先日報道された、Googleが、検索用語レポートにおける広告主の可視性を低下させようとする動きは、オートメーション時代におけるデータアクセスに大きな疑問を投げかけている。

 

検索用語データに関するインサイトの広告主への提供を取りやめるというGoogleの最新の決定に対する不満の声(一部の代理店では、データ損失は25%から30%以上と報告)が、訴訟問題へと発展しているという。

 

具体的には、今回のGoogleの変更について、主に以下の3つの反応がみられた。

 

  1. 広告主が、検索語句に関するデータの全てを所有している、または、少なくとも、データは、支払っている広告費に含まれるものであり、広告主が全てのデータついての権利を有していると信じている人。彼らは、自身の権利がこうした決定によりはく奪されていると思い込み、激怒する可能性が最も高い。
  2. Google(あるいはGoogleのプラットフォーム)がデータを所有している、そして広告主は、単にGoogleが提供すると決定したプログラムを利用するだけであると信じている人。彼らは最新の騒動を無視する傾向が最も高く(この記事も見ていないかもしれない!)、単に広告主が変更に対応するべきであると考えている。
  3.  1と2の中間の人。彼らは、誰がデータを所有しているか、あるいは所有していないかについて、確固たる意見は持っていないのだろう。しかし、彼らもまた、広告主が特定の権利を有しており、プラットフォームは、潜在的に波及する影響や監視なしに、単純にやりたい放題に振る舞うことはできないと考えている。

 

 

データ所有権についての議論がマーケティングにとって重要な理由とは?

データプライバシーの専門家でなくともデータの権利と所有権について知る必要はありそうだ。

 

今、そして近い将来のデジタルマーケティングに関する最も重要な議論となる理由は、プライバシーの問題だ。そして、データ保存、オートメーションについての議論に波及する。現時点で可能な、おおよそ全ての手法のマーケティングに影響を与えるものなのだ。これは、何十年にもわたりデジタルマーケティング業界を取り巻く「議論」であるといっても過言ではない。

 

これらの議論によって、オンラインデータの使用と保管を安全に保つための動きが前進することは喜ばしいことだと思う。しかし、Facebookがどのように利益を得ているのかを把握することなく、マーケティング業界に影響力のある決定を下す立法者には、明らかに不信感を覚える。広告業界の根源的な存在を理解せずして、どのように適切に広告業界を法制化することができるだろうか。ただし、それはこの記事の本題ではないだろう。

 

今後10年間で、マーケティング担当者にとって最も影響力を及ぼす核心的な問題とは何か?

 

それについて、次のように確信している。「広告主は、我々が意思決定のために利用するマーケティングデータについて、どのような権利を持っているのだろうか?」ということだ。それは一見、複雑な問題ではないが、問題を掘り下げていけばいくほど、多くの新たな問題を認識することになる。次にそれらを詳しく見ていこう。

 

 

誰が検索用語データを所有しているのか?データ保存者、もしくは、費用負担者なのか?

この問題は、ZATO(高拡張性のあるクラウド統合プラットフォームやバックエンドサーバを提供)で提起されたもので、意見の相違が見られた。また、それがこの記事を投稿するきっかけとなっている。もちろん、データに対し支払いを行う人がデータを所有していると考えられるが、論理的な反対意見が持ち出され、その考えは揺らぎつつある。

 

物理的にデータを作成し、保存する者が、そのデータの所有者なのだろうか?そのデータをどのように使用するかを、誰が的確に決定することができるのだろうか?これは複雑な問題であり、現在も一部の法廷では議論されている。中小企業向けのITサービス、ITソリューション、ITサポートを提供するWinning Tech は、MicrosoftのSCA事件では、アイルランドにデータが物理的に保管されている場合に、米国連邦捜査局が裁判所の令状があれば、そのデータにアクセス可能であるかどうかが問題となったとしている。判決はどうだっただろうか。その判決は、見事に覆されたのだ。サーバーの物理的にどこに置かれているかというロケーションは重要だが、考慮するべき唯一のこととはいえないようである。そして衝撃的なことに、法定では結果について意見が分かれたのだ。複雑な話である。

 

では、データの所有者は、支払いをしている人ではないのだろうか?それが理にかなっているのではないのだろうか?ビッグマックを買った人が、そのビッグマックを食べる権利があるように。

 

しかし、データに関しては、これまでのところ、費用を負担している人がデータを所有しているとはいえないものである。確かに、昨年のFacebookの動画使用数の水増しに対して課された罰金は、広告主が所有するデータに一定の権利があることを示しており(たとえ「嘘をつかれない権利」だけであっても)、データの正確さがどれほどビジネスの意思決定にとって重要であるかを明らかにした。しかし、必ずしも「広告主がそのデータを所有している」とは言えるものではなかったのだ。

 

とはいえ、そうように、実際の人物も(そして、CCPAとGDPRも)混在すると、問題はさらに複雑化する。あなたが知っている人物、彼女はGoogleと広告主によって議論されるそういったデータを引き渡す人物である。彼女はどういった所有権を保持しているのだろうか?

 

ここでは、どのように広告主とデータとのつながりを捉えているかを述べたい。それは、借主と地主のような状況としてみると分かりやすいだろう。

 

もし、オフィス(のスペース)を借りているなら、その建物はその人のものだろう?支払いをしているのだから!ご存知のとおり、もちろんそんなことはあり得ない。単に、建物内の一部のスペースの権利のために支払っているのだ。

 

こうしたことが、Googleと広告主の間でのデータの権利や所有権に関する状況の中で起こっているのである。我々広告主は、おそらくデータを所有しておらず(それはGoogleとデータを渡す側の問題であり、そして、最高裁の間での議論されている問題である)、賃貸契約のように、それにアクセスする権利のために支払っているにすぎない。我々はGoogleのようなプラットフォームから取得したデータを保存することができる。したがって、広告主としてある種の所有権を持っている。傍注とはなるが、それがさらに事態を厄介にしているのだ。重複しているということは、つまりは、現在2セットの所有データがあるということなのだろうか?いや、分からない。堅明な人々は、おそらく法外な金額で議論していることだろう。

 

ところで、以下は、Googleの広告規約に基づく見解である。

 

要するに、広告主はGoogleとの間には自分たちの権利がほぼないということに同意しているのだ。もちろん、これが法的または倫理的に正しいということを意味するわけではない。しかし、Googleにとって重要なポイントは、広告主が利用開始時に利用規約に同意しT&C(terms and conditions:利用規約)においては、インプレッション以外のあらゆる種類のデータ権利を保証していないという点である。

 

この記事に関する調査の際、偶然に、旧バージョンのT&CでGoogleがある種のインプレッションベースのレポートを保証していたことを発見した。インプレッションデータだけでは、冬眠中のグリズリーに石を投げつけるより、少し有益である程度であるが、過去のある時点で、ユーザーがある形式のアクセス権を所有していたことがGoogleによって認められたということを意味する。

 

 

PPCers(検索連動型広告主)として問うべきこと

これは非常に重要なことだ。もし、賃貸契約におけるアクセスに対して支払いをしているとしても、「データを所有しているのが誰か」よりも、さらに重要な問いかけをすべきだからである。

 

PPCの広告主は、Googleが検索用語を同社のレポーティングから削除する新たな取り決めを行ったことについて、まるで広告主がデータを所有しているかのようにGoogleに対して疑問を投げかけている(広告主はデータについて料金を支払っているため)。腹立たしいことではあるが、Googleが揃って肩をすくめているのは、我々がそのデータについての権利を所有していないことを知っているから(上記画像の議論を参照)であることは十分にあり得る。我々は、単にGoogleからデータをリースしているだけであり、Googleは、蛇口と同じように、どのデータポイントをオン/オフにするかを決定することができる。しかし、こうした決定は、この問題についてのパートナーの発言にGoogleが関心を持っていないことを示している。それ故に、永遠に続くことがない関係性の中にある不均衡を、警戒する必要もあるだろう

 

要するに、我々広告主が議論すべきは「データの所有者」についてではない、ということである。それについて確かめていこう。

 

我々がまず主張すべきは、将来的な法的先例となるかもしれない、「どのデータに関して、広告主はアクセス権があるのか?」である。

 

我々がデータ所有を主張し、敗訴した場合はゲームオーバーだ。しかし、我々が「アクセス権」を主張する場合には、新たなゲームをスタートすることになる。

 

Google独自の言い回し

これは奇妙なことだが、ごく普通の男性が、シェークスピアのハムレットから「hoisted by its own petard(自らのわなに陥って)」というような言葉を引用することがある。Googleは、広告主に対するサードパーティーポリシーにおいて、 Google for Ads プログラムの利用について「実際に支払いをしている人に示すために必要となる特定のデータがある」と主張している。言い換えると、私のようなPaid Search(PPC経由のセッションを示すGoogleアナリティクスで確認できる指標のこと)代理店は、Googleのサードパーティーポリシーに従い、広告主と特定のデータを共有しなければならないということだ。

 

透明性の要件」については以下をご覧いただきたい。

 

 

もちろんGoogleは、このポリシーの中で明確に定義された文言を織り交ぜないようにすることに長けている。彼らは代理店のために「検索用語データが重要である」と主張し、データ自体を表示しないといったものではない。しかし、ポリシーの中から取りまとめたものによると、「広告サービスの利用に際してのプラットフォームに対する支払いによって、広告主がデータへのアクセス権を所有していることをGoogleは認めている。そして、「それが」今後の争点であると考える。

 

つまり、問題となるのは、「Googleに支払いを行う広告主は、データについて特定のアクセス権を持っているか」ということではないだろうか?なぜなら、上記のように、Google自身がアクセス権について、ある程度のレベルにおいて認めているからである。

 

問題は、「広告主がアクセス権を持つのはどのデータか」?ということ。

 

ここが複雑なポイントであり、疑問を投げかける必要があるだろう。(Marketing Automation and Data: 2 Contradictory Elements We Need to Discuss:マーケティングオートメーションとデータ:私たちが議論すべき2つの矛盾した要素)

 

あるビジネスの成功のためには、データポイントが、他ビジネスに比べてより重要であるということである。検索用語データの30%がなくなることで、他のビジネスよりも大きな影響を受けるビジネスが出てくる可能性がある。これはビジネスの本質であり、広告主すべてに効果があるかどうかは別として、より自動化されたキャンペーンタイプのために、プラットフォームにおけるデータの難読化を廃止することが、最善のソリューションであると考えている。

 

次の2つの組み合わせが理に適っているといえる。特定のコントロールとデータアクセスを気に掛けない事業者向けに自動化が進むこと、そして、それらを必要としている広告主向けのデータセットへのフルアクセス。これにはおそらくいくつか作業が必要になり、Googleがビジネスを行うための最も効率的な方法とは言えないが、最良の方法であることは間違いない。

 

ある時点では、非常に多くのユニークなエンティティでビジネスを行うことは、単に平均値を利用した効率性を重視しているわけではない。自動化は、共有されたデータを手動で管理するのではなく、グループ化された効率性と平均値によって本領を発揮する。それもまた、ソーシャルオーディエンスがGoogleの検索用語データに加えてポピュラーなものになりつつある理由である(グループ化された平均値は自動化が容易)。それでも、検索用語とキーワードによって、Googleは常に他のマーケティングチャネルを先導しており、プラットフォームに新たな広告主を惹きつけ続けている。そして、中小企業は、キーワードのターゲットを狭く絞る性質、つまり、類似バリアントの変更の追加により失われ続けているターゲットを絞るという性質を非常に好んでいる。

 

Googleにとって問題になるのは、これらの平均にフィットしないビジネス、特に小規模ビジネスである。しかし彼らは、同様に、広告プログラムに費用を支払い、特定のデータへの権利を所有しているのだ。

 

ビジネスに関与する人々のコスト、特に多くの人々のコストはどうなっているのだろうか?

 

モンタナ州ビリングの小さな不動産業者は、広告エコシステムの一部として、Googleのペニー(Googleファイナンスの株を示す)に支払いをしており、数十億ドルを売り上げる旅行会社と同等のデータアクセス権を持っている。

 

数十億ドル規模の旅行会社には機能する自動システムとしては、非常に優れたエンジニアによるプランではある。しかし、たとえ、自動化されたプログラムがより効果的だとしても、小さな不動産業者の経営破綻したアカウントにとっては、実際のところ適切な方法ではないだろう。

 

多くの人々と共にビジネスを行うことは複雑な側面があり、常にクローズドシステムや自動化されたプロセスの型にきちんとはめることは不可能だ。時に、プラットフォームとしてできる最善の方法は、利益と効率がリスクにさらされているのを理解することだが、全ての料金を負担する顧客が広告ソリューションを利用できるように、ほぼすべてのデータポイントへのアクセス方法を模索するのだ。

 

非常に近い将来、「データアクセス権」はおそらくいずれかの高等裁判所で決着がつくだろう。そして我々はみな、それを興味深く、また、不安に感じながら見守ることになるだろう。

 

 

※当記事は英国メディア「Marketing Land」の9/17公開の記事を翻訳・補足したものです。