• CAIT(全インド商業連盟 / The Confederation of All India Traders)の全国書記長は「eコマース事業者はFDI(外国直接投資 / Foreign Direct Investment)ポリシーに従うべき」と語る。
  • AmazonおよびFlipkart(インドのeコマース企業)と販売業者間の争いは、1年以上続いている。
  • 携帯電話ディーラーによると「eコマースプラットフォームが行う大幅な値引きによって、過去1年半で約4万の携帯電話ショップが閉店した」とのこと。

 

デジタル革命は、インドに道を開いた。一方、デジタル化に伴う主たる課題といえば、協調性を守ることである。どの部門の利益も削減せずにインターネットの恩恵を受ける方法について、すでに議論を始めているセクターの一つは、小売業界だ。

 

オンラインマーケットプレイスが小売業界の成長を推進し、世界的な注目を集めている一方で、実店舗の経営者は、多くの店の閉店を語る。eコマースプラットフォーム、とりわけAmazonやFlipkartと販売事業者の戦いを知るべく、全インド商業連盟(CAIT)の全国書記長であるPraveen Khandelwal氏とCAITの全国書記官であるSumit Agarwal氏、さらに複数の販売業者に話を聞いた。

 

「eコマースには将来的なビジネスの可能性があるので、我々はこれを歓迎している。しかし、eコマース事業者は、2018年のFDIポリシーの規定に従うべきというのが、基本的な原則である。AmazonやFlipkartがポリシーに従うのであれば、我々として異議はない。FDIの規範に従っている限り、彼らは事業モデルを継続することができる」と、Khandelwal氏は話した。

 

FDIの規範に反するとして販売業者団体が提起した3つの主要な懸念事項は、以下の通りである。

 

搾取的な価格設定

CAITは、FlipkartとAmazonの両企業が、ほしいままに搾取的な価格設定を行うことで、FDIの規範に違反していると主張している。「インドには約30万の携帯電話小売店がある。過去1年半で、オンライン企業の大幅な値引きによって4万の携帯電話ショップが閉店した」と、自身も携帯電話ショップの経営者であるAgarwal氏は語った。

 

CAITの全国書記官は、携帯電話の販売がeコマースプラットフォームの総売上の50%を占めるという調査結果も引用した。「eコマースは、モバイル部門の小売売上高の30%以上を占めるが、これは大きな数字だ。これは、インドで販売される携帯電話のほぼ30%が、今や実店舗ではなく、eポータルで販売されていることを意味する。これは、彼らがコストを下回る価格で販売しているからに他ならない」と、付け加えている。

 

CAITは、商務大臣であるPiyush Goyal氏とのすべての会議で、eコマースプラットフォームの大幅な値引きの手法が小売業者、ベンダーや実店舗にとって不公平な競争環境を作り上げていると主張してきた。

 

販売業者は、これは自由かつ公正な市場ではないと話す。「私が最も憤りを感じるのが、顧客が店に来て、同じ製品がオンラインショッピングプラットフォームでもっと安い価格で販売されていると言ってきてもめることだ」と販売業者(匿名希望)は語る。

 

ブランドが提供する独占性

販売業者によると、最大の問題は、オンラインマーケットプレイスが享受する“独占的地位”である。「ブランドは、オンラインポータルと直接結びついて、独占販売を行っている。顧客は彼らが行う大幅な値引きに夢中になっているので、我々は彼らと競合できない」と、ベンガルールにある携帯電話業者のSoma ShankarV氏は話す。

 

「企業は、さまざまなモデルを作り出してオンラインプラットフォームで販売するが、実店舗には商品を供給しない。これらのオンラインプラットフォームは、Flipkart独占販売やAmazon独占販売といっておおっぴらに宣伝しているが、これはFDIの規範に反しているのだ。ブランドは、一部のプラットフォームで独占的に販売し、店舗に供給しないということはできないのである」とAgarwal氏は加えた。

 

CAITは、Goyal氏宛ての最近の書信において、それぞれの企業評価を高める過程でFDIポリシーを軽視し、小規模小売業者のビジネスを抑制しているこうした企業に対して、しっかりとした措置を取るべきだと伝えている。

 

「FDIポリシーに従わない点について、AmazonとFlipkartに対して行動を取るべき時が来た。昨日、我々は彼らを、国の小さな業者を殺し業者のビジネスを破壊する“経済テロリスト”と呼んだところだ」と、Khandelwal氏は付け足した。

 

優遇セラーによる在庫コントロール

CAITは、AmazonやFlipkartのようなeコマースプラットフォームが、FDIの規範を遵守せず、地元のベンダーを廃業させるような大幅な値引きを行っていると警告を促してきた。最近、インドの業界団体であるAkhil Bhartiya Udyog Vyapar Mandalは、地元の小売業者や販売業者とともに、カーンプルにあるFlipkartのカーンプル倉庫を封鎖。業者の権利に取り組む団体は、オンラインマーケットプレイスは、不公平な手段を貪り、実店舗のビジネスを縮小させていると話している。

 

「オンラインマーケットプレイスは、在庫をコントロールしている。AmazonやFlipkartには、自社セラーがいる。AmazonやFlipkartで商品を検索すると、常にトップにくるセラーが数社いるだろう。これは、AmazonやFlipkartがこれらのセラーと独占的に提携しているからである。そうやって、オンラインマーケットプレイスはセラーの在庫をコントロールしているのだ」と、Agarwal氏は付け加えた。

 

CAITは、eコマース企業がフェスティバルのセール中に大幅な値引きを行っており、これは2016年に施行され、のちに2018年に改正されたFDIポリシーの指令に反していると、繰り返し言及。また、オンラインマーケットプレイスが、自社プラットフォームを委託在庫ベースモデルに変更していることは、FDIポリシーに違反するとも述べる。

 

CAITは、FlipkartやAmazonがセラーに対し、後に報酬を支払う代わりに、費用を分担しディスカウントを実行するよう求めているメールも入手している。「起こっていることが公平ではないことを証明するすべての証拠は揃っている」と、Khandelwal氏は付け加えた。

 

※当記事はインドメディア「Inc42」の12/2公開の記事を翻訳・補足したものです。