リッチコミュニケーションサービス(RCS)がマーケティング活用されるために乗り越えなければならない5つのハードル | 海外ニュース | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
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2019/02/27

リッチコミュニケーションサービス(RCS)がマーケティング活用されるために乗り越えなければならない5つのハードル

RCSを利用すれば、細かい設定なしに、どのモバイルデバイスやネットワークでもリッチメディアメッセージを送り、グループチャットができる。RCSの普及を妨げている多くのハードルとは一体何なのだろうか。

 

リッチコミュニケーションサービスメッセージ(RCS)は、携帯電話の標準インストールされている“不便で時代遅れなテキストメッセージ機能”に代わるものとして、広く期待されてきた。

 

本格的にサービスが提供されれば、iMessageやWhatsAppといった第3者アプリを使用することなく、RCSを使ってただテキストメッセージを送信する以上のあらゆることが可能になる。RCSは、はるかにエンゲージメントが高く、レスポンシブな、SMSの劇的な進化版になる可能性があるのだ。細かい設定をすることなく、全てのモバイル端末とネットワーク上で、相互利用可能なテキストとメディアベースのメッセージングサービスの提供が実現する。

 

サービス提供が遅すぎると言う意見も多く聞かれる。2019年に、文字だけに対応したサービスでは不十分であるのだ。

 

2018年8月、英国の鉄道会社Virgin Trainsは、いち早くRCSを導入し、選択した電車ルートに関する運行情報を提供。顧客サービスを向上させた。

 

しかし、RCSをさらに広範囲に導入することは、まだ現実的ではない。2008年に誕生したRCS構想だが、依然として実現にはまだ時間がかかるように思える。

 

RCSのメリットを享受するためには、解決しなければならない5つの高いハードルがあるのだ。

 

RCSはすべてのネットワークに採用されなければならない

全世界には約800の携帯電話ネットワークがあるが、これまでのところ、65のネットワークのみがRCSメッセージを採用している。これは、全体のわずか8.1%にすぎない。

 

米国では、Verizonを除くすべてのキャリアがRCSに対応している。しかし、現在Verizonが米国市場シェアの34%を占めているため、米国の消費者の3分の1以上は、RCSを使用できないということになる。しかし、2019年初めにVerizonがRCSの展開をほのめかしており、状況は変わるかもしれない。

ヨーロッパでは、展望はさらに厳しい。ほとんどの国において、RCSはVodafoneネットワークでのみ利用可能で、ほかのネットワークが導入するかは不明であるのだ。

 

RCSを導入した事業者にとっては、その技術が複雑になれば、真にユニバーサルなサービスではなくなり、異なる通信事業者間でメッセージがスムーズにやり取りできない問題が発生することを意味する。GSMA(世界中の携帯電話事業者の利益を守る業界団体)の「Universal Profile」(RCS仕様規定)を廃止しようとしているのは問題だ。

 

RCSの普及を実現するには、各通信事業者はよりいっそう協調し、合意したスケジュールに沿ってSMSの改善に取り組む必要がある。

 

メッセージ会社Yubotoのディレクター、Andreas Constantinides氏の評価は、極めて厳しいものだ。

「全通信事業者、言葉通りに、確実に全ての事業者が、RCSを導入し、サービスを作り出して行かなければ、RCSは死滅したと同然である」。

 

AppleはまだRCSを採用することに同意していない

iPhoneは、米国のスマートフォン市場で44%を占め、全世界では50%のシェアを超える。

しかしこれまでのところ、AppleはRCSに興味を示していない。iMessageに代わるメッセージプラットフォームを提供することは、戦略的優位性を放棄することを意味しかねないからだ。また、RCSはiMessageのようにエンドツーエンドの暗号化が使用されていない。つまり、サービスプロバイダがRCSメッセージを読むことができ、それは、一部のユーザーにとってセキュリティ上の欠陥とみなされる可能性がある。

 

AppleがRCSメッセージを採用しなければ、企業や消費者にとって実用的なメッセージオプションになるのは難しいだろう。

 

GSMAとの話し合いを持ったとの噂があるにもかかわらず、Appleはこの件に関して沈黙を通している。

 

RCSメッセージングの使用料を誰が負担するのかが明確ではない

現状では、RCSメッセージの送受信にかかる料金を誰が支払うのかははっきりしていない。新しいメッセージサービスがどんなに優れているとしても、消費者は利用料を払いたいとは思わないのは確かだろう。

少額であったとしても料金がかかるとなれば、利用者はすぐにWhatsAppFacebook Messengerのような既存のメッセージプラットフォームに戻ってしまうと予測される。

 

RCSサービスには画像や動画のようなリッチメディアの送信が含まれるので、データの負荷が大きくなる。よって、RCSメッセージは受信者が料金を支払う見通しだ。

しかし、ブランドの利益となるマーケティングメッセージを受信するために料金を支払うことは、ほとんどの消費者が受け入れがたいことであろう。

 

企業にとって、SMSマーケティングは依然として根強い人気がある。そのため、RCSへのアップグレードを希望する企業にとって明確な料金設定は、RCSコストが付加された場合の投資利益率を算出する上で重要になる。つまり、使用料が明確になるまでは、企業はRCSを採用できないだろう。

 

RCSへの意識があまりにも低い

世界中の一般の人々にRCSメッセージについて聞いてみると、「よくわからない」という表情をされるだろう。

西ヨーロッパにおいては、RCSへの意識はほぼゼロである。RCSは利用できる通信事業者や地域が非常に限定されているため、正確な認識率は算出が難しい。

RCS導入への勢いは落ちており、すべての技術的問題と事業計画上の問題が解決されるまで消費者に提供する意味はあまりない。

 

RCSを使ったマーケティングを検討する企業にとっての、導入への非常に複雑なハードル

AppleがRCSを採用しなければ、消費者とのコミュニケーションにRCSを使用する企業は、オペレーティングシステムに応じて、自社のマーケットをセグメントに分割する必要がある。

これは、2つのコミュニケーション戦略が必要になることを意味し、マーケティング担当者にとって業務の複雑化とより多額のコストの発生につながる。

大企業は二つのシステムを統合し管理するリソースがあるが、中小企業は既存のSMSチャネルがすでに機能していれば、新たに複雑なシステムを導入するために投資することはまず無いだろう。

 

RCSの今後の予想

RCSは現在、絵に描いた餅であり、常に手が届かないところにある。

しかし、何十億人のメッセージの利用方法を変える可能性を秘めている。RCSに関する興味深い初期のケーススタディが関心を呼んでいるが、意義ある方法で使えるようになるまでにはまだ道半ばであろう。

これらの問題の核心に包括的に取り組まなければ、RCSを実用化することはできない。たとえ問題が克服されたとしても、最短でも2021年より前に実現するのは難しいと予想される。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の2/14公開の記事を翻訳・補足したものです。

 

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