企業間取引をオンライン化することで享受できる5つの業務効率化・削減ポイント

 

企業間取引のオンライン化がここ数年で一段と進んでいる。特に企業対企業(BtoB)の取引は同一の商品を継続的に定期的に購入するケースも多く、また業務の効率化観点からも非常にオンライン化がFITする領域と言える。今回はその企業間取引をオンライン化することで、どのような業務が効率化することができるのか考えていき、その実際の事例についても見ていきたい。

 

※この記事は、BtoB向けECサイト構築システム「アラジンEC」を展開するアイル社から情報提供を得て作成した、企業間取引の考え方を紹介した記事である。ここで紹介する事例を含むBtoB ECに関する資料は以下からダウンロード下さい。

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企業間取引に付随して発生する業務

 

企業が消費者に直接物販をするような企業対消費者(BtoC)の取引とは異なり、BtoBの企業間取引では、一つの受注において、多くのやり取りが発生することが一般的だ。業界によっても実情が異なる部分もあるが、以下の5つの対応業務が発生する。

 

業務の具体的内容とオンライン化による効率化余地

 

それでは、具体的にどのような業務が行われており、それがオンライン化によってどのように効率化される余地があるのかを、5つの業務を中心に見ていく。

 

見積対応

業務内容:BtoCのケースと異なり、取引先毎や、発注数量毎に単価が変わってくることも多く、カタログやサイトを見ただけでは商品の総額が分からないケースが多いため、商品に興味を持った取引先は見積を依頼してくる。依頼されると、その取引先との過去のやり取りや、その商品の在庫や原価などを確認した上で、見積を作成し回答していく業務が発生する。

オンライン化による効率化余地:取引先がオンライン上で商品の数量や納期などを入力することで、自社側ではシステム化をある程度しておけば、ほぼオンライン上で見積書の作成・発行が完了することになる。オンラインで気軽に見積書を作成することが可能になるため、今までは問い合わせが面倒で見送っていた新規の取引先からの見積のハードルも下がり、新たな受注に繋がる可能性も出てくる。

 

問合せ対応

業務内容:商品に関する各種問い合わせもBtoCの場合よりも頻繁に発生する。取引先も何らかの業務においてその商品を使うため、細かい商品仕様などの情報や、その業務のスケジュールに影響する納期などについても問合せが行われるケースが多い。見積前後に複数回の問合せが来るため、その対応業務が発生する。

オンライン化による効率化余地:商品の詳細情報、単価、納期、在庫などの細かい問合せの多くは、取引先がオンライン上でいつでも自由に情報を確認することができるようになるため、この対応業務はオンライン化によって大幅に削減される。

 

注文対応

業務内容:商品や価格、納期などに問題がないと、取引先から実際の注文が入ることになる。注文も、これまでのその取引先との慣例によって、電話やFAX、メールなど様々なコミュニケーション手段で行われる。BtoCと異なり、注文内容もシンプルな内容ではないケースも多いため、注文内容の確認などの業務も行われる。また、その結果と正式な受注として、社内システムに手入力していくことになる。

オンライン化による効率化余地:注文対応は効率化余地が非常に大きい。注文をオンライン化することで、取引先からの電話やFAX、メールなどで注文自体や、注文内容の確認、社内システムへの入力の一連の受注処理を行う業務は一気に削減可能となる。

 

納品

業務内容:受注した商品を納品する際には、出荷済みの連絡や配送NOの通知などを行う必要がある。注文内容によっては配送が複数回に分かれたり、大型商品などの場合は、配送業者が通常とは異なったりと、BtoCにはないイレギュラー業務も行うことが多くなる。

オンライン化による効率化余地:取引先からの注文後の出荷連絡や出荷状況の問合せへの対応業務は他システムとの連携を行うことでオンライン化によってかなりの部分が効率化可能だ。

 

請求

業務内容:納品が完了すると、請求業務を行う。BtoCの場合は大部分が先払いやクレジットカード決済で行われるが、BtoBの場合は大部分が納品後の後払いとなる。特に日本の商習慣は掛け払いが圧倒的に多いので、請求書の発行から発送までの業務を取引先ごとの締め日別に毎月複数回実施しているため、請求業務も非常に手間のかかる業務の一つだ。

オンライン化による効率化余地:ECシステムで請求書データを連携すると、自社担当者が請求書を作成し、封入して発送する一連の業務が削減可能になる。取引先も請求書を紛失したり探し出す業務も不要となり双方の業務負荷が軽減される。

 

このようにBtoBの企業間取引ではBtoCとは異なり取引先との多くのコミュニケーションが発生し、業務のバリエーションも非常に多岐にわたるケースが多い。このような企業間取引は、オンラインに置き換えることができると業務効率化の余地は非常に大きく、ルーティンの業務や、数字をしっかり確認しないといけない業務などでは効率化の余地は大きくなる傾向が強いといえる。

 

 

オンライン化により業務を効率化・削減した事例

 

それではオンライン化することで、具体的にどのように業務が効率化されていったのか、事例を見てみよう。

 

スポーツ用品卸

従来この企業では、注文をFAXや電話などで受けており、それを基幹システムに受注入力する必要があった。その受けた注文に対して受付完了の旨をReFAXする必要もあり、1受注毎のチェックにも神経を使っていたそうだ。さらに出荷後には配送会社の配送問合せ番号などを通知するなど、一つの注文に対しての作業がいくつもあり、業務負担やそれによるミスが問題となっていた。

しかし、BtoB ECシステム導入後には、注文受付時に注文受付メール (サンクスメール)を自動送信。出荷完了時にも出荷完了メールを自動で送信するなど業務の削減を実現。また 、ヤマト運輸のB2や佐川急便のe飛伝などと連携し、メール本文に問合せ番号を記載。この情報はサイト上に開示する事も可能で、顧客満足度アップやWeb注文比率向上にも繋がっているようだ。

 

モバイルアクセサリー卸

この企業では、大手の取引先とは、EDIにて対応していため 受注業務は特に負荷がかかっていなかったが、大手以外の取引先から注文は、電話、FAXが中心で受注業務に対する負荷が高く、人的リソースも限られていいた。また、大手以外の新規開拓を行うことも、獲得数に比例して負荷が上がるため社内リソースの問題から難しいケースも多かった。また、取扱商品の特性として、在庫問合せ・入荷予定および商品画像のデータ要求が多く、それらの対応に多くの人的リソースが奪われており、売上を上げる前向きな業務に時間を割けていなかったそうだ。

そこで、新規取引先への受注手段にBtoB ECシステムを徹底することで、人員を増やさずに売上増加を実現することが可能になった。例えば在庫情報の公開・入荷予定を表示することで、問合せ業務が削減し、同時に顧客満足度も向上した。また、商品画像をECサイトからダウンロード可能とすることで、ネットショップ事業者への待遇強化と画像提供業務の負荷軽減を実現した。

 

シューケア製品卸

大型店舗や小売店など、様々な規模の得意先から電話やFAX、メールなどのあらゆる連絡手段を使い、多い日では20~30件の注文を受けてきたこの企業では、以前は、前日までの注文をまとめ、店舗や商品別に仕分け作業を人的対応で行っていた。電話では聞き違えることがあり、FAXやメールでは色やサイズ、個数など細かい内容での記入漏れも多い上、廃番の注文が入っていることもあった。それらの再確認業務が済み、記入漏れがないことが確認出来れば、基幹システムにデータを手入力し、その結果、ようやく商品のピッキングリストを作成するという作業を行っていた。実に、この日々のルーティン業務に5時間も費やしていた。

しかし、BtoB ECシステム導入後、オンライン注文を起点とすることで、漏れのない注文データを受け取ることが可能になった。またシステムが基幹システムと連携したことにより、受注データがそのまま基幹システムに流し込まれ、商品のピッキングリストを自動作成されるようになった。また、オンライン化したことで、取り扱うすべての商品を取引先が画面で閲覧できるため、いつも注文していた商品以外の新たな商品の注文も増加傾向となっているとのこと。

 

 

企業間取引の更なるオンライン化に向けて

 

古くからの業務慣行が残りやすいBtoBの取引ではまだまだ多くの「人的対応」が残っている企業が多い。またBtoCと比較して業務が複雑な一方で、定型化することが可能な内容も多いのも事実だ。しかし多くの企業では、当たり前のものとしてそれらの業務を行っており、その効率化余地の存在にすら気付けていないケースが多いのではないだろうか。

経産省の発表によるとBtoCの16.5兆円の約20倍弱にあたる317.2兆円がBtoB領域では既にオンライン化されているという。しかし、そのEC化率は29.6%に過ぎない。しかも大手企業との取引に使われることが多いEDIやEOSが含まれた数値になっているため、この数値はBtoCの5倍以上だが、これが十分な値と見るかまだまだ余地がある値と見るかは見解は分かれるだろう。しかし、あらゆる業務領域がシステムに置き換わっている中で、今後もBtoB取引のオンライン化は進み、受発注の自動化を起点とした取引業務全般の効率化が図られていく可能性は高いのではないだろうか。

 

 

※この記事は、BtoB向けECサイト構築システム「アラジンEC」を展開するアイル社から情報提供を得て作成した、企業間取引の考え方を紹介した記事である。ここで紹介する事例を含むBtoB ECに関する資料は以下からダウンロード下さい。

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