株式会社ジャストシステムは、同社が運営するマーケティングリサーチキャンプにおいて「動画&動画広告月次定点調査(2019年1月度)」の結果を公開。バナー広告と動画広告に関する印象やエンゲージメントに関して比較しているほか、ライブ動画の利用状況について明らかにしている。

この一部を紹介する。

 

スマートフォンで不快を抱くのはバナー広告より、動画広告

最近では、スマートフォンのアプリやインターネット利用時に表示される広告は静止画(バナー広告)のみでなく動画広告も頻繁み見かけられるようになった。では、バナー広告と動画広告に対して視聴者はどのような印象を持っているのだろう。

双方の広告を見た際に感じた印象について当てはまるものを選択してもらった結果、「どちらに対しても特に何も感じなかった」を選択した人が最も多く36.8%、次いで「どちらも同じくらい不快に感じた」が31.9%、「動画広告の方がバナー広告より不快に感じた」が18.7%、「バナー広告の方が動画広告より不快に感じた」が10.9%であった。このことから、広告の形態にかかわらず、その印象は二極化しているものの、動画広告の印象の方がバナー広告よりも不快感を感じる人が多いという結果であった。

 

バナー広告と動画広告のエンゲージメント状況の比較

さらにバナー広告と動画広告、それぞれにおけるエンゲージメント状況を調査したところ、最も高いエンゲージ率であったのは「バナー(静止画広告)」(29.6%)であり、「SNSやキュレーションアプリのタイムライン上に表示される動画広告」(26.3%)「インターネットのWebページの記事途中などに表示される動画広告」(25.7%)が続いている。

今回最もエンゲージ率が高かったバナー広告のエンゲージ状況について詳しくみると、バナー広告を見かけて「購買やクリックなど何らかの行動に繋がった」という人が10.1%、「その内容に興味を持った」人が19.5%、「特に興味を持たなかった」人は最も多く66.3%「よくわからない」という回答が4.1%という結果であった。また、回答に男女別の違いは見られないものの、年代別に見ると10代20代の方が他の年代よりも購買に繋がる行動をとる人が多いことがわかった。

さらに、SNSやキュレーションアプリのタイムライン上に表示される動画広告とインターネットのWebページの記事途中などに表示される動画広告も同様に、広告がきっかけで実際に何らかの行動をとった人は10代20代が多く、他の年代と明らかに差がついている。一方、上位3つの広告において「内容に興味を持った」という回答は10代20代に多いものの「何らかの行動に繋がった」という回答よりも他の年代との差がなかった。このことから、若い年代ほど広告をきっかけに行動に移す人が多く、年代が高くなるにつれ広告への興味を持たない人が多くなるものの、広告は年代関係なく人々の注意を惹くことが伺える。

 

ライブ動画の長さ、最も好まれるのは10分~30分未満

あらかじめ録画した動画ではなく、リアルタイムに配信されるライブ動画。まず、視聴経験について調査したところ、ライブ動画を「視聴したことがある」という人は全体の45.4%、「知っているが視聴したことはない」という人が40.7%、「知らない」という人は9.4%に留まり、その存在は多くの人が認知しているものであることが伺われれる。また、年代別にみると年代が低くなるほど視聴経験者は多く、最も多い年代は20代で65.3%だ。

全体の約7割の人がスマートフォンを介してライブ動画を視聴するという結果が出ているが、ライブ動画視聴に最もよく利用されているプラットフォームはYouTube(66.7%)であり、次いでInstagram(27.0%)、LINE(24.6%)であった。

さらにライブ動画において、視聴時に最も好む動画の長さについても質問したところ、最も回答が多かったのは10分~30分未満で23.9%、次いで30分~60分未満(19.7%)、5分~10分未満(17.1%)であり、性別・年代別にみてもほとんど違いは見受けられなかった。

 

今回の調査から、動画広告とバナー広告では、動画広告の方がバナー広告のよりも不快を感じる人が多く、エンゲージメントはバナー広告の方が高いことが明らかになった。また、ライブ動画に関しては、10分~30分のものが最も好まれ、その長さから短くなっても長くなっても好む人の割合はどんどん少なくなっていった。これらの結果を年代別に見た際、10代20代とそれ以外の世代で回答に差がある事が見受けられ、スマートフォンを介することが年代差を生み出していることが伺われる。