多くの消費者がスマホを使ってネット通販を日常的に楽しみ、多くの企業がオンライン上に自社店舗を構えるなど、オンライン活用が日に日に進んでいる。しかし、世の中はこれだけの勢いでオンライン化が進んでいるにも関わらず、実は多くのBtoB企業において、電話やFAXでの受注対応がいまだに多くのウェイトを占めているのは知る人ぞ知る実態だ。これは古くからの固定の取引先との、古くからの商習慣が残り続けることが多い、BtoB業界の特徴ともいえる。今回はBtoB業界の業務の現状と、オンライン化によって享受できるメリットについて整理していきたい。

 

※この記事は、BtoB向けECサイト構築システム「アラジンEC」を展開するアイル社から情報提供を得て作成した記事である。BtoB ECに関する資料は以下からダウンロード下さい。

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日本企業で依然として根付いているFAX文化

 

昨年の夏頃になるが、このようなツイートが世間を賑わせたことをご存知だろうか。

このFAX文化に対するストレートな感情吐露とも言えるツイートは瞬く間に拡散されていった。この記事の読者のように、オンラインに積極的に接触している方からすると、いまだにこんな会社本当にあるの?と感じる方も多い一方で、思ったよりも非常に多くの共感のRTが集まったのも事実だ。

また、大手日経系のメディアでも脱FAXが受発注革命、という扱いをするなど、まだまだ日本企業にはFAXが根付いていることがうかがえる。

総務省による通信利用動向調査によると、2018年の日本におけるFAX保有率は34%となっている。内訳をみると、若い世代である20~29歳の保有率は3.7%と断トツで低いが、50歳以上になると40%以上が保有しており、年代における差が非常に大きいことが分かる。

このように企業のキーマンとなる50代以上のサラリーマンがFAXをいまだに自宅でも使用していることが、企業でもFAXの使用率を上げているともいえる。しかし、日本企業ではそのほかにも変えられない理由がある。取引先や顧客がFAXを用いるため、それに合わせてFAXを用いざるを得なかったり、FAXの勝手に紙が出力されるプッシュ型の機能を活かし宣伝やリマインダを行ったり、紙媒体の資料を重要なものとして取り扱う慣習が残っている企業も多い。

しかし、そのような光景は海外から見ると非常に変わったものと映るようで、ニューヨークタイムズ紙では、日本のFAX固執は少し異常だと論じているなど、海外から見ても違和感を持たれているようだ。スミソニアン博物館ではFAXが歴史遺産として展示されているのは有名な話だ。

こうしてみると、日本企業がFAXを使い続けているのは、それに替わる新しいテクノロジーが無いからではない。日本特有の古きを優先し、変わることを拒みやすい企業体質が影響しているのは明らかだ。

 

 

脱FAXの先にあるEDIとBtoB EC

 

今のテクノロジーをもってしたらFAXだけが持つメリットはほとんど無いと言って良い。例えば企業で活用可能な代替テクノロジーとしては、EDIがある。FAXが紙媒体でデータを交換するのに対し、EDIは電子データを企業間で交換するものだ。ただ、注文や納品、請求など、企業間の商取引にかかわるデータ交換のためのEDIは導入に際して多大なコストがかかり、中小企業ではなかなか導入がされていない。そこで、中小企業庁では、中小企業共通EDIを使った実証事業を開始している。これによりITの利用に不慣れな中小企業でも、簡単・便利・低コストに受発注業務のIT化を実現できるようになると期待されている。例えば花王では中小企業相手の取引をFAX発注から共通EDIを使ったWeb発注に切り替えていっている。

そんな中、2024年には多くの企業で使われてきていたISDNが終了する。これは、現在EDIを使っている企業もインターネットEDI、そしてWeb受発注システムに入れ替えをする必要があることを意味する。このWeb受発注システムが「BtoB EC」だ。

では、EDIとBtoB ECは何が違うのだろうか。EDIは買い手がシステム導入の主導権を握るため、地域や業種などで標準化された標準EDIではなく個別EDIが使われる場合、得意先ごとに異なる複数のEDIに合わせた商取引が必要になることもあり、業務処理が煩雑になる。BtoB ECの場合は売り手主動になるため、買い手にとって便利な仕組みを用意するということを前提に、自社がいかに効率的に業務を行なえるかを追求することができる。また、どの企業でも利用が可能と言う点もメリットだ。

旧来のEDIは専用の回線やインターネットを用意する必要があるが、BtoB ECはネットが繋がる環境であれば利用が可能だ。インターネットEDIもインターネットとパソコンさえあれば利用は可能だが、標準化がされていないことも多く、スマホやタブレットなどのデバイスにも対応していないことが多いという問題点もある。

企業によってはFAXによる受発注を急に廃止することができなく、両方のシステムを採用しているところもあるが、このBtoB ECにはカスタマイズが可能なパッケージソフトが存在し、自社の業務に合わせて効率化を図ることが可能だ。EDIと比較し安価に導入が可能であり、柔軟性もEDIよりも優れていることもメリットだ。

 

 

脱FAX受注による5つのメリット

 

脱FAXの根幹にあるのが脱FAX受注といえる。このFAX受注を無くし、受発注業務のIT化を進めることは、大きなメリットがある。BtoB業界の脱FAX受注による5つのメリットを整理していこう。

 

注文確認作業の低減

まず、1つ目は、従来は人が手作業で行っている注文確認作業の大幅削減だ。FAX受注の場合は注文内容の確認を人の目で行う必要がある。具体的には「商品」「数量」「納品先」「希望届け日」および業種業界に応じたその他の必要情報が正しく記載されているかをチェックする作業がある。また、非常に多いのが注文内容に不備や不足がある場合だ。この場合、相手企業に連絡を入れて正しい注文内容を聞きだす業務が必要となり、現状ではこのような注文確認作業に多くの人手が割かれている現状がある。これらは全て受注担当者のアナログ作業にて行われるため、この作業がIT化により大幅に削減されることは大きなメリットだろう。

 

社内システムへの手入力作業の低減

2つ目は注文内容を社内の業務システムに手入力する作業の削減と人的ミスの削減だ。受注担当者はFAXで受信した注文書の内容確認が終わると次は社内システムへ受注入力または売上入力を行う。BtoB ECを導入し、社内の業務システムまで連携を実現した場合には、相手企業にECを利用して注文してもらえば、その注文データが社内の業務システムに自動的にデータ連携されるために、手動での入力作業が不要となるのだ。また、同時に入力ミスによる誤出荷およびクレーム対応のロスが削減できるメリットもある。

 

相手企業の利便性向上

3つ目は注文してもらう相手企業に対する利便性向上のメリットだ。BtoB ECを導入した場合、相手企業はPC・スマホ・タブレットなどインターネットが繋がる環境であれば24時間365日いつでもどこでも注文することが可能となる。また、BtoB ECサイトでの注文の場合、新商品から類似商品など全ての商品を確認することが可能で、過去に注文した履歴情報の確認およびリピート注文が簡単に出来ることも相手企業にとっては非常に便利となる。特にBtoB業界では、「以前に注文したものと同じもの」という注文が非常に多い傾向があるから尚更だ。また、在庫情報や出荷状況などをシステム的に表示させることも可能で、わざわざ電話やメールで注文ステータスを確認する必要がなく、知りたい時に確認できることも利便性向上に繋がる。

 

受注担当者の人員調整不要

4つ目は繁忙期・閑散期など需要に応じて受注担当者の増員などの人員調整が不要になるメリットだ。FAX受注の場合は注文量が多いと受注担当者の作業も比例して増えるために繁忙期には早朝出勤や残業、場合によっては増員対応などを行う必要がある。EDIやBtoB ECを導入した場合は注文量に左右されずに最適な受注担当者の配置が可能となる。

 

属人化された組織体系からの脱却

5つ目は属人化された組織体系からの脱却だ。FAX受注での注文を受け付ける業務がある場合、ベテランの受注担当者は注文内容の理解や確認作業およびシステムへの入力作業が慣れているため、早く、ミスも少なく作業することが出来る。一方、経験の浅いスタッフや体調不良でベテランスタッフが休んだ時に臨時で対応するスタッフは、作業時間が数倍かかることもある。BtoB業界では、業務知識と経験年数により作業効率が大きく左右されるのが実態となっているためだ。EDIやBtoB ECを導入した場合はシステムで標準化されるために属人化によるリスクを軽減できることも大きなメリットだと言えるだろう。

 

 

BtoB業界にも業務効率化された未来を

 

BtoB業界では、このようにFAX、そしてFAX受注による弊害が非常に大きく残っていると言える。IT化の波は少子高齢化の中で避けられなくなっており、FAX受注による業務も改善していかなければいずれ多くの業務が回らなくなってしまう可能性が高い。

BtoB ECの分野は、EC業界全体の中でも市場規模が拡大しており、注目度が増している業界だ。そのため、BtoB ECを対象にしたサービスやシステムもここ数年で増えてきている。自社の働き方改革を進めながら、取引先ともよい関係を築くため、インターネットEDIやBtoB ECなどのデジタルを活用したスムーズなコミュニケーションツールにシフトする時は、既にここまで来ているのではないだろうか。

 

 

 

※この記事は、BtoB向けECサイト構築システム「アラジンEC」を展開するアイル社から情報提供を得て作成した記事である。BtoB ECに関する資料は以下からダウンロード下さい。

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