あらゆるオンラインマーケティング戦略において、動画ストーリーテリング(テロップ等を使わずに映像と音のみでストーリーを伝えるための手法)は必要不可欠な一部をなすべきである。ブランドは、今回紹介する3つの基本に従うことで、動画キャンペーンの強固な基礎を築くことが可能となる。

 

デジタル化が進む世界で、動画は、ビジュアル・ストーリーテリング(SNSや動画サイトなど視覚的にストーリーを伝える技術)のニューノーマルになりつつある。動画が、ブランドとオーディエンスのコミュニケーションツールとして非常に視覚的・効果的なメディアであることを考慮すれば、それは当然のことといえる。

 

動画は、音と動きを使用することで静止画よりもはるかに説得力のあるメッセージを作り上げることができるため、ブランドのオンラインマーケティング戦略にとって不可欠のものとなっている。Databox(ビジネス分析プラットフォーム)によると、マーケティング担当者のおよそ60%が、画像よりも動画広告の方がより高いエンゲージメントを獲得する傾向があると回答しているという。

 

顧客の心に響くオンライン体験を作り上げるため、すべてのビジネスは、前回の記事で取り上げた3Dや360度動画など、対面体験によく似たエクスペリエンスを生み出す新たな動画技術を検討する必要がある。そうした没入型ツールは、デジタル体験の限界を押し広げ、強力な顧客エンゲージメントを構築する。

 

しかし、これらのツールを効果的に使うための鍵は、まず基本に立ち返り、ブランドの動画ビジュアル・ストーリーテリングを改善するための基本的な戦略をすべて理解することだ。それが、適切なオーディエンスにリーチし、高いROI(費用対効果)を生み出すことにつながるのである。

 

オーディエンスをセグメント化し、パーソナライズされた関係を構築

優れた動画コンテンツを作成したとしても、ターゲットではないオーディエンスがそれを視聴していた場合、そのコンテンツは無駄なものになってしまう。何事にもいえることだが、適切な消費者をターゲティングした上でのパーソナライズされたコミュニケーションが最も大きな成果につながる。総合コンサルティング企業Accentureの調査によると、83%の消費者が、よりパーソナライズされた体験構築のためには個人データを共有しても構わないと回答したという。消費者が自分のお気に入りのブランドに、自分の好みを真に理解してもらうことを望んでいることは明白である。

 

one-to-one(顧客一人ひとりに合わせた)動画パーソナライゼーションは、必ずしも可能ではないため、マーケティング担当者は、顧客データを年齢、性別、場所、行動などの特定のカテゴリーにセグメントする1対小グループのアウトリーチを作成する。ニューヨークのある地域にレストランが新しくオープンした場合には、その地域に住む消費者をターゲットにする。新たなアウトドアウェアラインをスタートした小売業者は、以前ハイキング用品を購入した顧客や、キャンプ用品を検索したことのある顧客をターゲットにして、顧客をセグメント化することができる。このようにグループ化されたセグメントは動画メッセージやストーリーボードにも反映され、消費者の共感を得られるような有意義なインタラクションを生み出すことができるのだ。

 

 

 

効率化のためにAIを活用

セグメントやキャンペーンごとにビデオアセットの管理には、手作業であれば何時間もかかる場合がある。今日の競争の激しい世界で動画コンテンツを配信するには、スピードとパフォーマンスを兼ね備えたインテリジェントなアプローチが必要になる。そこで AI の登場である。AIを導入することにより、効率性を高め、あらゆる規模において、より容易に動画を作成・配信できるようなるのだ。

 

チームは、AIを活用して、動画コンテンツのフォーマットやクロップ、サイズ変更を動的に実行することができ、メインテーマが常にクリップの焦点となるようにライブクロップを行い、さらには音声を自動的に書き込んで字幕を作成し、訪問者にクリックして続きを視聴させるためにショートプレビューを生成することができる。また、こうした技術は、AIベースでの自動タグ付け、構造化されたメタデータ(付帯情報が書いてあるデータ)、リアルタイムでのコラボレーションやオンザフライ(データ書き込み時に一旦ハードディスクにイメージを作成することなく、リアルタイムに書き込むこと)でのコンテンツ変更を可能にする高度な検索により、ワークフローの効率化を図ることが可能となる。

 

AIを活用して動画管理の複雑さを解消することで、企業は動画の作成と配信をより効率的に行い、コンバージョンの向上につながる魅力的なビジュアル体験を提供することができるのだ。

 

 

アナリティクスで動画パフォーマンスを評価する

ブランドが成否を判断するためには、動画キャンペーンを測定し、何がうまくいっているか、否かを評価する必要がある。各データポイントは、進行中のクリエイティブとマーケティング戦略への情報提供において有用であり、最終的には動画の ROI を向上させることが可能だ。手始めに、マーケティング担当者は以下の主要なメトリクスを評価することができる。

 

  1. 誰が動画を視聴したか?
  2. ページの配置は再生にどのような影響を与えているのか?
  3. 自動再生によりパフォーマンスにどのような影響があるのか?
  4. どのCookieが視聴者と紐づけられるか?
  5. call-to-action(行動喚起)があったか?
  6. 再生またはスキップされたのは動画のどの部分か?
  7. 視聴者は動画の視聴を止めたか?
  8. 視聴停止はいつ発生したのか?

 

ブランドはこれらの結果に基づき、動画コンテンツと配信戦略を簡単にピボットすることができるようになる。マーケティング担当者が、動画ストーリーテリングのさまざまなコンポ―ネントについてより良く理解し経験を積むにつれ、これらのメトリクスは更新され、改善されていくはずである。測定可能な目標を設定することにより、ブランドは、自社動画コンテンツの現状を常に追跡し、健全な戦略でこれらのメトリクスを継続的に改善・最適化することが可能となる。

 

ブランドの勝因はパーソナライズされた高性能な動画

動画のビジュアル・ストーリーテリングの力を見くびってはいけない。パンデミック以降見てきたように、消費者はあらゆる動画に即座に適応しており、今後数年で、動画媒体はブランドのオンラインマーケティング戦略の中心となるだろう。ブランドはこれまで以上に、自社のオーディエンスがどこにいるのかを理解し、没入感のある魅力的で心に響く動画を作成する必要があるのだ。

 

 

前述の3つの重要事項を実装することで、消費者が求める素晴らしい動画ストーリーテリングを配信するための強固な基盤が出来上がる。これらが確立されれば、マーケティング担当者は動画コンテンツを次のレベルに引き上げる新たな動画トレンドに向けて動き出すことができるのだ。そして最終的には、買い手ジャーニー全体にわたり、よりパーソナライズされた高性能な動画を顧客に配信するブランドが勝者となるのだ。

 

※当記事は、英国メディア「Marketing Land」の11/30の記事を翻訳・補足したものです。