Salesforceの調査によると、マーケターの83%が顧客は双方向の対話を期待していると回答する一方、69%が迅速に対応できていないと認めている。
マーケターの83%は、「顧客は双方向のコミュニケーションを期待している」と回答している。しかし、69%は「問い合わせへの迅速な対応に苦労している」と認めている。このギャップは、Salesforce(CRMプラットフォームを提供する米国企業)の最新レポート「マーケティングの現状(State of Marketing)」における最も重要なシグナルといえるかもしれない。
マーケティングにおけるAI革命はすでに始動している。世界規模で調査した約4,500人のマーケターは、期待の高まりがほとんどのチームの対応力を上回ると回答している。75%の組織がすでに少なくとも1種類のAIを活用しているが、その実践は依然として期待に追いついていない。
これはもはやCMO(最高マーケティング責任者)だけの問題ではない。最前線のマーケティングにおける現実である。

出典: Salesforceによる「マーケティングの現状」レポート
同レポートによると、マーケティングチームの4分の3が何らかの形でAIを活用している。一見すると、これは大規模な変革のように聞こえるが、実際には多くのチームが依然として、分断されたデータと従来のワークフローの上にAIツールを重ねているのが現状である。
マーケターは、AIによって毎週かなりの時間を節約できると述べている。節約できた時間の価値は、単なる作業スピードの向上にとどまらない。それは、戦略立案、創造的思考、そして顧客インサイトのための能力が拡大することを意味する。しかし、その価値は、マーケターがAIシステムを効果的に導き、解釈し、管理するスキルを身につけて初めて実現する。
データ分析とAIの活用は急速にコアコンピテンシー(企業の核となる能力)となりつつある。データの解釈やAIツールの活用ができないマーケターは、競争力を維持するのに苦労するだろう。
マーケターは顧客との対話にAIを信頼している
マーケターの81%が、「顧客からの問い合わせへの対応においてAIを信頼している」と回答している。これは画期的な出来事だ。AIエージェントは、人間のチームだけでは対応できない規模で、24時間体制の対応を提供できる。
関連性のない応答性では不十分だ。有意義な会話を実現するには、AIは統合され、文脈に沿った顧客データを活用する必要がある。
Salesforceの調査結果は、根深い問題を浮き彫りにしている。多くのマーケティングチームは、依然として部門横断的な顧客データへのフルアクセスが不足している。
サービスや販売、コマースのデータがサイロ化されたままでは、パーソナライゼーションは損なわれる。AIシステムは、完全な可視性なしでは行動を正確に予測したり、次善の行動を推奨したりできない。
その結果、パーソナライゼーションの取り組みはしばしば不十分に終わっている。マーケターの84%が、「自社のキャンペーンが依然として凡庸な印象を与えている」と認めている。これは重要な点を浮き彫りにしている。AIだけではパーソナライゼーションを実現することはできない。接続されたデータこそが、意味のあるパーソナライゼーションを実現することができるのだ。
ある程度の進歩は見られる。予測行動モデリングを用いてオーディエンスをセグメント化するマーケターの割合は増加している。しかし、予測機能には、データアーキテクチャ、ガバナンス、そして部門横断的な連携への投資が必要である。
エージェンティック・マーケティングは実行段階へと移行している
エージェンティック・マーケティングの台頭を最も明確に示す兆候は、概念的なものではなく、実用化の段階にある。マーケターの61%が、「自社でAIエージェントの実験、あるいは本格的な導入を進めている」と回答している。これは、自律システムがもはやサイドプロジェクトではなく、実際のワークフローに組み込まれつつあることを意味する。
この変化は戦術的なものではなく、戦略的なものだ。マーケターの68%が、「生成型AIはマーケティング戦略全体にとって不可欠である」と回答しており、この優先順位の高さは、AIがキャンペーンツールではなく、インフラになりつつあることを示唆している。
しかし、自律性はタイミングと状況に依存する。マーケターの64%は、「リアルタイムのデータ活用が成功の鍵である」と述べている。エージェント型システムは、遅延したレポートでは機能しない。次善のアクションを促し、ジャーニーを調整し、インタラクションの展開に合わせてレスポンスをパーソナライズするには、最新のシグナルが必要だ。
データ基盤は、リーダー企業と後進企業を分ける鍵でもある。高業績のマーケティングチームの57%が、「統合された顧客データプラットフォームを導入している」と回答している。この統合されたビューにより、AIエージェントは推測ではなく、より的確な判断に基づいて行動できるようになる。
これらの数字を総合すると、一つの方向性が浮かび上がる。マーケティングは、人間を支援する以上の機能を備えたシステムへと進化しつつある。そうしたシステムは人間と連携し、ジャーニーを促し、メッセージングを調整し、インタラクションを継続的に最適化する。
チャンスは単なる自動化にとどまらない。リアルタイムデータと統合された顧客コンテキストによって実現される、協調的な自律性こそがチャンスである。

出典: Salesforceによる「マーケティングの現状」レポート
マーケティングは収益と連動
収益への責任はもはや憧れの的ではなく、すでに測定可能なものとなっている。Salesforceによると、高業績のマーケターの83%が、「営業パイプラインへの自社の貢献を明確に把握している」と回答している。一方、業績の低いチームでは、その割合ははるかに低いことが分かっている。
この整合性は構造的なものだ。マーケターの半数以上が、主要KPI(重要業績評価指標)がエンゲージメント指標だけでなく、収益成長とパイプラインへの貢献に直接結びついていると回答。同時に60%が、「マーケティング、営業、サービス全体にわたるカスタマージャーニーのオーケストレーションの改善が最優先事項である」と回答しており、ライフサイクル全体における可視性の必要性が改めて強調されている。
データ統合が、成果の新たな分岐点として浮上している。高業績チームの57%が、「統合された顧客データプラットフォームを導入している」と回答している。この統合されたビューにより、クローズドループ(成果まで追跡する仕組み)のレポート作成、より明確なアトリビューション、そして財務部門や経営幹部からの信頼強化が可能になる。マーケティングはもはやアウトプットの量で測られるものではなく、成長への貢献度で評価されるのだ。
パーソナライゼーションは依然として最も困難な課題である
収益の整合性が加速している一方で、パーソナライゼーションはまだ追いついていない。マーケターの84%は、セグメンテーションと自動化に長年投資してきたにもかかわらず、「キャンペーンが依然として汎用的だと感じている」と認めている。
このギャップは、認知度が問題ではない。マーケターの78%が、「現在提供できるよりもパーソナライズされたコンテンツが必要だ」と回答。一方、64%は「リアルタイムのデータ活用が成功の鍵だ」と回答している。しかし、多くのチームでは、その期待に一貫して応えるためのインフラが未だに不足している。
断片化されたデータは依然として大きな障害となっている。高業績チームのうち、統合された顧客データを保有していると回答したのはわずか57%に過ぎず、市場のかなりの部分は完全なコンテキストがなければパーソナライゼーションを実現できない状況にある。AIはコンテンツ制作のスケールアップを可能にするが、強力なデータガバナンスと連携システムがなければ、自動化は単なる定型的なアウトプットの加速に過ぎない。
その結果、矛盾が生じている。ハイパーパーソナライゼーションのためのツールは広く利用可能になっているものの、大規模に実行するための運用基盤は依然として不均一である。