールに掲載しよう(アイコンは左側、Twitterマークの真上にある)。イントラネットや会社のSlackチャンネルに投稿しよう。

私がここで愚痴や不平を言っていると思うかもしれない。ただ、あなたの顧客は、私と同じく冒頭で述べたような気持ちで受信箱にアクセスしていることを考慮してほしい。それが、受信者がメールをどう受け止めるかを決めるのだ。

 

あなたのリストも教えてほしい。Twitterで私に送ってほしい。メールについて我々を悩ませていること、そしてメールマーケティングをより価値ある効果的なものにするために、その悩みを解決する方法について話をしたいのだ。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の3/25公開の記事を翻訳・補足したものです。