GoogleFacebookは2018年、全世界のあらゆる種類の広告費の24.5%を占め、世界の総広告費5,904億ドルのうち、1,446億ドル(1,098億ポンド)に達したという。これは2017年の20.3%から増加し、2014年に報告された10.8%の2倍以上となる。この数値は国際マーケティング情報サービスを行うWARC社の調査によるもの。同社によれば、今年はこの数字が28.6%(1,764億ドル)まで増加すると予想されている。

デジタル広告のみを見ると、GoogleとFacebookは2018年の広告費の56.4%を独占。今年の2社の占める割合は61.4%に達すると、WARC社は予測している。2社の成長は、他のオンラインメディア各社への広告費を圧迫し、その広告出稿費総額は、ここにきて初めて減少。0.7%減の1,110億ドルとなったという。

 

WARC社のデータ編集者であり、この調査報告書を作成したJames McDonald氏は次のように述べている。

「複占のビジネスが成功した主な要因のひとつは、広告業界の意思決定者が最も効果的だと考えるデジタルフォーマット、つまり、有料検索広告とソーシャルメディアの開発と、その後の所有権にある。過去1年間で行われた調査では、検索広告とソーシャルネットメディアは、キャンペーンの目的を達成するという観点において、広告主から高く評価されていることがわかっている」。

「Googleは検索エンジン市場を独占しており、世界中のモバイル検索を行う人のほとんどがGoogleを利用している。また、デスクトップの全検索のうち9割は、Googleが使われている。一方で、広告バイヤー達は、豊富な個人情報のキャッシュを活用することで、Facebookにおける1日のユーザー14億8,000万人をターゲットとすることができる。GoogleとFacebookの利便性の高い広告バイイングツールは、主要なブランドだけでなく、小規模、または極小のロングテールビジネスにとっても魅力があり、収益増加の中核となる競争優位性を生み出しているのだ」。

 

3つの主な傾向

こうした状況を背景に、WARC社のGoogleとFacebookの複占についての調査では、主に3つの傾向が強調されている。まず一つ目は、GoogleとFacebookは、ビデオ広告分野で直接競合しているということだ。WARC社がサービスを提供する12の主要市場(オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、ロシア、英国、米国)における、オンラインビデオ広告出稿費総額は、302億ドル。これは、リアルタイムテレビサービスであるリニアTVの21.5%に相当し、急速に成長を遂げている。オンラインビデオ広告出稿費の大部分(例:イギリスでは、86%、19億ポンド)は、FacebookやYouTubeを含むソーシャルメディアサイトに費やされている。

GoogleとFacebookの双方とも、パフォーマンス型のターゲティング広告取引を支配することを目指すと同時に、企業の広告出稿費をさらに増加させたいと考えている。2社の独占的な成長にとって、規制が重大な脅威となると考えられるが、現時点では、著しい減速の兆しは見えていない。

 

二つ目の傾向は、Googleは、検索市場における優位性を保持するため、Amazonと2つの事柄について対立しているという。Googleは、1秒間に63,000件の検索クエリ(質問)を処理しているが、それはつまり、1年間で2兆件のそれを処理していることになる。しかし、この検索マーケットの独占は近い将来、Amazonによって脅威にさらされる可能性がある。Amazonは、自社の検索ビジネスを開発し、広告主と購入フェーズにいる消費者を結びつけようとしているからだ。

WARC社は、Googleの1,074億ドルに対し、Amazonの今年の広告収入は139億ドルに達すると予測しているが、Amazonの広告ビジネスは、Googleよりも急速に成長している。また、最近実施したWARC社の調査によると、69%のマーケティング担当者が「今年はAmazonへの広告出稿費を増やす予定だ」と回答している。

消費者の購入習慣についての豊富なデータベースを保有しているAmazonは、音声検索という新興分野においても、Googleの地位を揺さぶっている。アメリカのスマートスピーカー所有者のうち63%が、Amazonのechoデバイスを使用しており、Google Homeデバイス所有率26%をはるかに上回っている。

 

三つ目の傾向は、アメリカの若年層がFacebookから、Facebookが所有するInstagramへ流出していることである。今や、Facebookのデイリーユーザー数の増加はInstagram頼りであり、2017年以降、米国では1,500万人ものユーザーがFacebookコアプラットフォームを退会したと推測されている。

マーケティング担当者達もInstagramの人気上昇を認識。直近のWARC社による調査によると、Instagramは67%による純予算増(予算を増加させる予定の担当者数から、予算を減らす予定の担当者数を差し引いた数値)を記録した。Amazonは63%増、YouTubeは60%増、そしてFacebookはわずか13%増だったという。

Facebookは消費者の信頼を取り戻すため、また、オンライン決済のための安全な環境を構築するために、メッセージサービスの暗号化を進めることで対応している。大規模なデータ流出・漏えい事件であるthe Cambridge Analytica scandalへの対応策として、同社は昨年、世界中で広告を出稿し11億ドルを費やした。しかし、データ漏洩問題から人々の関心をそらすことが目的であるはずのその広告によって、かえって注目を集めてしまう結果になったと感じる人もいたという。

 

レポートのサンプルはこちらからダウンロード可能。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の3/21公開の記事を翻訳・補足したものです。