世界的に見ても、動画コンテンツに表示される広告を視聴者が“スキップ”することは習慣化している。しかし、グローバルメディアエージェンシーであるIPG MediabrandsグループのMagnaIPG Media Labの調査によると、スキップ可能な広告の出稿は、依然として広告主にとって重要な価値をもたらしているという。

世界中の消費者2万人を対象に行われた調査では、英国とカナダの両国におけるスキップ率は52%、米国では57%という結果に。スキップする際、英国の消費者はスキップボタンが表示されてから決定を下すのにわずか2.4秒しかかからない一方で、マレーシアでは、9.2秒もの間広告を視聴しているという。マレーシアは「広告をスキップする可能性が最も高い」と思われていた国であるにも拘らず、調査対象の他の11カ国より長い視聴時間を記録した。

アジアの視聴者は、長編の広告視聴を避ける傾向がある。一方英国では、広告をスキップしている人の72%が、広告の長さや関連性を問わず「習慣」でスキップしていると回答した。

「広告のスキップは、本質的に普遍的な行動であり、すべてのデバイスで均等に起こること。広告主は、スキップを阻止する代わりに、そこから学ぶ必要がある」とMagnaのインテリジェンスソリューション&戦略部門SVPであるKara Manatt氏は語った。「我々は、新しい広告フォーマットについてもある程度話題にしてきたが、今回のリサーチ結果は、効果的な広告手法における“伝統的な基本”の重要性を、繰り返し実証している。ストーリーにブランドを自然に織り込んだエモーショナルな広告は、消費者に大きなインパクトを与えるだろう」と続けた。

世界的にスキップ率が高まる一方で、今回の調査では、27%の消費者が何のヒントもなしにスキップした広告のブランドを思い出すことができ、40%の消費者は何かヒントがあればブランドを思い出すことができるということが判明している。

さらに、消費者は、スキップ不可能な広告を最後まで視聴されられるよりも、スキップ可能な広告を提供するブランドをよりポシティブに捉えているという。62%の消費者は、スキップ可能な広告はより信頼性が高いと考え、60%はより有益であると判断した。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の5/10公開の記事を翻訳・補足したものです。