ブランドは、メールマーケティングを実行することによって、サードパーティデータから脱却することができる。

 

現実として、サードパーティCookieが廃止されることは、全てのデジタルマーケターが知っていることである。消費者プライバシー法が変更され、大手ブランドが適応を迫られているが、その多くが頭を悩ませたり、どのような戦略で今の状況を進展させるべきかと考えを巡らせたりしている。

 

「多くのブランドや代理店は、GoogleによるChromeブラウザのサードパーティCookieサポートの廃止についての発表の影響を懸念している」と、マーケティング代理店emfluenceのデジタル戦略ディレクターであるCory LaGrange氏はMarTech カンファレンスで述べている。「Googleによるこの発表は、さまざまな理由から大きな意味をもつ可能性がある」。

 

さらに、LaGrange氏は、「マーケティングおよび広告コミュニケーション全体の自社プログラムの基盤が健全でない場合、毎年プラットフォームとテクノロジーに翻弄されることになる」とも語った。

 

サードパーティCookieに依存しているマーケターは、この新しいプライバシーの時代に適応するのに苦労するだろう。また、ブランドのファーストパーティ戦略への移行に時間がかかればかかるほど、Googleなどの企業がデータをより強力にコントロールできるようになる。

 

幸いなことに、多くのマーケターは代替案を用意している。それは、実用的なファーストパーティデータの収集に役立つキャンペーン媒体であるeメールだ。

 

サードパーティデータをメールマーケティングに置き換える

「デジタルマーケターとして、我々は長い間『サードパーティCookie』に頼ってきた」と、LaGrange氏。「我々は、ターゲティング、プロスペクティング、およびリード生成における非常に多くの面倒な作業をサードパーティCookieに任せてきた」。

 

マーケティング業界におけるサードパーティデータへの過度の依存は驚くべきものだ。LaGrange氏は、Epsilon(米国のマーティングサービス提供企業) と Phronesis Partners(英国の市場調査企業)の調査を引用し、デジタル広告主の79%がサードパーティCookieに非常に依存している、あるいはどちらかといえば依存していると指摘した。

 

「これは、サードパーティCookieやデータへの依存をやめなければならないことを示している」とLaGrange氏は述べている。「サードパーティCookieやデータは、我々がコントロールすることができない。そのため、ユーザーに対し、現在準拠している方法で我々との対話をお願いするようなことになってしまうのだ」。

 

メールマーケティングは、サードパーティCookieに依存せずに消費者情報をダイレクトに収集することで、これらの問題に対処することができる。

 

「このウェブサイトに1つのメールアドレスがあり、別のウェブサイトにも1つのメールアドレスがあるとしよう」とLaGrange氏。「これらのウェブサイトでのエクスペリエンスが連携していれば、それらのインタラクションポイントのいくつかを結び付けることで、消費者が何をしているのかを実際に知ることができる。これは、以前はサードパーティCookieを使用しなければ把握できなかった」。

 

顧客が好む方法で連絡する

SmarterHQ(クロスチャンネルのパーソナライズソフトウェア企業)とSmartInsights(マーケティング・広告企業)のデータによると、概して、消費者はメールを介してマーケターとやり取りすることを好むという。2番目に好まれるコミュニケーション手段は、ソーシャルメディアだ。しかし、マーケターは多くの場合、ソーシャルメディアに過度に重点を置き、メールを軽視してしまっている。

 

米国消費者がブランドからの連絡を受ける際に好む方法

画像: Smart Insights、 SmarterHQ, および emfluence

 

「消費者が、ブランドがメールの優先度を下げ、ソーシャルメディアに重点を置いていることを知ったら、ショックを受けることだろう。ソーシャルメディアを活用するのは即効性があるからだ」とLaGrange氏。「ブランドは、ファネルにおいて、迅速なリード(見込み客)獲得を望んでいる」。

 

確かに、メールによるリード獲得における黒字化は、ソーシャルメディアよりも時間がかかるかもしれない。しかし、消費者が望む方法でマーケティングを行うことで、消費者を熱心なサブスクライバーに変えられる可能性が高まる。また、メールによるファーストパーティデータ収集を優先することで、マーケターは、実用的な消費者インサイトを得ることができる。

 

効果的なファーストパーティデータセグメントを作成する

マーケターは、メール戦略に移行することで、収集したファーストパーティデータをアクションに基づいたセグメントに分けることができる。このセグメントには、フォームの入力、コールクリック、またはその他の独自のアクティビティが含まれる。

 

「購読者のアクティビティや、eコマースプラットフォームにおける顧客のアクティビティなどが該当する」とLaGrange氏は述べている。「これらはファーストパーティのデータポイントであり、キャンペーンやジャーニーを構築をスタートする際に必要となるものだ」。

 

このファーストパーティデータをメールで収集する場合に、サードパーティの収集戦略でしばしばみられるような困難な作業ではない。実際、メールキャンペーンは顧客の声を聞くのに最適な方法なのだ。

 

「実際、人々は双方向の会話を望んでいる」とLaGrange氏。「顧客は、自分の好みや嗜好、考え方をブランドに伝えたいと思っているのだ」。

 

そして同氏は次のように付け加えた。「しかし顧客は、結果として精巧な体験が提供されることを強く望んでいる。彼らは、自分が提供した情報が、双方にとって有益な方法で活用されていることを確認したいのだ」。

 

顧客が望む魅力的なメールを作成する

「これらのメールセグメントを精査した後に、いよいよ顧客が望むメールを作成し送信することができる」とLaGrange氏は述べる。「顧客との関係を構築し、彼らが本当に見たいものを提供するメールを作成すべきである」。

 

顧客のファーストパーティデータに基づき、メールをパーソナライズすることで、エンゲージメントが向上する可能性がある。マーケターは、顧客が提供に同意したデータによって、より高いレベルの信頼を構築する多くの機会を得ることができる。

 

「これらはすべて、メールプログラムを構築する際に考慮すべき様々なメールプログラムを実行すべき理由である」とLaGrange氏。「しかし、それは時間をかけてリストを作成し、顧客が我々を信頼し提供してくれた情報に基づいたセグメント化を行った場合にのみ、実現し得るものなのだ」。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の11/16公開の記事を翻訳・補足したものです。