※日本には同名の中古品買取サービスがあるが、当記事における「リコマース」はそのサービスを指すのではなく、中古品をオンラインで販売するビジネスモデル自体を指している。

 

リコマース(衣類などの中古商品のオンライン販売)が著しい成長を遂げている。thredUP(米国の厳選した中古ファッション販売サイト)やPoshmark (米国の中古ファッション・フリマアプリ)などの企業は、新品を購入するよりも手頃で持続可能な選択肢を求める消費者の需要に応えている。

「リコマースが人気の理由は、過去に消費した製品が深刻な環境問題を引き起こしていることを知る人々がいるためである。人々は今までとは異なる方法で買い物をしたいと考えているのだ」と、中古アパレル、バッグ、家庭用品を修理し再販売する The Renewal Workshopの共同設立者Nicole Bassett氏は述べている。

「人々はリコマースを利用することにより、環境により良い製品を購入しながら、自分が愛するブランドの期待通りに高品質な商品と新しいショッピング体験を得ることができる」と同氏は語った。

 

なぜ、リコマースなのか?

消費者が、大幅に値引きされた中古ブランド品を購入する価値をより認識するようになり、お金の節約は、リコマースブームの大きな推進力となっている。

「リコマースは、確実に増加している」と、中古品の卸売物流を専門とし、関連会社である古着リコマース会社Beyond Retro.を運営するBank & Vogueの創設者Steven Bethell氏は述べた。

「価格が、今日のリコマースの人気の高さの大きな推進力であることは明確である」と同氏。「もし、顧客が、新品の半額でブランドアイテムを購入できるのであれば、もちろん中古品を購入するだろう」。

実際、リコマースは非常に人気があり、一般的になっているため、多くの消費者はあまり遠くない将来に再販することを念頭に置いて新しいアイテムを購入している。

「消費者が買い物をする方法が変化し続けている。特に、よりスマートでより持続可能なショッピングへと変化しているのだ」と、ラグジュアリー商品の販売受託会社The RealRealの女性部門の責任者であるSasha Skod氏は語る。

「商品を購入する前に、その商品のデザイナーやアイテムの再販価値を知りたいという消費者が増加している」と、同氏。「彼らは、将来的に購入した商品を委託販売し、購入コストのかなりの部分を取り戻すつもりで、現在商品を購入する。つまり、投資という考え方である」。

消費者は、お金の節約だけでなく、リコマースの持続可能な性質が魅力的だと感じている。

「消費者、特にミレニアル世代とZ世代の環境意識が高まり、その価値観を共有する企業やビジネスに引き寄せられるようになっている」とSkoda氏。

「そして、アイテムのライフサイクルを延長し、ゴミとして廃棄しないリセールという方法は、本質的にサステイナブルである」と同氏は指摘する。「当社の調査データに基づいて、当社への販売委託者ベース全体の56%、ミレニアルの委託者ベースの64%は、環境への影響や高級品のライフサイクル延長を当社へ委託する主要な動機として挙げている」。

 

リコマースの成功

アイテムがリコマース販売されているからといって、品質が重要ではないという意味ではない。 消費者は、リコマースで購入する商品ができるだけ新品に近く、彼らが認識して信頼しているブランドの商品であることを期待している。

「リコマースの成功の鍵は、高品質で保証付きの製品を提供することである」とBassett氏。「The Renewal Workshopは、それをブランドパートナーに提供している。洗濯され、修理され、新品同様の品質を保証された製品である。また、高品質の写真を掲載し、利便性の高い検索機能と配送サービを備えたショッピング体験も提供している。

リコマース企業は、中古品を購入する消費者も、トレンディで高品質の製品を期待していることを理解しておくことが重要である。

「トレンドを意識することは、成功に不可欠である」と語るBank&VogueのBethell氏。「消費者は低価格であるだけでなく、マムジーンズ(80年代後半から90年代初頭にかけて流行したハイウェストジーンズ)からミッキーTシャツまで、現代のトレンドにあった商品を購入したいと考えている。トレンドの商品でなければならないのだ」。

 

The RealRealの創設者兼CEOであるJulie Wainwright氏は、PRADAのドレスといった高級服をリセールショップの奥で販売するのではなく、メインストリームに持ち込むチャンスを見出した。The RealRealには、高級品の真正性を鑑定する専門家がいる。そして、買い物客が、信頼性の高いハイエンドな環境で購入できるように、それらのアイテムをキュレートしているのである。

 

The RealRealは、受け取ったすべてのアイテムを認証する世界で唯一の再販会社であることをアピールしている。

「当社の専門家は、再販価値とトレンドに関する貴重な情報も提供している。当社への委託者は、確実に自分の投資から最高の利益を得ることが可能となる。同様に、その透明性が、消費者からの信頼を獲得しているのだ」と、The RealRealの広報担当者は、同社代表Magan Zamiska氏が寄せたコメントとして述べた。

「さらに当社は、委託者の委託プロセスを簡素化している。委託者は、販売アイテムの無料での自宅ピックアップ、実店舗でのドロップオフ、当社への無料直接配送といったオプションを利用できる」 。

「当社の実店舗は、ブランド拡大において重要であり、提供するサービスをより充実させている。私たちは、実店舗が、オンラインで高額アイテムを購入することに不安がある人々を、高級品の委託者に紹介するための最適な方法となっていることを実感している」と、The RealRealの広報担当者。「実店舗では、人々は商品に触れ、感じ、見ることができるからである」。

 

リコマースの消費者は、高品質の商品だけでなく、幅広い選択肢を期待している。

「選択肢は、不可欠な要素である。それが、Beyond Retroが35,000個のアイテムを提供している理由だ」とBethell氏。「私たちは、Beyond Retroが、再生品を取り扱う素晴らしいプラットフォームになったことを非常に嬉しく思う。単にヴィンテージを売るだけでなく、修理したアイテムや、完全にリメイクしたアイテムを販売している。Beyond Retro が、Carhartt(米国ワークウェアブランド)のワークウェアからリメイクしたUrban outfitters(アメリカ衣服メーカー)向けのトートバッグなどである。トレンドとの高い関連性、ファブリック重視、革新的であること、これらがリコマースの進化に見られるものだ」。

 

リコマースの未来

リコマースは、初期の古着屋から間違いなく進化している。最近では、グローバルビジネスとして好況である。

「リコマースは、時間をかけて、より優れたショッピング体験になりつつある」と語るBassett氏。「当初、顧客が何を価値あるものと考えるのかを理解していなかった。今では、顧客はがオリジナル製品のプロダクトデータを必要としていることがわかったため、これを顧客に提供する必要がある。今後は、より多くのタイプの商品が、新品同様のかたちで販売されるだろう」。

そして、それがより一般的になるにつれて、リコマースはファッションの世界の不可欠な部分として進化するだろう。

「より多くの消費者が、リセールを、スマートで、サステイナブルな、ファストファッション商品の購入の代替手段として認識し続ければ、リセールも確実に成長し続ける」と、The RealRealの戦略的イニシアチブのディレクターAllison Sommer氏は語った。「また、ブランドが受け入れ続ければ、リセールは高級ファッションエコシステムの一部に組み込まれるとも考えている」。

 

※当記事は米国メディア「E-commerce Times」の1/6公開の記事を翻訳・補足したものです。