信頼性と関係性の高いパーソナライズされたメッセージは、ホリデーショッピングをする顧客のロイヤルティを育て、維持するために有効である。

 

今年のホリデーシーズンも、ブランド同士が買い物客の支出をめぐり最も熾烈な戦いを繰り広げる時期となっている。すでにその戦いが過熱している今シーズン、全米小売業連盟(NRF)は、3.8〜4.2%の成長予測。これに参戦する全てのマーケティング担当者は、非常に綿密な計画を練っていることだろう。一方、年間で最も重要な時期の1つであるこのシーズンに、努力を無駄にしてはいないだろうか?

 

eメールマーケティングプロバイダーYes Marketingのホリデーシーズンに関するレポート(ダウンロードは要登録)によると、2018年第4四半期には多くのブランドがホリデーシーズンをテーマにしたキャンペーンメールを送信したが、パフォーマンス指標においては精彩を欠く結果となったという。ホリデーをテーマにしたメールの平均開封率は10.5%、また、平均クリック率は1%という結果であった。どちらも、同じ期間に送信されたテーマのないメール(平均開封率12.6%とクリック率1.1%)を下回っている。

 

何を意味するのか。それはつまり、2018年のホリデー戦略とコンテンツ効果は低かったということになるだろう。手遅れになる前に、今すぐ自社のホリデー戦略を再考するべきである。ここでは、今年のそれぞれの祝日に向けたメッセージングを改善する、データに基づいた方法をいくつか紹介する。

 

主要な祝日に、ブランドの中核となる信念と価値観を明確に示す

感謝祭(米国では11月の第4木曜日):一部のブランドには、感謝祭のプロモーションと直接的かつロジカルなつながりがある。たとえば、感謝祭ショッピングをする顧客向けの製品やサービス(家庭用品、食料品店、調理済み食品、配達サービスなど)を提供するブランドは、感謝祭をテーマにしたメッセージを送信し、この祝日を活用することができる。もしくは、今年のホリデーシーズンは、特売オファーの提供にフォーカスしているブランドもあるだろう。「○○%オフ」割引セールのプロモーションは、昨年最も効果が高く、BAU(通常のビジネス)メッセージの2倍のコンバージョン率を達成した。

 

しかしながら、あなたがCMO(最高マーケティング責任者)に対して提案する場合、もしくは、CMOであるならば、今年のホリデーシーズンにおいては、売上主導のアプローチをとらないことが望ましいと考える。(少なくとも、感謝祭ディナー後、つまり、ブラックフライデーショッピング前までは)。反対に、ブランドに対するグッドウィルを促進し、向上させるマーケティング担当者は、報われるだろう。マーケティング担当者はこのホリデーシーズを、自社の社会貢献を強調し、ブランドを擬人化する機会とみなすべきである。感謝祭は、感謝を捧げる祝日であり、消費主義である必要はない。したがって、感謝祭を活用することで世界をより良くすると同時に、より感情的なレベルで買い物客とつながるべきである。たとえば、2015年以降、米国アウトドアブランドであるREIは、ショッピングラッシュに参加する代わりに、顧客に対し「#OptOutside(外に飛びだそう)」を提案。ブラックフライデーよりも、本来の感謝祭休暇の意味を重視している。

 

ブラックフライデー(感謝祭の翌日である11月第4週目の金曜日):サイバーウィーク(ブラックフライデーと翌週の月曜日であるサイバーマンデーを含む1週間のセール期間)期間中は、実店舗でのブラックフライデーのセールに集中しがちである。しかし、マーケティング担当者は、ブラックフライデーがオンラインに移行していることを考慮する必要がある。買い物客は、ブラックフライデーのセールを待ち望んでおり、コンバージョンは前年比37.5%増加している。そして、ショッピングがオンラインへ拡大するなか、ブランドはデジタルチャネルを逃してはならない。

 

多くのブランドでは、ブラックフライデーセールを早期に宣伝することで、eメールマーケティングによるより多くのエンゲージメントを獲得している。昨年では、11月19日より前に送信されたeメールは、その後送信したeメールよりも高いクリック率とオープン率を獲得。つまり、イベントを早めに宣伝し、顧客に、ビッグイベントであるブラックフライデーのかなり前に、ショッピングについて検討させることに価値があることを示唆している。

 

サイバーマンデー(感謝祭の次の月曜日):マーケティング担当者は、消費者が送料無料を「当然のサービス」と認識していると考えている。購読者が数百件のサイバーマンデー向けのメールを整理している際、こうした送料無料を謳うことで、確実に消費者の注意を引くことができるのだ。年々より多くのブランドが参加しているサイバーマンデーイベントでは、このようなシンプルでベーシックな施策が、自社ブランドを勝利に導く。昨年は、消費者の注目を得るのはより困難であったため、開封率が10%以上低下した。しかし、昨年、注目を集めることに成功したブランドは、コンバージョンが前年比で約57%増加し、大きな収益を得ている。

 

クリスマス:クリスマスメールは、一体感を重視するクリスマスの祝日にちなんで、消費者との関係構築にフォーカスしたものが多い。クリスマスは、従業員や顧客のストーリーを共有し、または、自社が行っている慈善活動を紹介し、ブランドの人間的側面にフォーカスすることが理想的。また、旅行や贈答品、装飾に関する有益なヒントを提供し、購読者の休暇準備の助けとなることも理想的である。

 

自社のストーリーを伝えることでブランドの差別化を図る

メールマーケティング戦略では、上記の祝日を無視することは危機的な機会損失に繋がるだろう。販売だけに注力するのではなく、ブランドへの注目を集めることは、このホリデーシーズンに勝つだけでなく、2020年以降の成功を生み出すだろう。ホリデーシーズンを活用して、自社ブランドストーリーを印象付け、自社および顧客とのリレーションシップをたたえるべきである。

 

  • 新年の誓いをたてよう。新商品やサービスのリリース、慈善活動、またはブランドの改善分野に焦点を当て、それを顧客と共有すべきである。それは、ブランドごとに異なるだろう。1つのアイデアとして、1年を振り返り、たとえば配達遅延が発生している場合はそれを認め、遅延をなくす、または減少させる新解決策を新年の誓いとして打ち出すことができるだろう。これにより、ブランドの透明性のある人間的な側面を見せながら、新しい年の顧客エクスペリエンスの改善に真摯に努力していることを顧客に訴えることができる。

 

  • 顧客に感謝する。感謝の言葉を述べるシンプルなメモよりも、自社の顧客を祝福するためにできることは何だろうか?顧客に感謝し、ブランドへのエンゲージメントに対する敬意を示さなければならない。感謝の気持ちを示しながら、ブランドについての肯定的なソーシャル投稿を引用することも必要である。可能であれば、さらなる感謝のしるしとして、引用した投稿をした顧客にギフトカードをプレゼントするのも良いだろう。

 

  • 自社顧客のストーリーを伝える。自社ブランドでのカスタマー・ジャーニーを紹介しよう。たとえば、「1年を振り返るメール」を送信すれば、この1年の顧客エクスペリエンスを思い出させることができる。例を挙げると、米国運輸ネットワーク企業であるLyftは、自社の成果と目標達成をレビューし1年を祝うだけでなく、何年間かの顧客ごとの乗車履歴の詳細を記載したパーソナライズされた電子メールを送信している。この手法は、すべての業界で機能するだろう。言い訳をするのをやめて、すぐにでもこれを年間予定に組み込んで実行すべきではないだろうか。

 

まとめ:ホリデーマーケティング戦略を立てる際には、まず、顧客の声にきちんと耳を傾けているかどうか、また、ホリデーショッピングシーズン中に顧客が必要としているコンテンツを提供しているかどうかを検討しなければならない。ホリデーションピングをする買い物客にパーソナライズされた信頼性と関連性の高いメッセージを送信することは、顧客ロイヤルティの構築および維持に有効である。消費者のニーズに応えられないブランドは、他社に遅れとり、ホリデーシーズンを通したプロモーション競争で路頭に迷う恐れがあるだろう。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の11/26公開の記事を翻訳・補足したものです。