特定のユーザーのウォンツやニーズに合わせてカスタマイズされたメッセージは、特にそれが行動学的シグナルに基づく場合には、共感を呼ぶものとなる。

 

2020年も1ヶ月が過ぎた今、2019年のホリデーショッピングシーズンを振り返り今後の11ヶ月の戦略について話をする一番良いタイミングだろう。今年はこれまで同様、何百万ものホリデーショッパーのクリックを勝ち得たメールマーケティング手法があった一方で、ユーザーを追い払ってしまったものもあった。しかし、ありがたいことに、すべてのホリデーシーズンは、マーケターが経験し、学ぶ機会であり、新規顧客や既存顧客と関わるチャンスとして有効活用するためのものである。

 

次のホリデーショッピングシーズンが徐々に見え始めていることから、Twilio SendGrid(クラウドベースのメール配信サービスを行う米国企業)による2019年のホリデーのデータと教訓から得られた、いくつかのトレンドを以下に述べよう:

 

 

モバイルファーストの考え方を受け入れる

携帯端末とメールは共生しており(実際メールの半数は、今や携帯端末で開封されている)、ウェブアナリティクス企業は、「ホリデーにおける携帯端末からの売上が毎年増加している」と一貫して報告している。昨年も例外ではなく、ブラックフライデー(米国の感謝祭である11月の第4木曜日の翌日。大規模なセールが行われる。)とサイバーマンデー(ブラックフライデーの次の月曜日。ブラックフライデーに続き、オンラインショップを中心にセールが行われる。)の週におけるすべてのクリック行為の65%が携帯端末で行われた。 また、人々は、携帯端末でメールを開いているだけでなく、それらのメールに含まれるリンクもクリックしているのだ。

 

携帯端末は、2020年以降のメールエンゲージメントにおいて重要な役割を果たすだろう。いつでもどこでも、メールにアクセスするという、明白なユーザーの要求に適応することは、メールマーケターにとってこれまでになく重要になっている。オーディエンスへの最適なアプローチ方法を理解することは、前半戦に過ぎない。だが、オーディエンスにメールを開封させるのはやや難しいかもしれない。

 

大量の「割引!!!」という表示の中で、自社件名を目立たせる

当然のことは言わない。毎年、マーケターは、件名に「ホリデー」のメンションを含めるかどうかという大きな決断と戦っている。ここ数年では、「ホリデー」に言及しない方が、当然のことを言うよりもエンゲージメント率が高かった。言わずとも、「ホリデー」なのだから。

 

送信者は、件名をカレンダーのリマインダーとして使うよりも、メールで価値を提供することに注力する方がよい。重要なことは、一般的に人々が、今が何のシーズンであるかを知っているということだ。それを繰り返す必要はないのである。

 

すべてが「緊急」という訳ではない。ホリデーを受信者に思い出させることとよく似ているが、件名に「緊急」性をもたせることは、歓迎されない傾向がある。全文大文字と無数の感嘆符(「!」のこと)は、受信トレイをぐちゃぐちゃでストレスフルなものにし、多くの「緊急」をうたったメールは未読のままとなる。

 

ブラックフライデーやサイバーマンデーの間には、緊迫感はないが、急ぎのニュアンスを伝える「明日」という言葉を件名に含める方が、切迫感やストレスを引き起こす「今」、「すぐに」や「今日」などの言葉よりもエンゲージメント率が高かったという。念のため、件名は、ユーザーにブランドや商品について思い出させるべきものであり、過度に不可解ではなく明解であるべきだ。差し迫った締め切りを強調したり、不必要なプレッシャーをかけたりするべきではない。

 

値下げするのか、しないのか。 ほとんどの人は、お金を節約するチャンスに飛びつくだろう。しかし、結局のところ、これは必ずしも正しいとは限らない。衝撃的なことかもしれないが、ホリデー中にメールの件名に値下げを記載することは、実際にエンゲージメント率を悪化させる可能性がある。一般的には、件名に値下げの言及がないメールは、件名で値下げを言及するメールよりもエンゲージメント率が高かったのだ。

 

過去のホリデーシーズンに行われた値引きについてさらに掘り下げると、件名に含まれる最も一般的な値引き率は50%と20%であることをデータが示している。だが、昨年のホリデーの買い物客の興味を引いたのは、10%や15%などの低い値引き率であった。

 

 

値引きするかどうかは、メールの開封率と件名以外のデータが必要となる複雑な問題になりえる。多かれ少なかれ確実に言えることは、値引きだけでは望ましい結果が得られないということだ 。つまり件名には、値引き以上に重要な要素がある。マーケターは、巧妙さ、付加価値や競合他社との件名の差別化に注力する必要がある。

 

感嘆符と絵文字 前年比のデータは、件名に感嘆符や絵文字を含めてもエンゲージメント率が向上しないことを示している。飽和状態の受信トレイで自社のメールを差別化しようと、ギリギリのタイミングで感嘆符や絵文字をメールに入れ込むのではなく、感嘆符と絵文字の活用は、いくつかのセグメントを対象に前もってテストを実施すべきプラクティスである。

 

1つのホリデーシーズンが終わり、次がやってくる

結局のところ、送信者は、できるだけ多くのパーソナライズを実現するために、メールを検証し、セグメント化する必要がある。パーソナライゼーションは、時間がかかり、何よりも野心的なものだが、正しく行われた場合には歓迎されるものでもある。特定のユーザーのウォンツ、ニーズやデザイア(欲求)に合わせてカスタマイズされたメッセージは、特にそれらのウォンツやニーズが過去の購入行動、販売、閲覧やその他の行動学的シグナルから派生したものである場合、共感を呼ぶものとなる。できるだけ多くの微妙な差異を有するユーザーセグメントを事前に特定し、特定の個人に最もよく働きかける件名と値引きについてテストを行ったうえで決定するべきである。

 

ホリデーを、バックミラーで振り返っている人もいれば、12月26日に新しい計画サイクルを始めている人もいる。常に、過去のホリデーにおけるメールマーケティングの教訓から学ぶ機会がある。それは、次のホリデーシーズンへのアプローチについてのみならず、ホリデーまでの日々に常に発生する多くのやり取りについても知見を得ることができるのだ。

 

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の2/3公開の記事を翻訳・補足したものです。