• 2019年から2023年の間に、CAGR(複合年平均成長率)18%の成長を遂げると予測されるインドのeコマース
  • WB(世界銀行)によると、宝飾品などの売れ行きが良い商品は5秒ごとに輸出されている
  • Makemytrip(オンライン旅行会社)、Yatra(オンライン旅行代理店)、Oyo(格安ホテル運営会社)、Ola(配車アプリ運営会社)がインドの主要なオンラインプラットフォームとして登場

 

ハイパーローカルおよび翌日配達サービスの登場によるインドeコマースの急速な成長にもかかわらず、インド市場にはまだ多くの未開拓の可能性が残っている。世界銀行の報告書によると、インドのeコマースは、国内の小売売上高の1.6%しか占めていない。 また、同レポートは、インドの2019年から2023年までの複合年間成長率(CAGR)が約18%となり、eコマース小売分野で最も急速に成長を遂げることを強調している。

 

一方、中国では、eコマースセクターが国内の小売全体の15%、全世界の小売全体の約14%を占めている。レポート「Unleashing E-Commerce for South Asian Integration/南アジア統合をもたらすeコマース台頭」は、こうしたeコマースに関する南アジア企業の懸念を浮き彫りにしている。

 

南アジア全体で2,200社以上の企業を調査した世界銀行のレポートは、国境を越えた貿易、eコマース関連のロジスティクス、デジタル規制と接続性、情報技術インフラが企業の最大の関心事であると指摘。

これに加えて、郵便システムなどの公的システムには、時間通りの配送やエンドツーエンドの追跡が難しいなどのさまざまな欠点があるため、商品配送において非公的システムに依存する必要がある。

 

さらにWBは、南アジアの郵便システムが粗雑な物品の取り扱いと不適切な安全基準で知られていることを指摘している。これは、多くのプレイヤーがプライベートロジスティクスチームを編成するか、他のプライベートプレイヤーと提携する必要があることを意味し、そのために物流運用コストが高くなっている。

 

しかし、同レポートでは、この問題を解決するために、India Post(インド国営郵便局)が成し遂げた、エンドツーエンドの追跡、サプライヤーと顧客間の追跡及び配送メカニズムの構築等の取組みも示している。

 

eコマースで何が売れているのか?

世界銀行の報告書は、南アジアの大衆に売れるものとそうでないものも明示している。レポートによると、インドにおいてもっとも取り引きされている商品は、携帯電話、電子機器、コンピューターアクセサリー、衣類、ファッションアクセサリー、耐久消費財だという。

 

ただし、商品仕様が異なるため、越境オンライン取引ではそれがまったく異なる。eコマースプラットフォームであるEbayのレポートによると、宝飾品、健康と美容製品、衣類とアクセサリー、家庭用家具が、越境オンライン取引でのより人気のある商品であるという。

 

また、インドでは、宝飾品などの売れ行きが良い製品は、5秒ごとに輸出されている。しかし、玩具や楽器の輸出は12〜15分ごととなっている。

 

さらに南アジアでは、商品だけでなく、オンラインサービスも消費者を満足させているという。同レポートは、提供サービスごとに最も人気のあるプラットフォームを明らかにしており、たとえばYatra.comMakemytripは、インドで最も人気のある旅行および発券ビジネスであるとのこと。同様に、Olaは最も人気のあるタクシー配車サービスであり、OYOは人気が高い宿泊施設を提供している。

 

企業のeコマースへの参入を阻止しているのは何か?

インド政府は現在、eコマースプラットフォームを対象とする規則と規制を策定しているため、インドで事業を展開するプレイヤーの間には不確定要素に対する不安がある。 これに加えて、政府は、非個人データに依存してターゲット広告をプッシュするeコマースセクターに打撃を与える、データ保護ポリシー制定にも取り組んでいる。

 

さらにインド企業は、税法、法的責任法、データのプライバシー保護またはセキュリティ上の課題といった規制上の問題も、eコマースにおける最大の課題の1つであると考えている。

 

WBのレポートではこれに加え、インド消費者を対象とした調査ではほとんどの買い物客がオンラインで商品を調べたのちに、オフラインで購入するということが明らかになったことにも触れている。これは、インドの顧客は、製品を実際に「触って感じて」製品の品質を確認したいと考えるからであろう。これは、多くのeコマース企業が、ハイブリッドまたはオムニチャネルeコマースモデルに移行している理由にもなっている。

 

※当記事はインドメディア「Inc42」の12/17公開の記事を翻訳・補足したものです。